保証債務の内容

保証債務の内容は、保証契約の内容と、保証債務の付従性によって決せられます。保証債務の付従性にもとづき、保証債務は、たとえ特約をしても、成立のときもその後においても、借主の債務より、その目的および態様において、重い事はできず、もし重いときは、借主の債務の限度まで減縮されます。借主の債務が、借主の不履行などによって、その同一性を維持しつつ、目的、範囲、態様において変更したときは、保証債務の内容もまた変更します。しかし保証契約成立後、借主と貸主との間の契約により、借主の債務を拡張しても、保証債務はそれに従って拡張されません。特約によって、あらかじめ保証債務の範囲を一定限度にすることもできます。この場合には、保証債務の範囲は、借主の債務より小となります。しかし、特約がない場合には、保証債務の範囲は、貸借元本の外、利息、違約金、遅延利息その他すべての借主の債務に従たるものに及ぶのです。借主の債務の弁済期が、1月30日なのに、保証人の債務の履行期が1月20日であるというようなことは許されません。貸主は本来借主の一般財産のみでは貸金の満足を受けるに危険であると考えたので保証人を立てるわけですが、さらに保証人の一般財産をもってしてもなおかつ満足が受けられないと考えるときは、保証人のために、さらに保証人を立てさせることもでき、更に保証人の債務について、物的担保の設定を求めることができます。これは保証債務が借主の債務と全然別個の独立の債務であるからです。大審院判決は、保証債務について、借主の債務より短い存続期間を定め、その他独立の消滅原因を認めることは、保証債務の本質に反しないとなし、したがって、借主の債務が民事債務であって、保証債務が商行為によって生じた商事債務であるときには、借主の債務は10年の消滅時効にかかりますが、保証人のそれは、1年の時効によって消滅すると決しました。保証契約締結後借主の債務の弁済期間を延長した場合の保証債務の運命については、大審院判決は、それは、保証人の責任を加重するものではないため、その効力を保証債務に及ぽすのは当然と判示しています。

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貸主は、借主が所定の期限に、借金および利息を弁済しないときは、保証人に対し請求することができます。その際に、まず借主に対して請求する必要も、借主に対して強制執行をする必要もありません。任意に借主または保証人のいずれかを選んで請求することができ、同時に双方に対して請求することもできます。ところが、保証債務は、借主の債務の履行がない場合において、第二次的に履行することを本来の任務とします。そこで、貸主が、いきなり保証人に催告をしたり、借主に財産があるにもかかわらず、それを放置しておいて、保証人に対し強制執行したりした場合には、保証人としては、何らかの救済方法がなければなりません。そこで民法では、保証人に対し、種々の抗弁権を付与しています。ここに抗弁権とは、貸金の請求に対し、それを拒絶することがでぎる権利をいいます。
貸主がまず借主に請求することなく、いきなり保証人に請求してきたときは、保証人は、まず借主に催告すべきことを請求することができます。保証人がこの抗弁権を行使したときは、貸主は、借主に対して催告をしない以上、保証人に対して請求することはできません。もし訴を提起しても、敗訴の判決を受けざるを得ません。貸主の催告は、その方法を問わず、裁判外の催告でも妨げず、催告の結果を証明する必要もありません。貸主が借主と同時に保証人に請求したときは、この抗弁権を行使することはできません。催告の抗弁権の行使があったのにもかかわらず、貸主が借主に対して催告をすることを怠ったため、借主より全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、貸主が直ちに催告すれば弁済を得られたであろう限度において、その債務を免れます。借主が破産したり、行方不明であるときは、保証人に催告の抗弁権はありません。
貸主が借主に対して催告をした後に、保証人に対して請求をした場合でも、保証人は借主に弁済の資力のあること、および借主の財産の執行が容易であることを挙証して、まず借主の財産に対して強制執行すべき旨を請求することができます。これを検索の抗弁権といいます。保証人は、借主に借金金額を弁済する資力のあることを証明する必要はなく、貸主がその執行のために、格段の日時及び費用を要することなく容易にその貸金債権の執行がでぎることを証明すればよい。この判決は、執行の容易なことの具体例として、借主の住所や営業所に所有有体動産があれば、格別の事情がない限り、執行の容易なことはそれ自体証明せられたりとしますが、借主が他に金銭債権を有するとか、不動産を有するにすぎないときは、執行容易とは速断できないとしています。大審院判決は、借主の財産に対し、地上権又は抵当権が設定せられたり、仮差押がなされたりしているときは、執行容易とはいえないと判示しています。保証人は、催告の抗弁権を行使しないで、いきなり検索の抗弁権を行使することもできます。この抗弁権も裁判外の単なる意思表示によって行使することができます。この抗弁権を行使したときは、貸主はまず借主の財産について強制執行をしなげれば、保証人に対して請求することができません。貸主が借主に対して、執行して貸金の回収を得られないときは、もちろん保証人に対して執行でき、一度執行をして貸金の回収ができなかった以上その後になって、借主の資産状態が回復しても、保証人より重ねて抗弁権を行使されることはありません。貸主が借主に対する執行を怠ったため、借主より弁済を受け得なくなったときは、保証人は責任を免れることは、催告の抗弁権の行使の場合と同様です。
保証債務の中でも、貸主と借主との間の、継続的金銭貸借の保証は、それが特に当事者間の強い信用を基礎とすることから特殊の性格をおびます。特に重要なのは、保証契約の解除です。つまり借主の弁済期が到来していて、貸主としては、いつでも弁済を請求でき、もし応じないときは、いつでも強制執行ができるのにかかわらず、それをしないようなとき、保証契約後2カ年半以上経過し、しかも貸主が借主の資力を無視して、引続き放慢な貸出を続けるとき等には、保証人は将来に向って、保証契約を解除することができると解せられています。また借主の債務が、従来の取引慣行と信義則に反して拡大したときは、保証責任は拡大した部分には及ばず、また具体的に保証責任が発生しない以上、保証債務は相続性を有しないと判示されています。
借主について生じた事由は、全部保証人について効力を及ぼします。保証債務は、主たる債務の変更に応じて、内容を変更し常に現時の借主の債務の弁済を目的とするものだからです。これを反対に、保証人について生じた事由は借主に対して影響を及ぼしません。
保証人は、貸主に対する関係においては、自己の債務を弁済するものですが、借主に対する関係においては、他人の債務を弁済する実質を有するものです。そこで法律は、保証人が貸主に弁済したときは、その額を借主に対して請求できるものとしています。委託を受けて保証人となった場合。委託を受けた保証人の出捐償還請求権。この場合の保証人の弁済は、受任者が委任事務の処理をなす場合に該当し、保証人は委任事務処理に必要な費用の償還請求と同一の法理に立って、その出捐の償還を請求できます。つまり、保証人が自己の出捐によって、借主の債務の全部または一部を消滅させたときは、その出捐の額、免責があった日以後の法定利息、および避けることのできなかった費用その他の賠償を請求することができます。
保証人は、弁済の前後に借主に通知すべきであって、これを怠ると、償還額について制限を受けます。委託を受けない保証人になった場合。委託を受けない保証人の出捐償還請求権。この場合の保証人の弁済は、事務管理に該当し、保証人は事務管理者の費用の償還請求と同一の法律的理由により、その出捐の償還を請求することができます。つまり保証が借主の意思に反しないときは、借主はその債務が消滅した当時借主が利益を受けた限度で償還しなければなりませんが、保証が借主の意思に反してなされたときは、求償の当時借主が現に利益を受けている限度においてのみ償還すればよいことになります。

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