保証債務

保証債務とは、借主が借金を弁済しない場合に、保証人が弁済をなす責任を負うことによって、借主の債務を担保するものをいいます。例えば、金10万円の借主が期日に10万円を返済しないときは、保証人が10万円の支払をなす責任を負うことです。保証債務は借主の債務と同一内容を有し、借主がその債務を履行しない場合に、これを履行することによって、貸主に対し、借主が弁済したのと同一の利益を与えようとするものです。保証人の負担する債務が、借主の負担する債務と同一のものであるか否かについては、学説は分れていますが、保証人は借主とは別個の、保証債務を負うと解するのが通説です。保証債務は、借主の債務を担保することを目的とするものであるため、借主の債務に付従します。これを保証債務の付従性と称します。このことから、第一にその発生については、借主の債務が存在しなければなりません。ただし将来の借主の債務の保証は認められます。第二に、借主の債務が無効であるか、または取消されたときは、保証債務は無効となります。第三に保証債務の内容は、借主の債務より重いことはできません。第四に借主の債務の内容が変更又は拡張されたときは、保証債務も、それにしたがって、変更または拡張されます。第五に、借主の債務が消滅したときは、保証債務もまた消滅します。

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保証債務は貸主の債権を担保することが目的であるため、借主の債務に対する債務が危に移転したときは、保証債務も当然に、それとともに移転します。これを保証債務の随伴性と称します。
保証債務は、借主の債務不履行の場合に実現せられれば足りるために、保証人は原則として、借主の債務不履行の場合において、その補充として、その債務を履行すべき責を負うのにすぎません。これを保証債務の補充性と称します。催告の抗弁およぴ検索の抗弁は、この補充の効果です。
日本の保証契約の実際においては、貸主と保証人とが直接に保証契約を締結することはほとんどなく、多くは、借主が、あらかじめ借用証書を、保証人となってもらおうとする人のところへ待参して、その保証人に署名擦印してもらい、それを貸主に提出して交付します。借用証書には、あらかじめ借用金額が記載されていない場合が普通です。そこで、借主はそれをよいことにして、保証人に対しては10万円借りるから保証人になってくれといって借用証書に保証人の署名捺印を得た上で、後にそれ以上の金額を書き入れて借用することが往々にあります。このような場合に、保証人はどこまで責任を負うのかということが問題となります。これに対し、大審院判例は、保証人が証書に署名捺印して借主に交付したときは、借主は保証人の代理人となることもあり、また意思伝達機関ともなることがあるとなし、したがって、借主が後に至り、保証人の承認した金額を超えた金額を記載して、貸主に交付した場合でも、貸主としては、借主がかかる金額を記載する権限がありと信じるについて、正当の理由があるため、保証人は、その現実に記載された金額について、責任を負わねばならないとしています。このような場合は下記証書に金額を記入して貸主に交付すべきことを一任したものと解せられるからです。
保証契約は、金銭貸借契約と異り諸成契約であって、貸主と保証保証人の間の意思表示の合致のみによって成立します。別に書面に作成することは必要ではありませんが、実務上は保証契約は書面に作成するのが昔通であって、借用証書に、借主と並んで保証人が署名捺印することもあれば、借用証書とは全く別個の保証契約証書を作成することもあります。金銭貸借の後に、保証契約がなされる場合には、後の方式がとられます。保証人という文字は必ずしも使用する必要はなく、その契約の内容において判定するのであり、保証人として署名した者が、立会人か保証人かは、その場合に応じて判断すべきものとされ、下級審判決中には証人として署名した者は保証人と認めるべぎものとしたものがあります。
保証人たる者の資格には制限はありません。ただ契約により、借主が保証人を立てるべき義務を負う場合には、保証人は、行為能力者であり弁済能力のあるものでなければならないと解せられます。
保証人は、借主の委託によって保証人となる場合もあり、そうでない場合もあります。極端な場合は、借主の意思に反してさえ保証人となれます。したがって保証人が委託を受けて保証人となった場合において、委託契約が無効であり、あるいは取消されても、保証の効力に影響はありません。保証人が借主から保証人となってくれとの委託を受けたときに、種々の条件をつけて保証人となる場合があります。例えば借主に対し他にも保証人を付することを条件としたり、保証期間を1カ月間と限定したり、保証額を制限したりすることがあります。これらの場合にも、そのことを貸主が知らない以上、保証契約の成立には何等の影響がありません。
借主が他に担保品が実在するものと信じたのに、実は実在しなかった場合や、借主が供与するといっていた担保が供与せられなかった場合でも貸主と保証人とが、これらの要件をもって、保証契約締結の要素とした場合は別として、そうでない以上、これらの要素に錯誤があっても、それは単に、保証契約を締結することとなった緑由に錯誤があるのに過ぎないため、保証契約を無効ならしめることはありません。借主に欺かれて、貸主が高利貸と知らないで、保証人となった場合も同様です。
保証契約は、借主の債務に付従して成立します。借主の債務が成立しない以上、保証債務も成立しません。それならば、将来成立すべき貸借債務の保証はどうかというのに、このような保証も有効ですが、その場合には、将来貸借債務が発生したときに成立します。条件付債務の保証は、条件付保証として、現在において有効に成立します。
金銭貸借に際しては、今後継続的に発生すべき数多の金銭貸借債務を、一定の時期において、多くは一定の限度まで担保しようとする保証債務が行われます。例えば甲が乙に今後継続的に金銭を貸付け、丙は一年後において、乙の負担すべき債務の中百万円を限度として、保証の責に任じることを約するようなものです。これを根保証又は信用保証といい、判例により、有効なものとされています。
保証債務が付従性を有する結果、借主の債務が無効となったり、取消されたりしたときは、保証債務もまたそれと運命を共にします。これには一つの例外があって借主が無能力者であって、保証人がこの事実を知っていながら、保証人となったときは、借主の債務が無能力者たる理由により取消されても、保証債務は別個独立の債務を負担したものと推定せられ、これと運命を共にしません。

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