代理人と取引する場合に注意すること

代理人と取引する場合にはかなりの危険を伴います。といいますのは、代理人が本人を代理する権限を持っていないのに、あるいは、自分の持っている代理権の範囲外であるのに、本人の不動産を売却することが多いようにみうけられるからです。ですから、代理人と称する人を相手にするときは、その人がこの不動産取引についてほんとうに代理権を持っているかどうかを確認する必要があります。本人にたずねるのが最も確実ですが、事情によっては、「そんなに信用できないのか」と代理人が気を悪くしてその後の交渉がうまくいかない、というおそれもないとはいえません。それでは最小限どのようなことを調べたらよいのでしょうか。代理人が本人からの委任状や本人の実印、印鑑証明書などを持っているかどうかを確かめれば、まず八〇パーセントから九〇パーセントくらいは大丈夫だろうと思います。かりに代理人と称する者に代理権がなくても、一定の場合には、本人との間に契約が成立することが認められている(表見代理)からです。

スポンサーリンク

お金を借りる!

つまり、(1)ほんとうは与えていないのに、ある者に代理権を与えたと表示した後、その代理人と表示された者が表示された代理権の範囲内で代理行為をした場合には、本人は、代理行為の相手方がその代理人に代理権のなかったことを知っていたか、過失によって知らなかったことを証明しないかぎり、本人としての責任を負わねばなりませんし、(2)代理人が代理権の範囲をこえて代理行為をした場合に、相手方がこの行為についても代理人に代理権があると信じ、かつ、そう信じるについて正当の理由があるときにも、同様に表見代理の成立が認められ、(3)さらに、かって代理人が持っていた代理権が代理行為のときには消滅していたのに、相手方が代理人に代理権があると信じ、そう信じることについて正当の理由があるときにも、同じ取扱いが承認されています。
委任状の交付は(1)の代理権授与の表示とみられますし、実印や実印の押してある証書を持っている者の代理権を信じて取引するのは、(2)(3)にいう正当の理由があると認められています。ですから、問題になった行 為について代理人が代理権を持っているかどうか疑問と思われる事情があれば格別、委任状や印鑑などが本人の意思にもとづいて代理人に交付され、これを信じて相手方が売買した場合には、じつはその代理人に代理権がなくても、(1)ないし(3)の法理により、本人との間に売買契約が成立することになります。(1)(3)の表見代理による権限をこえる行為でも、(2)によってふたたび表見代理の成立することが認められていますから、なおさらこのようにいえましょう。例えば、電車の窓から「新築売家、委細は現場のAあて」という看板を見たYが、Aと家屋の売買について交渉したところ、Aが家屋建築許可証、土地使用承諾書を見せ、この家屋はXの所有物であるが、その売却はXから委せられているというので、Yは、現場付近でAの人柄を問い合わせ、それ以上売主Xを訪ねることなく、じつは買受人募集の権限しかないAを、Xを代理して売却する権限まである者と信じたような場合には、(2)の表見代理が成立します。
これまで述べたことは、委任状などがとにかく本人から交付されたときにはあてはまりますが、例えば、委任状が偽造のものであったり、印鑑が盗用されたときなどには、本人に代理の効果は生じません。さきに八〇パーセントから九〇パーセントまでは大丈夫といいましたのは、こういうことを勘定にいれたからです。たまたま、代理人の示した委任状などが偽造だった場合には、それを信頼した人は不運とあきらめるよりほかありません。もっとも、こんなときには自称代理人に対して損害賠償などの責任を追及できますから、代理人の人柄や資産状態を調べることも、二次的に重荷だといえましょう。

お金を借りる!

試用期間中に解雇された/ 仕事中に負傷したときの補償/ 倒産の場合の未払賃金や退職金/ 結婚したら退職するという誓約書の効力/ 配転、転勤は拒否できるか/ デモで逮捕されたら解雇されるか/ 労働者はいつでも退職できるか/ 機械を賃借している場合の故障中の使用料は/ クビになった集金人に支払ったら/ 中古車を売買するときの注意点/ 見本と違う商品を送られたときの処理/ 店舗拡張のため銀行から融資を受けたい/ 恩給を担保にすることができるか/ 子供が生まれたら明け渡すという約束/ 一方的に賃料の値上げを請求された/ 家主が変わり明渡しを請求された/ 借地権の譲渡と借家の転貸し/ 建物の増改築の申入と地主、家主の承諾/ 契約更新の申入れと地主、家主の拒絶/ 造作買取請求権と引渡し拒否/ 内縁の妻は亡夫の借家権を引き継ぐか/ 土地建物を売買するときに必要な調査と準備/ 売買契約書に捺印する際の注意点/ 代理人と取引する場合に注意すること/ 売主の登記移転義務と買主の代金支払義務/ 建売住宅の雨漏り修理費/ 積立を完了したが、建築に着手してくれない/ 購入した土地が登記面積よりも少ない/ 違反建築物を買ったとき/