契約更新の申入れと地主、家主の拒絶

期間満了による契約の更新請求は、借家の場合によく問題になります。とくにアパートやマンションなどでは、期間を二年とか五年とかに限定し、もし家主の気にいれば引き続いて貸そう、つまり、賃貸借契約の更新を認めよう、とすることが多いようです。借主の方でも、とにかく約束したのだから、期間が満了すれば当然明け渡さなければならない、と考えがちです。しかし、アパートやマンションにも借家法が適用されるのですから、借主の法的地位は、この点に関しては、はなはだ強いといってよいかと思います。すなわち、借家法二条一項によりますと、期間の定めある賃貸借(借家)契約では、期間の満了する六ヵ月ないし一年前に、家主から借家人に対して、満了後は貸さないとか、家賃の値上げに応じなければ貸さない、と言わなければならないとされていますから、満了直後に家主が更新の申入れを拒絶するなどといっても、法的にはほとんど意味がありません。なお、家主がここに述べたような処置をとった場合でも、満了後に借主があい変わらず借家に住んでいれば、家主の方からこれに対してすぐに異議を唱えないかぎり、期間満了の際に前の賃貸借と同一の条件でさらに賃貸したということになります。こうした手続を踏んでもなお、家主に「正当の事由」がなければ、更新を拒絶して借主に家屋を明け渡してもらうことはできないことになっています。
ところで、ここで問題とされている家主の「更新拒絶」ですが、本来の更新の問題としては法的に無意味ですが、「とにかく家を明け渡してくれ」ということですから、更新拒絶ではなくて、解除の申入れとみることができます。つまり、借家契約は以前と同一の条件で更新されたことにまちがいはないのですが、更新後の契約は「期間の定めのない」ものとなり、家主のほうからいつでも解約の申入れをすることができる、とされています。

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この解約申入れが効力を生じるためには、家主の側に「正当の事由」があることと、六ヵ月前になされることを必要とします。後の要件は、申入れがあってから六ヵ月後に効力を生じることになるのですから、結局時点のずれということで、ほとんど問題はありませんが、正当の事由を必要とするという要件は、どういうことを意味するのでしょうか。借家法一条の二によりますと、「自ら使用することを必要とする場合」とあって、家主自身が使用すると言えば六ヵ月後に家を明け渡してもらえそうに思えますが、そうではなくて、自己使用の必要というのも、正当の事由があるかないかを決めるひとつの事情である、と解されています。一般的には、家主が明け渡してもらえないことによってこうむる不利益と、借家人が明け渡すことによってこうむる不利益とを天秤にかけ、家主に煩くときは正当の事由「あり」、借家人に傾けば「なし」ということになります。もう少し具体的にいいますと、家主が生計のためその借家で事業を行なう必要があるとか、生計のため借家を売却する必要があるとか、老朽のため新築、改築する必要があるとか、家主が自分の借家先の家主から明渡しを迫られているなど家主に切実な居住の必要があるとか、借家人が家をさがす努力をしなかったとかいう事情などは、正当の事由ありと判断されるのに有利な事情といえます。反対の例としては、借家人から家屋の一部の明渡しをうけて雑貨商を営んでいた家主が、借家人の移転先を提供して家屋の残部の明渡しを求めた際、その提供された移転先は員数には大差ないが、土間の部分が現在の借家よりはるかに狭く、借家人が看板業を営むことは困難であると認められるときは、正当の事由なしとしたものがあり、その他、借家人の製薬会社社長、大学教授という社会的地位を考慮して、正当の事由を否定した例もあります。
なお、借地の場合も、その地上に借地人の建物が存続しているときは、地主は正当の事由のないかぎり契約の更新を拒むことができません。また、地主に正当事由ありと認められ、借地人が土地を返さなければならない場合には、借地上の建物などを時価で買い取るよう地主に請求することができます。

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