恩給を担保にすることができるか

恩給を担保にして金を貸す、という話をききますが、じつは、恩給をうける権利を他人に譲ったり質入れ(担保)することは、恩給法で禁止されています。ただし、例外的に国民金融公庫に担保に入れることは認められます。また、この恩給をうける権利を差し押えることもできません。例外として、国税滞納の場合にかぎって、一時恩給と普通恩給の差押えが許されます。
これは、恩給というものが、比較的安い俸給で国家のため尽くしてくれた公務員やその遺族に対し、国家から「ごくろうさん」ということで、極端にいうなら、恩給的に与えられるものであるから、恩給をもらう権利のある人(受給権者)だけに支払われるべきだ、という考え方にもとづくのです。もっとも、恩給とはかなり性格の違う、国家公務員共済組合に対して組合員がもつ各種の年金請求権についても、譲渡したり、担保に供したり、差し押えたりすることを禁止する規定がありますが、これは、社会保障的見地から、年金請求権者にだけ支払うべきものと考えられているからでしょう。

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街の金融機関や高利貸しなどは、恩給受給権者に金を貸す際に、恩給証書を預かるとともに、恩給を受け取ることを受給権者が高利貸しに依頼した、という委任状を作成し、さらに、元本と利息の支払いに受け取った恩給をあてることにし、元利合計全額の返済をうけるまで、受給権者は前記の委任契約を解除できない旨約束させる、という方法をとっています。これが、いわゆる「恩給担保金融」の実態です。つまり、法律で禁止されていることを、うまく法をくぐって実現しようとする悪質なやり方で、形式的に法律に違反しないからといって、こんなことを認めるわけにはいきません。したがって、このような行為は「脱法行為」として無効だ、とされています。無効ということは、この場合には、具体的にどうなるのでしょうか。
恩給はあくまで受給権者が受け取りに行かなければならず、他人に依頼してはいけないなどとしますと、不便で仕方がないでしょう。例えば、受給権者が病気で入院しているような場合を考えれば、このことは明らかです。それでは、どうしても受給権者が自分で受け取りに行けない場合にだけ、他人が代わって受け取れる、とすればよいかといいますと、そうもいきません。ほんとうに受給権者が自分で受け取れないのかをいちいち調べなければならなくなって、事務が繁雑になるからです。ですから、受給権者が受取りを他人に依頼することじたいは法律的に問題になりません。不当な結果になるのは、金を全部返すまで、恩給証書を高利貸しが握っており、しかも、受領の委任契約を借主である受給権者から解除できない、と決めているからなのです。この取りきめがあるからこそ、実質的に、高利貸しが受給権者の国に対する恩給受給権を質にとったのと同じ効果を生み出すこととなり、恩給法一一条を骨技きにしているわけです。
そうすると、結局、無効なのは、金を返すまで委任契約を解除しない、という約束だ、ということになりましょう。したがって、前記の約束で金を借りた場合でも、受給権者はいつでも受領の委任契約を解除して、恩給証書の返還を請求することができます。もちろん、高利貸しは容易に返してくれないでしょう。そういうときは、裁判所に対して訴訟をおこし恩給証書の返還を命じてもらうよりほかありませんが、そこまでするのはたいへんだという人が多いと思われます。それならば、受給権者がいつも恩給を払ってもらう支払機関へ、事情を話して高利貸しに払ってくれるな、と申し入れるのも、ひとつの方法かもしれません。しかし、この方法をとっても、通知しなかった支払機関から高利貸しが受け取ればおしまいですから、たいした効能はないともいえましょう。

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