見本と違う商品を送られたときの処理

見本またはひな型を見せて、これと同じ商品を売りましょう、ということで成立した売買を見本売買といいます。これは、売買される商品が、見本のもっている品質、かたちと同じであることを保証した売買だといえます。ですから、見本と違う商品が送られてきた場合は、この保証、約束に反したことになります。買主はどうすればよいかについては、こまかく議論すると、むずかしくなりますが、おおよそ次のような手段をとることができると思われます。
まず、送られてきた商品だけが見本と違う、例えば、できそこないであったり、破損していたような場合ときは、完全な他の同種の商品と取りかえてもらうことができます。ところが、陶器のようなもので、大量に生産されたその商品がことごとく見本と違ったときは、完全なものとかえてくれ、というほうが無理でしょう。この場合には、契約を解除するか、または、代金の減額を請求するよりほかありません。つまり、見本と著しく違うときは、そんな商品を買っても仕方がないでしょうから、売買契約をご破算にし、まあこれでも辛抱できないことはないという程度なら、代金の値引きですまそう、というのです。もっとも、以上の場合で、見本と違う商品を送られたために買主が損害をうけたとき、例えば、見本より悪いリンゴを送ってき、それが虫くいで、虫が買主の虫くいでないリンゴにまでうつったような場合には、べつにその損害の賠償を売主に請求できます。

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以上述べたことは、売主が知りながら、または不注意で見本と違う商品を送ったことを前提にしていますが、ほとんどの場合、この前提はみたされることと思われます。売主のほうで十分注意していたのに、送られた商品が見本と違い、かつ、通常の注意ではその違いに気がつかないときは、買主がその違いを知ったときから一年間は、契約の解除か損害の賠償を請求することができる、とされています。要するに、普通の場合には、見本と同じ品物の要求、契約の解除、代金の減額(一種の損害賠償)のいずれかと、別口の損害賠償を要求できるわけです。違いにすぐ気がつかないときは、民法五七〇条でいくことになりましょう。
なお、商法五二六条によりますと、商人間の売買では、売主が見本と違うことを知りながら商品を送った場合を除いて、買主は受け取った商品をただちに点検し、見本と違うことを発見したときはすぐ売主に通知しないと、買主はさきに述べたような手段をとることができない点に注意してください。また、商人でない人は、民法五七〇条による場合を除いて、売買契約のときから一〇年間はさきに述べたようなことを主張できますが、あまりに非常識な主張の仕方は認められませんから、せいぜい早い時期にいずれかの方法をとるべきでしょう。
見本やひな型と商品が同じか違うかは、社会通念によって決めなければなりません。食堂やレストランのショーウインドウーに陳列された美しい料理模型と実物が違うから、食べるのはやめたとはいえないでしょう。少々の違いのあることは、常識とさえいえるでしょうから。また、写真や絵と文字で品質などを表示して申込みを募る、いわゆる通信販売の場合、見本の呈示があったかどうかかなりの疑問が残ります。しかし、一種の見本売賀とみてよいと思います。ですから、値段と写真や説明文をにらみ合わせて、その物が通常もっている品質とはどの程度のものかを決めるべきでしょう。
なお、通信販売では、デパートが間に入っている場合があります。実際に販売する売主とデパートとの関係は様々でしょうが、とにかくデパートの名が出ている以上、買主に対してデパートが、まず責任を負うのは当然だといえます。法律的には、デパートは自己の信用力によって、見本と商品とは同じであることを一般の人たちに対して保証した、ということになるからです。

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