倒産の場合の未払賃金や退職金

普通「会社が倒産した」といわれる場合は、二つにかけて考えられます。ひとつは、会社の資産状態が悪くなって、借金を払えなくなったり、借金がかさんで会社のプラスの財産より多くなりますと、「破産」が宣告され、会社の正常な運営は停止されて、会社がなくなってしまう場合です。それでは会社の従業員や取引先に対する影響が大きくて好ましくありませんので、破産を避けるための方法が講じられています。会社更生法による場合がそれですが、この場合も一般的に倒産といわれています。
まず、破産の場合を考えてみましよう。会社が破産宣告を受けますと、会社は破産手続が完了するまで存続しますが、会社の財産はすべて裁判所の選任した破産管財人によって管理、処分され、会社はそれについてなんの権限ももちません。そして、会社に対して破産宣告前の原因によって生じた財産上の請求権は、その権利者の申出により破産債権とされ、平等に支払われます。しかし、どんな債権でも平等に取り扱うと、社会的に好ましく無い結果になりましょう、例えば、いくらでも金のある高利貸しの債権と労働者の賃金請求権をくらべてください。そこで、法は未払賃金などについては、特別の扱いをしています。
破産した企業が株式会社か有限会社の場合には、労働者は一般の債権者に優先して、未払賃金全額の支払いをうけることができます。ただ、そうはいっても、国税とか、質権、抵当権などは、賃金請求権に優先しますから、労働者が賃金全額を受け取ることは、実際上は不可能に近い、といってよいでしょう。また、個人経営の企業の場合にも、労働者が支払いをうけるべき最後の六ヵ月の賃金につき、一般財産に優先する権利が認められていますが、会社について述べたのと同じようなことがいえます。なお、労働者の作り出した製作物からも、賃金の優先支払いをうけることができます。ただし、この場合、工業労働者は最後の三ヵ月の賃金、農業労働者は最後の一ヵ年の賃金しかとれない、という制度があります。

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破産した、または、しそうな会社でも、再建の見込みがある株式会社には、債権者や株主その他利害関係人の損得を調整しつつ、事業の維持、更生をはかるため、会社更生法が適用されます。そうなりますと、労働者の未払賃金請求権は、身元保証金や社内預金の返還請求権と同じく、更生手続開始前六ヵ月分にかぎり共益債権として取り扱われ、他の債権はおろか担保権にも優先して、更生手続によらずに適宜支払われます。ですから、破産の場合よりも賃金請求権が厚く保護されている、といえます。ただ、会社の財産が共益債権全額を支払うのに不足なことが明白になったときは、労働者の未払賃金も、まだ返済されていない共益債権の割合に応じてしか支払われません。
以上は未払賃金についての説明ですが、退職手当についても、同じこと がいえます。というのは、退職金の法的性質について、賃金の一部を退職により支払うものと説く考え方(賃金後払い説)があてはまるからです。ただ、会社更生法が適用される場合には、いくつかの特別措置がとられています。まず、更生計画を認める裁判所の決定前に退職した労働者の退職手当請求権は、退職前六ヵ月の給料に相当する額か、または、その退職手当の額の三分の一に相当する額のうち、いずれか多い額を限度として、共益債権となります。この規定は未払賃金請求権には影響がありません。会社の従業員であった者で、更生手続開始後、引き続き新会社の従業員となった者は、もとの会社を退職したからといって退職手当をうけることはできません。ただし、新会社を退職する場合には、もとの会社の在職期間は退職金計算の基礎になる勤続年数に算入されます。

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