抵当権

抵当権とは、債権者が債務者から占有を移さずにその債権の担保に供された目的物について、他の債権者に先立って自分の債権の弁済を受けることのできる権利です。抵当権の設定は、質権の場合とちがって、目的物を引渡さず、設定者の手元にとどめておいて、ただその旨を登記しておくだけでよくなっています。この点に抵当権制度の有用性があるのであって、近代的企業または営業の資金獲得手段として、また投資の手段として重要な地位を占める理由があります。

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抵当権は、通常は不動産を目的としています。しかし、このほか、地上権などの不動産物権や、登記された船舶、立木、漁業権、採掘権などをはじめとして、鉄道財団や工場財団など施設を一団として抵当権の目的とすることも認められています。なお、動産は民法上抵当権の目的物とされていませんが、農業者や中小企業者の要請に基づいて、特別法により、動産に抵当権を設定することが認められています。これは農業用動産、自動車、航空機など公示、登記、登録のできる特殊な動産にかぎられ、これらの動産を自分で利用しながら、その物を担保にして金融の道を図るという効用を発揮するのです。
抵当権者は、期限が到来しても債務が履行されない場合に、低当権を実行して抵当物につき優先弁済を受けることができます。この抵当権の実行は、当事者の契約による実行方法と競売手続きによる方法とがあります。
抵当権は担保物権として債権を担保するためのものであるために、担保されるべき債権が存在しなければなりません。しかし、実際取引の必要に応じて、将来確定しまたは生じるであろう特定の債権を担保するため、抵当権を設定するということがあります。当座貸越契約におけるように、将来の貸出につき随時増滅する債権の一定額を担保するというのがこれになります。これを根抵当といいますが、ひろく債権担保の場合に考えられることなので、この制度を根担保と総称します。これは、従来、判例上認められていたものですが昭和46年の改正により民法上の制度となっています。
抵当権の実行に際して、抵当物について所有権や地上権を取得したいわゆる第三取得者の利益を考慮する必要があります。このための制度として代価弁済や滌除などの制度があり、さらに他の債権者や次順位抵当権者の保護についての制度も設けられています。
日本では土地と家屋を別々の不動産としているので、抵当権をそれぞれに設定できるわけです。この場合、抵当権実行の結果、土地と家屋の所有者が別々になり、そこに不都合が生じる場合があります。このための措置として、民法では法定地上権の制度を認めています。
抵当権は債権に従たる権利であるために、債権が譲渡されれば当然に抵当権の移転が生じますが、民法は抵当権が独立に処分されることを認めています。つまり抵当権者は、その抵当権をもって自分の債務の担保に供することができ、自分と同一の債務者に対して債権を有する者のために、抵当権を譲渡したり放棄したり、抵当権の順位を譲渡したり放棄したりすることもできます。

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