留置権と先取特権

他人の物を占有する者は、その物について生じた債権を有するときはその弁済を受けるまで、法律上その物を留置する権利を認められます。この権利を留置権といいます。例えば時計の修理を頼まれた時計屋は、その修理代金の支払いを受けるまでその時計を留置することができるのです。これは当事者間の公平を考慮すると同時に、目的物を留置しておくことによって債務の履行を促すことを目的とする制度です。同時展行の抗弁権と同趣旨の制度ですが、それは、もっぱら債権担保のための物権とされている点に特徴があります。
先取特権とは、ある特殊の債権者が、法律の規定によって、債務者の財産につき他の債権者に先だって弁済をうけることのできる権利、すなわち法定優先弁済権です。これは、民法や商法など法律の規定によって発生するものであって、その内容や効力も当事者間の契約によって決まるものではなく、全て法定されています。この制度の越旨は、全ての債権につき債権者平等の原則を貫くとすると、社会的、道徳的、政策的な見地から妥当を欠くような事情、例えば雇人の給料や葬式費用のように、他の一般債権と同じく按分比例的な弁済を受けるだけでは不都合だと考えられる事情の債権を待別に保護し、他の債権より優先的弁済をうけさせようとする点にあります。
先取特権は、その目的物が責務者の一般総財産であるか、特定の動産または不動産であるかによって、一般先取特権と特別先取特権に分れ、特別先取特権は、動産先取特権と不動産先取特権に分れます。一般先取特権は、共益費用、雇人の給料、葬式の費用および日用品の供給代金などの債権を有する者につき、債務者の総財産の上に優先弁済を認められた権利です。動産の先取特権は、不動産の借賃について賃貸人は賃借人が備えつけた動産の上に優先権を有し、宿泊料や飲食料について客の手荷物の上に優先権をするというように、法律が定めた特定の債権について、債務者の特定の動産から優先弁済をうけることを認められた権利です。不動産先取特権とは、不動産の保存、工事、売買から生じた債権につき、その債務者の不動産の上に優先弁済を認められた権利です。
先取待権は優先弁済をうける権利で、目的物を留置することはできません。この意味で先取特権は優先弁済権だとされます。先取特権はその種類が多く、また同一目的物に2個以上の先取特権が競合するような場合もあるので、いずれが優先するかという順位の問題が起ることに注意する必要があります。

スポンサーリンク

お金を借りる!

債務不履行による損害賠償の請求/ 債務履行を強制する手段と方法/ 債権担保の手段/ 人的担保である保証債務/ 連帯債務/ 留置権と先取特権/ 質権/ 抵当権/ 担保制度/ 譲渡担保の実行/