元金が時効になったら遅延損害金はどうなる

 借りた元金が時効にかかったとき、遅延損害金を払うべきなのでしょうか。
 この場合、結論からいうと、その必要はないのです。民法第一四四条に「時効の効力は、その起算日にさかのぼる」とうたわれているように、貸金が時効になったときは、その貸金は時効の起算日に消滅していることになるからです。
 したがって元金が時効になったときは、それ以後の遅延利息も支払う必要はないということになります。大審院の判例でも、「元金債権が時効により消滅したるときは、その効力は起算日にさかのぼり、元金債権はその日以後においては存在せざることとなり、いったん起算日以後に発生したる履行遅滞にもとづく損害金債権は、元金債権の消滅の結果として当然発生せざりしものとなる」しています。
 すなわち元金債権が時効になって消滅してしまったということは、それはとりもなおさず返済期日のときに消滅したことになるのであるから、当然その後の遅延利息も支払う必要はないということになるのです。

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 時効の完成というのはどういうときのことをいうのでしょうか。
 法律は、権利のうえに眠っているものは保護しないというたてまえになっているのです。つまり貸主がある一定の期間貸している金を回収する努力を怠ったときは、貸している権利を失ってしまい、借主はある一定の期間を過ぎた後は借りている金は返す必要はないことになります。これが時効の完成です。時効は貸金債権の場合で十年、商事行為の場合は五年で完成することになっています。
 ただし、貸主がその期間中に一度でも返してくれるように、という催告状を送っていたときは、時効は中断されるのです。そしてそれからまたあらためて、十年あるいは五年生きのびることになります。
 貸主が当然行使すべき権利、貸している金を請求しないときは時効間完成の要件となりますが、消滅時効がいつから進行するかというと、それは、債権の種類によってそれぞれちがってきます。
 契約書に確定期日がハッキリ書いてあるときは、その期日がきたときから。
 不確定期限の場合は、貸主の返済請求があったときから。
 停止条件つき債権の場合は、条件が成立したときから。
 期限をきめないときは、債権が成立したときから。
 解約の申し入れ、または請求してからその後一定の期間を過ぎたのちに請求できる債権は、債権者(貸主)が解約の申し入れ、または請求をしてから柏当の期間を過ぎたのちに。
 月賦払いのような場合で、貸主が一回支払いを怠ったときはただちに全部の返済を請求できる特別の約束がしてあったときは、その特別の約束に反したときから。
消滅時効の期間はどうかといえば、民法に囲するふつうの債権は十年です。この規定は民法その他の法令の規定によって定められているもの、または十年より短い時効期間を定めた場合をのぞいては、すべての債権に適用されます。

 五年で時効にかかるもの - 定期給付の債権、つまり家賃、地代、利息、商行為による貸付金債権など。
 三年で時効にかかるもの - 医師、助産婦および調剤に関する代金、技師や棟梁および請負人の工事に関する債権(この時効はその負担した工事がおわったときから起算することになる)、為替手形の債務者にたいする請求権。
 二年で時効にかかるもの - 保険金の支払い義務および保険料の返還義務、生産者および卸商人または小売商人が売却した産物および商品の代価、職人または製造する人の手間代、学生生徒習業者の教育または衣食住に関する校主および教師または師匠の債権、弁護士などの報酬および手数料。
 一年で時効にかかるもの - 日ぎめまたはこれより更に短い期間できめた雇人の給料。労働者、大工、左管、植木職および芸人の賃金またはその供給した物の代価、運送費、旅館、料理店、宿泊料、飲食料、動産の損料、手形所持人の当該手形の裏書人、為替手形の振出人およびその保証人にたいする償還請求権。

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