担保物件の転質は合法か

 金貸しからお金を借りて、担保を入れておいたところ、その担保物を勝手に転質していることがわかりました。これは違法ではないのでしょうか。
転質は決して違法ではありません。法律でそれをみとめているからです。ただし使用権はみとめてません。さて、法律によって貸主に転質権をみとめているとはいっても、それには一定の制約があります。転質権者(貸主)が転質できる期間は、原質権の弁済期間中でなければなりません。転質したときの金額の範囲は、もとの質権の範囲をこえたものであってはなりません。もし債権額が原質の額をこえているときは、それは無効であるから質権設定者は転質権者にたいしてその被担保債権を支払って転質を消滅することができます。
 もし転質したことによって、質物をこわしてしまったり、失くしたりしたときは、借主は貸主にたいして損害賠償を請求することができます。
 原質が消滅したとき、つまり借りていた金額を返したときは、当然のことながら転質権も消滅してその担保物は借主に戻ってきます。
 以上のようであるから、実際に転質が可能だといっても、それはあくまで原質権の枠内でおこなわれるものであるから、担保を提供していても決して損失ではない、といいうるのです。

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 転質とは、貸主が借主または第三者(質権設定者)に金を貸してやったことにたいする担保として受けとった質物を、自分の借金の担保として他に質に入れること、あるいは、質物を幾度も質入れすることをいうのです。貸主が質物を転質しようとするときは、かならずしも借主の許可を得なくてもよいことになっていますが、しかし借主の許可なく自由に質物を他に転質できるとはいえ、それにはやはり一定の枠があります。
 民法第三四八条に「質権者はその権利の存続期間において自己の責任において質転することができる。この場合において転質をなさざれば生ぜらるべき不可抗力による損失についてもまたその責に任ず」の規定があるのです。つまり無制限にゆるしているのではありません。
 他人に金を貸しているからといって、他人の物を勝手に自分の負債のために質に入れる、つまり転質するということは、いささか解せませんが、しかし刑法上の横領罪にはならないのです。大審院決定によれば「質権者はその権利の範囲内において自己の責任をもって質物を転質となし得ることは、民法第三百四十八条の規定に照し明白なるが故に、質権者に質権設定者の承諾なしといえども、自己の債務につき、その質物の上にその権利の範囲を超越せざる質権を設定する行為は民法上許容せられる権利の行使に外ならざれば、これを自己の占有する他人の物に対する不法損得の意思実行なりとして横領罪をもって論ずるにあらず。ただし新たに設定したる質権が原質権者の範囲を超越したるとき、すなわち債権額、存続期間等、転質の内容、範囲体様が質権設定者に不利なる結果を生ずる場合においては、質権者の行為は横領罪を構成するものとす」
 質権とは、債権者(貸主)が債務者(借主)または第三者(物上保証人)から担保として受けとった物を借金を返してもらえるまで自分の手もとにおいて、もし借主が約束の期限までに金を返してくれない場合は、その物を売って金にかえ、他の債権者よりも優先して自分の質した分に充当することです。
 この質物は貸した金にたいして担保として受けとるものであるから、貸主としては貸した金に相当するだけの質物をとっておくことがたいせつであることはいうまでもないことでしょう。
 借主から金額に相当するだけの質物を受けとると、ここにはじめて質権が設定されることになりますが、いったん受けとった質物は、たとえ少しのおいたでも借主に返したり、貸したり、あずけ たりしてはいけないことになっています。
 つまり「質権者は、質権設定者をして自己に代って質物の占有をなさしむることを得ず」と民法第三四五条に規定されています。
 しかし家屋や土地などのように不動変質の場合は、登記のしてある場合にかぎって、この行為をしても質権そのものの法的効力に変化はないことになっているのです。
 金銭の貸借において、質権となり得るものは、他に譲りわたしできるものならなんでもかまわないのです。つまり動産でも不動産でも一向にかまいません。これにたいして抵当物の場合は土地または家屋などの不動産にかぎられています。また、権利質、つまり債権、株券、無体財産権なども質権の対象となり得ます。
 ところで質権となりえないものは何かというと、これはゆずりわたしのできない動産、不動産あるいは財産権、および禁制物、または神社あるいは寺院所有の国宝、恩給を受ける権利などです。こうしたものはすべて質権の対象とは、なりえないのです。
 担保として質に入れることのできる財産権の主なものをあげると、株式、特許権、意匠権、実用新案権、著作権、などですが、このほか、他人に貸している金、銀行や郵便局へしてある預貯金など質入れすることができるのです。

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