担保物件を貸主が使用している

 Rさんはある人から金をかりて、その担保に某彫刻家の作品を入れておいた。ところがある日、バーヘ偶然にいったところ、Rさんの担任したその作品がかざってありました。聞くとそのバーの経営者が貸主であることがわかりましたが、担保物件をRさん(借主)に無断で使用していいものなのでしょうか。
 結論からいってそれはよくないのです。貸主には担保物件の保管権はあっても、その使用権はないのです。したがって貸主がとっている行為は違法ということになります。もし貸主が担保物であるRさんの彫刻作品を営業に使用する場合は所有者であるRさんの承諾を得なければ使用することはできないのです。つまり担保にはいっていても作品はあくまでもRさんの所有物だからです。
 そこで、Rさんは貸主に厳重に抗議して、その作品を取りはずさせることです。もしそれを実行しなければ、その作品にたいする留置権消滅の承諾をもとめる訴えをおこすことです。

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 担保とは金銭貸借において期日までに金が返せなかったらどうするかについて当事者(貸主と借主)のあいだで前もって約束しておくことです。つまり債務を保証するためのものこれが担保です。
 担保は、普通人的担保と物的担保にわけられますが、保証人などは人的担保の代表といえます。物的担保は家とか土地などのことで、担保としては人的担保よりはより確実で安全だとされています。
 民法できめられている物的担保とは、質と抵当であるが、このほかに売渡担保や譲渡担保などもあります。
 物的担保の担保物は、だいたい動産と不動産と債権であり、動産には家具類から備品、機械、器具などがふくまれ、不動産には土地とか家がふくまれます。債権というのは支払請求権といったものです。
 いったい担保というものは、金を借りた人が約束の期限に返せないとき、貸した金のかわりに物件を処分することによって貸金を貸主が回収するためのものですが、その担保物がほんとうに借主の所有であるかどうかということの調査がなかなか厄介です。
 不動産の場合は登記や登録台帳などをみることによって借主の所有であるかどうかがだいたいわかり、動産の場合の調査もやさしいとはいえませんが、要するにそれが貸した金額と見合うだけの価値があるかどうか、を見きわめることが大切です。
 もし借主が金を返済しなかったら、という場合を想定して、貸主は担保物にたいして抵当権や質権などをつけるのだが、借主が約束の期限がきても返済してくれないときは、貸主は抵当権あるいは質権によって相手(借主)に貸した金額の損失をうめ合わせることになるのです。つまり貸主は抵当物または質物を合法的な手段によって競売にかけ、他の債権者をさしおいてまず自分がいちばんはじめに貸した金額を回収することができるわけです。その場合、貸主がだれよりも優先して貸金を回収するためには抵当権については登記または登録を、質物については、自分の手もとに保管しておく必要があります。
 貸主にとっては金を回収する手段としては抵当よりも質のほうがよい。効果が強いからです。なぜなら質物は一部の例外をのぞいては、そのほとんどを貸主の手元に引きとっておいて、金を返さねば渡せぬと迫ることができるからです。
 ところが、借主にとっては質よりも抵当にしておくほうがよいのである。なぜなら、不動産質とすると、質物を家屋とすれば、それを貸主に引きわたさなければならなくなるからです。
 同じ不動産でも抵当に入れておけば、たとえ約束の期限までに返すことができなくても、いままでどおりその家屋に住み、いままでどおりの生活をつづけてゆくことができる。したがって、質物ではなく抵当に入れておく方がいいということになります。
 担保は借主が約束の期限までにその借りた金額を返済することによってその担保はとかれるのです。これが担保の消滅です。そして借主のところへ戻ることになります。
 借主が借りた金の全額を返すことができないまでもその一部でも返したときはどうなるかといえば、その分だけ借金は滅ったことになるわけであるから、担保もその返済された限度に応じて範囲が小さくなるのは自明の理ですが、現実にはそうではないような態度をとる貸主もあるから十分に注意を要します。要するに債権が主であって担保は従ということです。

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