家の増築にも抵当権の効力は及ぶか

 家を新築したとき、三百万円ほどお金を借りましたが、今度増築することにしました。いうまでもなく家は抵当に入れてあります。こうした場合、増築した建物についても抵当権が及ぶものなのでしょうか。
 それは及ぶのです。抵当権設定の契約をしたときに、増築した分については抵当権はおよばないという特約がしてあるなら別ですが、そうでないかぎり、民法第三七条の「不動産に付加してこれと一体をなしたる物」の規定にしたがって増築した分についても抵当権がおよぶのです。
 したがって、三百万円の借金を約束の期限がきても貸主に返すことができないときは、その増築した分までいっしょに抵当権が実行され、競売はまぬがれないことになるのです。

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 抵当に入れてある家屋を改築したらどうかというと、これも前記のように改築のことを入れておけばよいのですが、そうでないとつぎのようになります。
 抵当に入っている家をとりこわして改築するときは事前に抵当権者(貸主)の承諾を得ることになっています。したがって、Yさんがそれをしないで改築したとすればたいへん不利な立場になります。
 抵当権者に無断で家をとりこわして家を建て直したときは、まだ借金の返済期日がきていないときでも契約を解除されて元利合計金を返さなければなりません。その貸主の要求を拒否できないのです。
 貸主の出方によっては刑法上の建物損壊罪にとわれることになり、五年以下の懲役に付されることもあるから注意すべきです。
 もちろん、こんな厳格なことにならないまでも、貸主の権利は改築した家屋について全面的に抵当権がおよぶことを覚悟しておかなければならないのです。注意したいものです。
 抵当権というのは、債務者(借主)または第三者(物上保証人、借主のために担保物を提供する人)が担保としてだした不動産を、質物のように債権者(貸主)に引きわたすのでなく、その使用収益金はそのまま借主にまかせられている制度です。これを貸主の方からいえば、借主にまかせておくのであって、もし借主が借金を返さないときには、その担保物を競売して売れた代金から他の債権者より優先的に貸金をとるという制度です。
 たとえば、Yさんが現在住んでいる家を抵当に入れたとしても、その家を債権者(貸主)に明けわたす必要はなく、今までどおりその家に住んで生活をつづけてゆけるというわけです。これは借主にとって都合のいい制度であるから担保方法として広く利用されています。
 それにしても貸主は抵当権をどう行使するかということを借主としては知っておかなければなりません。
 抵当は、一般の不動産取引として抵当権の設定を登記しておかないと第三者にたいして抵当権を主張することができなくなるから抵当権設定の契約書を加わしておかなければなりません。
 もっとも登記をしていない場合でも当事者間(貸主と借主)では有効であるから、いざというときには競売にかけることもできるのですが、借主が他の人に売ったり、他の人が抵当権を設定して先に登記をしたとしても貸主は文句がいえないことになるのです。
 ところで抵当の効力はいつ発生するかというと、抵当元来が貸金の返済を担保とするための手段なのであるから、たとえ登記がされても金銭の貸借についての契約が成立しかいかぎりその効力はないことになります。つまり金銭貸借の成立によってのみ抵当はその効力を発生することになるのです。
 また、抵当登記金額が五百万円であったとしても、当事借間における金銭の受けわたしが三百万円だったとすれば、その三百万円の限度で抵当の効力が発生することになるわけです。

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