返済金を供託でするには

 ある人から十万円借り、それを今度かえそうと思うのですが、その貸主が蒸発してしまって行方不明です。こうした場合、返さないでおけば利息がかさむばかりですが、どうしたらよいのでしょうか。
 こういうことは狡猾で、悪辣な貸主によく見られることです。わざと逃げて借主から貸金をとらない。そして担保物をとってしまおうという悪どいやり方です。あるいは利息をかせごうとして、などもあります。
 これにひっかからないためには、元利合計した金額を相手方の住所地にある法務局(またはその出張所、いわゆる登記所)の供託課に供託しておくことです。
 そうすることによって、難を逃れることができます。つまり相手方にたいして返済したのとおなじ効果をもつことになるのです。
 つまり供託することによってその後の利息は支払わなくてもよいことになるのです。
 なお、供託するときは書類をそろえることになっていますが、それは司法書士に頼めばよいでしょう。

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 ところで供託の基本をいうと、どんな場合かといえば、
 貸主が返済金を受けとらないとき・・・借主が約束の期限に、その借金を返そうとしても、これを貸主が受けとらないときで、貸主には何かの下心があるのです。利息をかせごうとか、担保物件をとってしまおうとか。こうしたときにはその返すだけの金額を供託しておくことができます。
 貸主の住所がわからないとき・・・前記の例と同じで金を返そうと思っても貸主の住所がわからないときで、返すことはできないのだから、供託しておきます。
 貸主を確かめることができないとき・・・たとえば貸主が死んでしまって、だれが債権を相続しているのかわからないといったときです。いうまでもなく供託しておきます。
 契約書に譲渡することを禁ずる特約がなされていたにもかかわらず、ほかに譲渡されてしまったために返そうと思ってもその譲受人が善意であるか悪意であるかわからないとき・・・こうした場合も供託しておきます。ただし譲渡禁止の特約が契約書にしてあるときは、善意の第三者には対抗できません。悪意の第三者の場合のときのみです。
 さて供託の結果はどうなるかというと、民法第四九四条の規定にしたがって供託したときは、その人の債務は消滅することになるのです。
 ただし、供託は、解除要件ができなかったときにその効力は確実となるのであって、解除要件とは、供託物のとり戻しのことです。
 解除要件が成立すると、その条件の効力は供託以前にさかのぼって、借金は消滅しなかったことになるのですが、解除要件が成立しないことがはっきりすれば、つまりとり戻し権がなくなったときにはじめて債務消滅になるのです。

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