約束手形と為替手形の相違点

 手形は別名要式証券ともいわれています。そしてその要件は法によって規定されていますが、それ故に手形が法の規定する要件にかなっていないときは、その手形は無効なのであるからそういうことを心において、手形を受けとるときは、手形の要件にまちがいがないかどうかをよくたしかめてから受けとることです。
 さて為替手形を振出す場合に、ぜったい記載されていなければならない要件は何でしょうか。

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 為替手形であることを表示する文字 - 特別に為替手形であることを表示する必要はありません。
 一定の金額の支払い委託 - 手形で支払い委託するときは、不必要な文字をいれてはいけません。
 条件つき支払いの委託は手形そのものを無効にしてしまいます。また手形金額は数字と日本文字で書く場合がありますが、この両者に差のあるときは日本文字で書いた金額が正しいとされます。また日本文字でも数字でも金額がちがっているときはいちばん小さな金額の方を採用されることになるのです。
 払人の名称 - これも書かれてなければなりません。
 手形満期の記載 - これには四通りあります。
 (1) 一覧払い - 一覧の日、つまり手形の支払いを請求するために手形を提示した日を満期になった日とするもの。この手形は、搬出された日から一年以内に支払いのための呈示をしなくてはなりません。
 (2) 一覧後定期払い - これは一覧後のある日数をおいた日を満期日とするもの。つまり引受けのための呈示のあと、ある期間を過ぎた日を満期日とする手形です。
 (3) 日付後定期払い - 手形を振り出してから三ヵ月、あるいは五ヵ月というように期間をきめた日を満期日とするもの。
 確定日払い - これはハッキリと何年何月何日を満期日とするもの。一般にはこの手形が多く用いられていますが、満期の記載されていない手形も、だいたい一覧払いとみなされることになっています。しかし手形の振出人がわざと満期日を書かないで受取人に渡し、それを受取人に任意に書き込ませて振出すこともあります。これを白地手形といいます。
 支払い地の表示 - 法的には支払い地または振出地の記載を要求しているだけで表示法の規定まではしていませんが、手形の支払い地は最小行政区画である市、町、村名まで記載すべきとしています。もし支払地の記載がないか、または特別の表示がない場合は、支払人の居住所が支払地とされ、肩書地は同時に支払人の住所地とみなされます。
 手形受取り人の名称 - 手形受取人の記載がないときは白地手形とみなされます。また手形は形式とその法定要件をそなえているかぎり、受取人に死亡者や実在しない者を記載したときでも、手形要件としてはかまいません。
 手形の振出日付と振出番号の表示 - これは手形の要件としての振出し日であるから、事実にあわない日付を記載しても手形そのものの効力には関係がありません。
 振出人の署名 - 手形にする署名は通称または雅号でもかまわないことになっています。また署名押印といっても、手形の場合は印章を押印することになっており、拇印は、指紋の鑑別に特殊技能を要するから手形のような流通証券にはゆるされていません。また会社の名で手形を振出すときは、その会社の代表機関である取締役の署名押印が必要です。
 白地手形 - これは手形金額や満期日など記載すべき要件を記載しない、未完成の手形です。
 白地手形には白地振出し、白地裏書き、白地引受け、白地保証などがあるが、白地手形はこのような記載されていない部分を記入することによって完全な手形となります。
 白地手形も手形ではあるから振出人か引受人か、ともあれ手形を設定した人の署名がなくてはなりません。
 この白地手形のとり扱いはとくに注意を要します。たとえば、手形に一万円と記載するはずであったにもかかわらず五万円と書いて完成した手形になった場合、手形義務者たる振出人や引受人などは、金額を記載した人にたいしてはいうまでもなく五万円の支払い義務はありませんが、その手形が善意の第三者に裏書きされたときには、その手形の債務者は第三者にたいして五万円の責任をもつことになる。しかし、その白地手形をもっている人が悪意かまたは重大なあやまちをおかして手形を手に入れたときは、それにたいしてもちろん抗弁することができるのです。
 約束手形の場合 - 約束手形は、手形の振出し人自身が債務者として手形金額の支払いを約束した手形であるから、他に手形金額の支払いを委託する為替手形とは似て非なるものがあるわけです。
 この約束手形には支払人がないのであるから、引受け、およびこれにともなう引受け呈示、引受け拒絶による遡求などというものはないのです。
 約束手形には、だいたい為替手形の要件が準用されることになっています。
 満期の記載のない約束手形は、これを一覧払いのものとみなされることになります。
 約束手形は、自分を受取人とする場合は無効です。
 振出地の書かれていない約束手形は、振出人の名称に付記した地で振出したものとみなされる。振出地は特別の表示がされていないときは、これを支払い地とし、また搬出しの住所地とみなされる。
 約束手形の振出しには、必ずつぎの事項を記載しなければなりません。
 ・約束手形であることを表示する文字。
 ・一定の金額を支払うべき旨の単純な約束。
 ・満期日の表示。
 ・支払地の表示。
 ・受取人の表示。
 ・振出日の明記。
 ・振出人の署名と押印。
 さて、以上に見てきたように約束手形と為替手形の要件は同じようなものであるが、一ロにいうと、約束手形は為替手形にくらべて単純であるといえます。為替手形のように委託というようなことがないのですから。

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