法人の権利能力の範囲

法人が社会的活動の主体として、法律によって法人格が与えられたものであるために、法人は自然人と同じく権利能力のみならず法的活動能力が認められなければなりません。このことは法人概念の進展につれて、法人の権利能力の範囲については制限から拡張へ進み、その活動能力についても法人自身の行為が認められろようになり、その範囲も拡張される傾向をたどってきています。法人がその社会的機能において独立の存在が認められている現実をみれば、十分にその作用を果たすべき能力が認められねばならないのは当然で、現在の学説、判例では、このような見地から法人の能力の範囲をなるべく広く認めようとしています。

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法人は、自然人と同じく一般的権利能力を有します。しかし法人は、社会的組織体として、法律上一定の要件の下に法人格を認められたものであるために、その権利能力は、その性質、目的、法令によって制限をうけることになります。法人は社会的組織体であっても、自然人のように肉体を有しないものであるために、肉体を前提とする権利を享有できないことは当然です。したがって法人は肉体を前提とする人格的権利、例えば、生命権、身体的、自由権、親族権、相続権などは、その性質上享有することはできません。しかし、以上の他は一般財産権はもとより、民名権、精神的自由権、名誉権などの人格権は享有できます。
法人の権利能力は、法律または命令によって制限されます。法人の権利能力は法律によって与えられたものであるために、法律によって制限を受けることは当然ですが、自然人の場合と異なって、命令によっても制限できます。ただし法人の権利能カを法令によって一般的に制限した例はなく、商法上に個別的な制限がみられるだけです。さらに、法人は一定の目的のために社会的活動をするものであるために、その権利能力は「定款又ハ寄附行為ニ因リテ定マリタル目的ノ範囲内」に制限されます。判例および通説では定款および寄付行為に定めた目的の範囲は、広くその記載文言から推理し演繹できる事項を広く包含すると解しています。目的の範囲内とは、これをできるだけ広く理解し、法人はその目的に反しない範囲内において権利能力を有するという見解や、法人はその目的にかかわらず一切の権利義務を持ちうると解してもよいという積極的な見解に従っています。
法人は、その権利能カの範囲内において法律上の活動をするわけですが、その行為能力が問題となります。法人は自然人とは違うために、その行為能力については無能力というような間題は生ぜず、法人自身の行為がありうるかどうか、あるとすればいかなる範囲の行為をいかなる形式によって行うのかが間題となります。この点について、法人が社会的機能を営む組織的実在であって、団体意思あるいは組織的意思を有すると解するかぎり、この意思に基づく法人自身の行為が認めらるべきで、法人の意思を体して行動する理事その他の機関の行為が法人の行為であるといえます。そうなると法人が不法行為責任を負うのは当然のことで、民法が「法人ハ理事其他ノ代理人カ其職務ヲ行フニ付他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス」と規定するのは当然の事理を定めた現定だということになります。なお、法人の行為能力の範囲は、その権利能力の範囲と同様に解してよく、事業目的による制限も必ずしも定款や寄附行為に定められた目的内の行為に限りません。

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