無能力者の能力制限と保護者

未成年者が法律行為をするには、原則として法定代理人の同意を得なければなりません。同意を得ないで単独でなした行為は、本人自身またはその法定代埋人によって取り消すことができます。意思能力のない未成年者は、もちろん法律行為をすることはできませんが、意思能カのある未成年者でも、原則としてその法律行為を単独でなすことは制限されるわけで、有効になすためには法定代埋人の同意が要件とされるのです。ただし意思能力を有する未成年者は、身分行為については相当広範囲の能力が認められており、財産上の行為についても、次ぎに挙げる場合には、法定代埋人の同意を得ずに、単独で完全、有効な法律行為をなすことができます。単に権利を得たり義務を免れたりする行為、旅費や学費など法定代埋人が許可した財産の処分行為、法定代埋人が許可した営業に関する行為、遺言による財産の処分、単に第三者に効果を及ぼす行為などがあります。

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禁治産者が単独でなした法律行為は常に取り消すことができます。禁治産者の能力制限は無能力者のうちで最も広汎であって、財産上の待為にかぎり例外はありません。身分上の行為については意思能力のあるかぎり禁治産者でも自らなすのが本則で、禁治産者の婚姻や認知につき民法はこのことを明定しています。
準禁治産者は、所定の重要な財産上の行為についてのみ保佐人の同意を要し、他の行為は、準禁治産者自ら単独で完全、有効になすことができます。しかも、保佐人には代理権がないのであって、準禁治産者の行為はすべて本人自らなすべきものであり、その能力の範囲は、無能力者中最も広いといえます。準禁治産者が、保佐人の同意を得ないでなした行為は、本人及び保佐人において取り消すことができます。無能力者には法律上保護機関が設けられています。したがって無能力者と取引する場合には、この保護者が誰であるかを見定め、むしろその者を相手にして応対することが無難です。
未成年者には、その保護機関として法定代埋人がつけられます。具体的には親権者あるいは後見人です。親権者が第一次の法定代理人であり、親権者がないときまたは親権者が子の財産管理権を有しないときは、後見人が法定代埋人として未成年者の保護の任に当たります。親権者は、未成年者の当然の法定代理人であり、婚姻中の父母は共同で親権を行使し、明治民法のように父が親権につき優越的地位に立つことはありません。父母の一方しかない場合はもちろん単独親権であり、未成年者が非嫡出子の場合には原則としては母が親権者です。後見人は親権者がないとき、第一には最後に親権を行う者の遺言によって指定され、第二には家庭裁判所によって選任されます。法定代理人は、その権限として未成年者の財産を管埋し、未成年者の法律行為について同意権、代理権および取消権を有します。
禁治産者は後見に付せられます。禁治産宣告があれば、後見が開始し、法定代埋人として後見人がつけられるのです。まず、夫婦の一方が禁治産の宣告を受けた場合には他の一方がその後見人となり、その他の場合には、家庭裁判所が選任した者が後見人となります。後見人は禁治産者の療養、看護をなし、その財産を管埋し、法律行為を代理する権限を有します。この意味で後見人は法定代理人ですが、同意権を有しません。したがって単独でなした禁治産者の行為は常に取り消しできることとなります。
準禁治産者には保佐人がつけられます。だれが保佐人になるかは禁治産者後見の現定の準用により定まり、いわゆる法定保佐人、選定保佐人があります。保佐人は準禁治産者の不足している能力を補充する者であって、準禁治産者が特定の行為をなすについて同意を与える権限だけを有し、これを代埋する権限はありません。したがって保佐人は法定代理人ではないわけです。しかし学説上、保佐人には取消権および追認権があると解されています。無能力者が制限内の行為を単独でなした場合は、取り消しうる法律行為として、無能力者側によっていつでも取り消される状態におかれます。そうだとしたら無能力者と取引をした相手方は、無能力者側の意思によって左右される極めて不安定な状態に放置されるわけであり、このことは単に相手方に不利益なばかりでなく、一般取引の安全性を脅かすことになります。この不都合を除去するために,一般的に取消権の短期消滅時効の制度が設けられていますが、この制度によっても相手方の地位は相当長期間不確定な状態におかれて十分な解決策とはいえません。そこで民法ではまず、相手方に催告権を与えて法律関係をすみやかに確定する途を聞くとともに、無能力者が詐術を用いた場合に、その取消権を封じて、相手方の保護を図ることにしています。

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