権利能力の終了

権利能力は死亡によってのみ消滅します。認定死亡や失踪宣言によって死亡を疑制する制度がありますが、現実に生きているかぎり権利能力は消滅することはありません。死亡とは人間の自然的生活体の絶対的消滅をいい、死亡の時期は呼吸および心臓の鼓動が停止した時です。結局は医師の死亡診断または遺体検案の証明によって確認され、これが戸籍に届出られることになります。この届出は、出生の場合と同様に報告的であり、医師の死亡診断書による死亡の届出、記載が死亡の時期を一応椎定しますが、確定するわけではありません。死亡の事実や時期は,相続に聞して重大な影響を与えますが、親子や夫婦が同一の事情の下に死亡した場合は、その死亡時期の前後を証明することは困難であって、相続人決定上問題が生じます。そこで民法では、数人中死亡の先後が不明の場合には同時死亡の推定をすることにしたのです。これは数人が同一の危難に遭遇してその死亡の先後が分からないという場合だけではなく、それぞれ異地で死亡したのですが、その先後が分からないという場合にも適用されます。同時死亡の推定ある場合の主な効果は、お互いの相続関係は起こらないということです。この場合には、一方が死亡した時に他方が生き残っていないとみるために、お互いに相続関係にある死亡者間には相続は起こらないわけです。死亡者それぞれ別々に相統を考えればよいことになります。例えば子のない夫婦が同死椎定をうけると,夫婦の遺産は別々にそれぞれの父母にいくことになります。
水難、火災その他事変によって、死亡したことが確実な場合に、その死骸が発見されなかったり死亡が碓認されなくとも,一定の官庁の責任ある証明によって死亡として戸籍に記載することができる制度を認定死亡といいます。戸籍上も実際上も死亡したものとして扱われ、財産は相続され家族的身分関係もそれで終了します。戦死の公報などはこの類ですが、この死亡の認定にはしばしば誤まりもあり、当人が生存している場合があります。太平洋戦争中に戦死した旨の公報があった者がグアム島、ルパング島で生存して帰還した例もあります。このような場合には,生きているかぎり人格は失われず、事実にのっとって戸籍の訂正もでき、もとより本人の権利能力にはなんらの影響も及ぼしません。
長い間行方不明で生死の事実が不明の場合に、家庭裁判所の宣告によって死亡と同一の効果を生ぜしめる制度を失踪宣告といいます。これは普通平時の場合は7年後、危難に遭遇したという特別の場合は1年後に、その失踪者の利害関係人が家庭裁判所に失跨の宣告を請求し、その宣告の審判があったときは、普通失踪の場合には失踪期間7年が満了した時に死亡したものとみなされ、特別失踪の場合は危難の去りたる時に遡って死亡したものとみなされます。この失踪宣告がされると、その旨が戸籍に記載されますが、失踪者がどこかで生存しているときは、これによって生存者の権利能カを左右するものではありません。帰還した場合にはこの失踪宣告を取り消さなければ死亡の擬制は訂正されません。

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