権利能力の始まり

権利能力は、出生によって始まり、死亡によってのみ消滅します。つまり、人が生きている限り権利能力を持続するのであり、放棄したり譲渡したりすることはできません。全ての自然人は、出生と同時に当然に私法上の権利能力を取得し、階級、身分、性などに関係なく、平等に財産を所有したり取引関係に立つことができます。
出生とは、胎児という生命体が母体から分離独立して一個の人間となることを意味する自然的事実ですが、具体的に、いつ、どんな状態が出生であるかが法律上の問題となります。出生の時期については、胎児が母体から完全に外部に露出した時と解するのが一般です。出生があったというためには,生きて生まれることが必要で、死産の場合にはもちろん分娩の途中で死んだ場合はね権利能力者となることはできませんが、生まれて間もなく死んだ場合には、その限りにおいて権利能力を取得できるために、そのどちらであるかは相続人決定上重要な間題となります。出生は戸籍法の定めにしたがって,生後14日以内に届け出なければなりません。この出生の届出は、婚姻や養子縁組の届出と違って、ただ手続上の関係にすぎないために、人の出生という事実に基づいて権利能力を取得するという実体的関係は、これによって左右されません。婚姻や養子縁組は婚姻屈、縁組届がなければ成立しませんが、出生という事実があれば権利能力を取得するのであって、出生届は出生の事実を報告するにすぎないことになります。したがって出生についての戸籍の記載は出生証明の挙証の材料としては有意義ですが動かすべからざる効カのあるものではありません。医師や産婆の証明によって戸籍簿の記載を争い、これを覆すことができます。たとえば出生の年月目が実際と異なっている場合は、その旨を証拠によって明らかにして戸籍の記載を変えることもできるし、他人の産んだ子Cを生後直ちにAB夫婦が自分たちの嫡出子として届け出て、戸籍にそのように記載されていても、これによってABとCとの間に親子関係が生ずることはなく、戸籍の記載は真実にしたがって訂正できます。
胎児は原則として権利能力を有しません。人の権利能力は出生に始まるのであるために、いまだ母胎にある胎児には権利能力を認めるわけにはいきません。しかし胎児は将来生きて生まれた場合には権利能力者となるはずのものであり、その利益は十分に保護する必要があります。胎児は母親の胎内で約10カ月ほど育まれて出生するのであるために、その間に父親が死亡したりという場合に、まだ権利能カがないからといって、相続権を認めなかったり損害賠償請求権を認めないというのでは不合理です。そこで民法では、不法行為に基づく損害賠償の請求や相続、および遺贈の場合につき、胎児はすでに生まれたものとみなしたのです。

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