第三者異議訴訟

AはBに対する金銭債権の強制執行として、CがBに貸してある優体動産を差し押えました。そこでCが第三者異議の訴えを提起したところ、Aは当該物件に対する差押を解放しましたが、Cとしては、Aが再度同一物につき差押を求めるおそれがあって安心できません。そこでCは、どのような手段をとればよいのでしょうか。この場合Cは、原則として第三者異議の訴えを維持できませんが、再度の執行のおそれが客観的に認められる場合には訴えを維持できるとの見解も有力です。そのほか、訴えを変更して、目的物件に対する不執行の不作為を求める訴え等に改めることも可能です。

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強制執行の目的とされた財産が債務者の責任財産に属しない場合、執行により権利を不当に侵害される第三者は民訴法五四九条の第三者異議の訴えによって当該財産に対する執行を排除することができますが、この訴えの性質については、訴訟法上の異議権ないしは目的財産につき執行を排除しうる法的地位を訴訟物とし、これにもとづいて目的財産に対する執行を違法ならしめる訴えであるとする形成訴訟説。目的財産が債務者の責任財産に属しないという実体法上の権利関係の確認または目的財産に関する責任の不存在という訴訟法上の権利関係の確認の請求であるとする確認訴訟説。債権者に対し目的財産に対する執行をしないという不作為を求める訴えであるとする給付訴訟説。目的財産が執行の引当て財産でないことの確認を要素とし、執行排除の形成的作用をともなう特殊の訴訟であるとする救済訴訟説が対立しています。
本問の場合のように強制執行が現に行なわれていない場合に、第三者異議の訴えを起こし、または維持することは可能でしょうか。
第三者異議の訴えは、個々の財産について執行の排除を求めることを目的とするものであるため、当核財産に対して強制執行がなされる危険がとくに認められなければ訴えの利益が否定されるのは当然ですが、さらに通説たる形成訴訟説によった場合、訴訟法上の異議権は特定の財産に対する執行が開始されて初めて発生するものであるため、執行開始前には訴えを提起できないと説明されるのが普通です。しかし、形成訴訟説をとりながら特定物の引渡請求権の執行の場合には、目的物が特定しており、かつ執行が開始後短時間で終了するので特に救済を与える必要があることを理由として、執行開始前の訴え提起を認める説があります。その場合の訴えの性格づけに問題はありますが、これを肯定できるとすれば、形成訴訟であることから必然的に現に執行が行なわれていない場合の訴え提起は不適法だとはいえないことになります。むしろ問題は、判決後に目的財産を債務者に帰属させるような権利変動が生じることがありうるので、将来にわたる執行禁止が判決の効力の不当な拡張にならないかという点にあるといえます。第三者異議訴訟の判決にそのような効力を認めると、権利変動が生じた場合にも、債権者は訴訟の原告に対する関係で改めて当該財産に関する執行禁止を解除する判決を得たうえでなければこれに対して執行できなくなるために、執行開始前の第三者異議の訴えを認めるには慎重を要します。しかし、本問のような場合、Cとしては、次の執行を待ってあらためて第三者異議の訴えを提起することを要するのでは、Aが故意に差押と解放をくり返すと応接にいとまがなくなるおそれがあり、また、後述のように、訴えを変更しても必ずしも執行阻止のために十分有効な手段とはなりえないのであり、一方で、Aとしては、第三者異議訴訟で敗訴した以上、将来同一物件につき再度執行するにはそれだけの手数をかけなければならないことも甘受すべきものと思われます。ただ執行禁止解除の判決を求める訴えについては実定法に直接の根拠規定がないので、これを解釈上是認できるかどうかの問題は残ることになります。
以上の考察からすると、Aの差押解放が第三者異議の訴えにともなう執行停止決定の効力の回避を狙ったもので、将来再度の執行のおそれがあると認められるような場合については、解放後も第三者異議の訴えの維持を認める見解を操る余地もあると思われます。学説上は、形成訴訟説をとる論者はおおむねこのような場合の第三者異議訴訟の維持を認めないものと思われ、むしろ確認訴訟説の側から、形成訴訟説の弱点として、かかる場合に訴えの維持を認めることができないことが問題にされています。
確認訴訟説においては、執行が現に行なわれていない場合に第三者異議の訴えが許されるかどうかは、将来目的財産に対する執行がなされるおそれが認められるかどうかという確認の利益の問題であり、差押が解放されても再度の執行のおそれがあるときは訴えを維持できると説かれます。この説によった場合、請求認容の判決によって確定されるのは事実審口頭弁論終結時の目的財産の所属であるため、この判決の反射的効力によって将来の執行を阻止することはできないはずであるとの批判があります。しかし、そのような論法からすると、判決の既判力の基準時は常に判決確定以前の時点であるため、現在の執行の排除すら不可能になりかねません。確認訴訟説を前提とする以上、執行機関を拘束して特定財産に対する執行を違法ならしめる判決の反射的効力は将来に及び、その後の権利変動により当該財産が責任財産に属するにいたったことを確認する判決があったときはじめて消滅すると解することになります。

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