遅延損害金

金銭貸借において、借主が弁済期に借金の返済をしないと、貸主は借主に対し、弁済期日の翌日より支払済に至るまで一定利率による賠償金の請求ができます。この金銭債務の履行遅滞に基づく損害賠償のことを、遅延損害金あるいは遅延賠償金といいます。また、その賠償額が、利率と期間とによって算定されるので、利息に類似することから、遅延利息ともよばれますが、それは元本使用の対価ではなく、貸主が貸金の返済を受けて使用することができないことによって被る損害の賠償金です。遅延利息は、利息債権と同様に、すでに発生した以上は、元本債権と離れて独立に譲渡することができ、元本債権に随伴するものではありません。

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民法四一九条一項は、金銭を目的とする債務の不履行に付ては其損害賠償の額は法定利率に依りて之を定む但約定利率か法定利率に超ゆるときは約定利率に依ると規定しています。そこで、遅延利息の割合は、法定利率による場合と約定利率による場合いとがあることになります。
法定利率は、民事金銭貸借においては年五分、商事金銭貸借においては年六分となっています。
貸付利息またはその利率につき特約のない場合、貸付利息支払の特約のない場合、つまり無利息である場合と、貸付利息支払の特約はあるがその利率について特約のない場合とがあります。いずれの場合においても、遅延利息の割合は、前期法定利率によって計算した金額によります。
貸付利息およびその利率に特約のある場合、特約による利率が法定利率より低い場合には、約定利率によるべきことも考えられなくはないのですが、無利息の貸借においてさえ、法定利率による遅延利息を支払うべきなのであるために、このことと対比させてみれば、遅延利息の割合は法定利率によるぺきものとしてかまいません。
約定による利率が法定利率以上で利息制限法の限度内の場合には、遅延利息もそのまま約定利率によります。利息制限法四条一項は、遅延利息の約定がある場合にかぎって適用されるとみるべきであるために、約定利息の二倍の遅延損害金を請求することはできません。
利息制限法の限度を超過する場合、例えば貸付額30万円の約定利息が年二割とされていた場合には、遅延利息は、年1割8分で算定します。
遅延利息の特約のある場合、貸主および借主は、合意によってあらかじめ遅延利息の額を特約することができます。特約は、日歩何銭とか年利何割というように利率で定める場合もあるし、一定額で定めることもあります。これを損害賠償額の予定といいます。民法四二〇条一項は、当事者は債務の不履行に付き損害賠償の額を予定することを得此場合に於ては裁判所は其額を増滅することを得すと規定しています。したがって、貸主は、実際の損害が予定された額以上であることを証明しても、それ以上の額の賠償を請求できず、また、借主も、実際の損害がそれ以下であることを証明して支払を拒絶することができません。
もっとも、不当に高額な賠償の予定は公序良俗に反するとされます。しかし、これらの点は、金銭を目的とする消費貸借以外の金銭債務について問題となるのであって、金銭貸借における遅延損害金については、もっぱら利息制限法四条一項の問題となります。つまり、金銭貸借における遅延損害金の予定は、利率で定めるにせよ、一定額で定めるにせよ、同法同条同項の制限を超えた部分は無効となります。一定額で定めた場合には、履行を遅滞した期間に応じ、同法同条の規定によって計算しその違反の有無を定めることとなります。
借主が期限に弁済をなさない場合に、あらかじめ一定の金銭の支払を違約金と称して約する場合があります。利息制限法四条三項は、これを賠償額の予定とみなすこととした結果、例えば金20万円を、期間一か年、利息年二割、遅延利息年三割、違約金4万円、と定めた場合には、約定遅延利息と違約金とを合計して年三割六分を超えてはならないのであって、これを超過する部分は無効とされます。
一般の債務においては、債務者が履行遅滞によって損害賠償責任を負うためには、債務者の帰責事由と、債権者の損害の立証とを必要とします。しかし金銭債務については民法は特則を設け、償務者は、履行を遅滞したことが不可抗力によるものであることを証明しても、責任を免れることはできず、また債権者は損害を被ったことを立証する必要はないとしています。

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