金銭貸借の利息

友人間の金銭貸借におけるような特殊の場合を除いて、通常の金銭消費貸借には利息を伴うのが普通です。利息には貸主借主間の特約によって生じるものと、法律の規定によって生じるものとがあります。前者を約定利息といい、後者を法定利息といいます。商人間の貸借では、利息について特約がなくても、年六分の利息を支払うべきものとしています。利息が生じる契約は、元本の授受を目的とするところの消費貸借契約と並行して、それに従たる契約です。
利息には、利率の観念を欠くことができません。利率とは元本に対する利息の割合であって、元本利用の一定期間を単位として定められます。利率には契約によって定まる約定利率と法律の規定によって定まる法定利率とがあります。法定利率は、民法では年五分商法では年六分と定められています。当事者間で利息を支払う約束はしたが利率について特約しなかった場合には、民事年五分、商事年六分という法定利率によります。

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利息の性質については、明文の規定はありませんが、一般に元本の使用の対価として支払われるところの金銭その他代替物であるといわれています。利息は金銭その他の代替物ですが、元本と必ずしも同一種類の代替物たることを要しません。例えば米穀物の貸借において利息を金銭で支払ったり、金銭貸借において穀物をもって利息を支払ったりすることができます。米穀消費貸借において利息を米穀をもって支払ういわゆる利米契約については、利息制限法適用の可否をめぐって間題があります。
利息は元本債権の存在を前提として発生します。元本債権がなければ利息は発生しません。元木債権は特定物の返還を目的とするものではなく、同一種類の物の返還を目的とするものです。この点で利息は土地、家屋などの使用対価たる地代、小作料、家賃などとは異なります。また、元本債権に基づかない終身定期金や建設利息なども利息ではありません。
利息は元本使用の対値として支払われるものであるために、法定果実の一種です。
利息は元本の収入、所得であって、元本の償却を含みません。したがって、元本の償却金、分割払いの分割金、株式の配当金などは利息ではありません。
利息の形態は、その計算方法、支払方法等により次のように分類できます。
1.後払利息 最も一般的に行なわれている形態です。後払利息は、弁済期に元本額に対する一定利率により算出され、元本とともにあるいは元本と別個に支払われるものです。例えば元本10万円、利息年1割8分、期問1か年の約定の金銭消費貸借において、借主は弁済期に元本10万円と利息1万8,000円を支払うことになります。弁済期後も、元本を引き続き借り受けるときは利息1万8,000円を支払うことになります。利息の弁済期は必ずしも元本債権の弁済期と同一ではありませんが、当事者間に別段の定めがない場合には、元木債権の弁済期と同一であると解すべきです。
2.前払利息 消費貸借契約締結の際に、予め支払われる利息のことです。利息の前払には、例えば一旦貸付金額を交付した直後に利息を前払いする場合もあり、期間の途中で利息を前払する場合もあります。ここで間題となるのは、前払利息の基準元本額です。前例の前者の場合には、貸付金額から前払利息を控除した額であり、後者は前払時期の残存元本額です。前払利息に関して、特に間題があるのは天引き契約についてです。天引契約というのは、消費貸借締結の際に、利息をあらかじめ計算し、これを前払いの形式をもって元本額より控徐して、差引残額だけを借主に交付し、借主に期限に名義上の元本額を返還させることを約する契約をいいます。例えば元本10万円、年1割8分の天引利息で貸すと、利息1万8,000円を控除した8万2,000円を交付し、期限に10万円を返還させる方法です。従来、天引に関して別段の規定がなく、消費貸借の要物性および利息制限法に関連して疑義がありました。判例は、天引利息が利息制根法の制限内利率であれば、後払利息の場合と同様に、借主に現金授受と同一経済上の利益を与えるために、約定元本額につき消費貸借が成立するものとしました。他方、天引利息が制限を超過する場合には、現金授受と同一経済上の利益を与えるものではないために、超過部分について消費貸借は成立しないとしました。これに対して、学説では、天引の問題点の実質は、その要牲性に存するのではなく、暴利性に存するのだと判例を激しく批判しました。かくして、学説は、要物性の理論を克服し、契約自由の原則上、天引契約を無効と解すべぎではないとし、その結果、天引においては契約どおり全額について消費貸借が成立するものとし、かつ、天引は利息の前払と認め、ただ利息制限法を適用するにあたっては、現実交付額について制限法の許す最高額の利息を算出し、これを通過する天引部分は元本に充当されたものと説くに至っています。この理論をそのまま明文化したのが利息制限法第二条です。
3.複利 弁済期に支払われない利息を元本に組み入れて、その総額に対してさらに利息を計算することです。いわば利息の元本化、利息の利息化です。複利は債務者に苛酷な結果を招くので古くから禁止されてきましたが、民法が複利につき禁止規定をおいていないので、複利契約は有効と解されています。
複利には、法律の規定による法定複利と当事者間の特約によって生じる約定複利とがあります。前者は債務者が一年分以上の利息を延滞し、債権者が催告してもなお支払わないときに延滞利息を元本に組み入れる場合です。当事者間の合意による複利契約には、利息の弁済期が到来した後に利息を元本に組み入れる契約と、利息の弁済期が到来しない前にあらかじめなされる契約とがあります。前者については、利息制限法の制限を超える利息を元本に組み入れても無効ですが、制限内ならば有効であると解されています。間題があるのは後者についてです。貸主が借主において支払できないことを予想し、利息を元本に組み入れることを約すると、債務額が極めて多額に達し、借主に苛酷な結果を招くおそれがあります。近年の最高裁判例は、年数回の利息の組み入れを約する重利の予約は、毎期における組入利息とこれに対する利息の合算額が、本来の元本額に対する関係において、一年につき利息制限法所定の割限利率により計算した額を超えない限度においてのみ有効であると判示しました。
複利の計算方法は、通常の金銭貸借の場合のみならず、郵便局の預貯金の利息や信託銀行の金銭信託の利息の計算方法としても行なわれています。
4.遅延利息 借主が弁済期に借金を返済しなかったために支払うべき損害賠償のことを遅延利息とよんでいます。その実質は遅延損害金、賠償金ですが、利息と同じように一定の利率と期間によって算定されることからこのようにいいます。
5.みなし利息 金銭貸借において、貸主が礼金、割引金、手数料、調査料等の名義で受取る元本以外の金銭は利息とみなされるこれを、みなし利息といいます。従来は礼金、割引料の名目で、利息の制限を逸脱する手段として利用されてきたので、これを防ぐために利息とみなすことにしました。ただし、契約を締結するに必要な費用や弁済をなすに必要な費用はみなし利息から除外されます。
6.おどり利息 手形書替の際に支払う利息です。つまり手形書替に際し、手形振出日から満期日までの利息を前取りする慣行が認められています。その結果、旧手形については満期日の利息、新手形については取引日の利息として、手形書替当目分の利息は二重どりされることになります。この分だけ実質利息の引上げとなります。金融上の商慣習として認められていますが、このような徴利形式は、金利の適正化に照らして問題を残しています。
7.戻し利息 貸金が期日前に全額返還された場合に、貸主が利息や既収の割引料の一部を借主に返還することをいいます。金融機関において行なわれています。年利率の定めがあるときは1年365日として日割計算を行ないます。金融機関も期日まで貸して利息をとる利益はあるために、戻し利息を支払わない場合も考えられます。

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