消費者ローン

近年の経済の動向が反映してか、大衆は貯めてから使うより、使ってから稼ぐ消費形態へと移行しつつあります。金融機関その他の与信者側もこれに対応して、一般消費者からの単純な預金などによる資金獲得が難しくなったため、その打開策として消費者金融、消費者ローンに積極的に対処せざるを得なくなりました。一般消費者が消費者ローンを利用して手に入れる対象物が、自動車、ピアノ、住宅等の商品から教育、旅行などに種類や内容の拡大化をみせる一方で、銀行としては貸付取引の一部門としての消費者ローンの特殊性をよく見きわめた上で、慎重かつ明確な方策をもって業務にあたることが望まれています。
貸付取引における消費者ローンは、銀行と借主たる一般消費者との間の金銭の消費貸借という法律構成のもとに、貸付が行なわれているのが通常です。

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消費者ローンの貸付先である消費者は、他の通常の貸付取引における借主が一般企業であるのと異なり、次の点で特異性が表れます。
借主の経済的な基盤が弱い。
貸付取引の規模は小口貸付が多くなる。
借主の法律的知識が乏しい。
これらの点は、消費者ローンにおいて、与信者たる銀行が十分な認識と配意を要求されるところと思われますが、これに関連して直接、銀行に適用されるものではありませんが、割賦販売法の消費者保護法としての性格および内容を顧慮してみる必要があります。同法は、契約の申込みの撤回等、契約解除等の制限、契約解除に伴う損害賠償の額の制限、ローン提携販売条件の表示等、消費者を保護するための強行規定を設けていますが、同法の直接の適用を受ける商品のメーカーやディーラーと消費者との間の法律関係と同様に、かかる消費者保護の理念は、消費者ローンにおける銀行と借主との間においても無視することは許されないと思われます。それは、両者は、割賦販売と消費者ローンという法律形式は異なっていても、その経済的目的や作用においては何ら変わるところがなく、同法に示される経済的弱者たる消費者の保護の必要性は共通に認められるぺきものだからです。
借主の経済的基盤が弱いことへの対処について、消費者ローンによる融資によって、消費者に商品などを販売するメーカーまたはディーラーが、銀行と提携して保証を行なうことにより消費者の信用を補完する融資方法、つまり提携方式が採用されています。消費者ローンでは、このような提携方式が採用されることが多くありますが、実は、この方式は形の上では、消費者と銀行との間の直接信用でありながら、間接信用の実体を帯有しているのであり、この提携方式による直接信用が考案されたについては、消費者ローンを預金獲得の一手段として利用しようという背景もあったといわれています。
また、消費者ローンにおける信用補完方法として損害保険が利用されるようになっています。この保険には、住宅ローン保証保険と個人ローン信用保険とがあります。前者は住宅ローン利用者と保検会社が保検契約を締結して、住宅ローンの債務者の債務不履行があったとき、これを保険事故として銀行の債権者利益を保全する保険であるとともに、住宅ローン利用者が連帯保証人を得られない際に機能する役割をも合わせ持ちます。後者は住宅ローン以外の消費者金融を対象とし、保険契約者および被保険者は銀行です。
借主が経済的弱者であることから、銀行はその貸倒を防ぐために、借主の信用を審査する制度を整備する必要が生まれ、個人信用情報センターが東京銀行協会内に発足しているのをはじめ、大手都市銀行でも独自の個人信用調査機関を設置しており、これらの機関は、消費者ローンの健全な運営を図るため機能しています。
貸付規模が小口貸付となることが多いことへの対処については、消費者ローンでは企業金融のそれと異なって貸付の規模は小口の貸付となりがちであるために、銀行としては経費削減の対策を講じる必要が生じます。そこで、人の手にかかっている事務処埋を機械化することや、またそれに付随して商品の定型化をはかることが要請されます。商品の定型化可能な事項としては、貸付金額、金利、賃付期間、返済期日が考えられます。これらを機械的処理に適合させれば、経費の無駄を省くばかりでなく、業務の能率化も期待できることになります。
借主に法律的知識が乏しいことへの対処については、銀行は消費者ローンを行なう場合に証書貸付の方法をとり、借主から約定書を徴しています。ここで用いられる約定書は消費者ローン固有のものであるのに、その形式および内容につき、法律的知識の乏しい一般消費者を対象とするのに不相当と思われる部分がみられることがあります。これは消費者金融の特色を考慮しないで無反省に企業金融の取扱を踏襲したことから生じたものと思われますが、約定書の表現を素人に理解しやすいものにしたり、また内容的に不要な事項を除去し、用語などに説明を加えたりする工夫は銀行が当然になすぺき義務です。
消費者ローンの売込みに尽力する銀行は、店舗内に備えたパンフレットをはじめ新聞の広告欄などによって、消費者ローンが気軽に受けられることを一般消費者にアピールしています。これらパンフレットや広告に用いられる文言について充分な注意を怠る、銀行に法的責任が生ずる場合が考えられます。例えば法律的知識に疎い一般消費者が、広告をみて銀行から消費者ローンを必ず受けられるものと信じ、販売業者と提携方式による商品の購入契約を締結し、手附金を支払ったところが、融資の申入をした先の銀行から正当な理由なく融資を拒否されたために、販売業者から手付金を没収され、購入契約を解除せざるを得なくなった、というような場合です。こうした場合、広告が銀行自身のものであるときはもちろん、提携先が独自に行なったものであっても、その内容によっては消費者の信頼を裏切ったものとして、銀行につき、不法行為による損害賠償責任が間題となる可能性があります。

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