証書貸付と手形貸付

証書貸付とは、債権者が貸付先から借用証書を差し入れさせてする貸付のことをいい、手形貸付とは、借用証書のかわりに約束手形を差し入れさせてする貸付をいいます。その法的性質はどちらも金銭消費貸借契約ですが、例えば延滞債権の整理回収のために既存債務を証書貸付による債務にあらためたり、当座過振による金融機関の求債権を手形貸付金に改めるような場合には、準消費貸借契約になります。
手形貸付は、主として短期の運転資金の融資に適する貸付形態であり、後述のごとく金銭貸付にあたって手形を用いることは債権者にとって種々の利便があるので、企業に対する短期運転資金の融通を役割りとしている一般の金融機関では、手形貸付が原則的なもので、証書貸付は例外的なものとされています。また、手形貸付は一回限りの個別的な取引としても行なわれることもありますが、通常は同一の貸付先との間に反覆して継続的な取引として行なわれることが多くなります。

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手形貸付は本来的に短期の運転資金の融資に適する貸付形態ではありますが、証書併用手形貸付という形で長期資金の融資に用いられることもあり、この場合も手形のサイトは二、三ヶ月であり、貸付機関がこれよりも長いときは、手形の期日ごとに手形の書替を繰り返すことになります。
証書貸付が行なわれるのは次のような事情がある場合です。
不動産、各種財団、船舶などを担保とする有抵当貸付で、この場合には登記の原因証書が必要なので抵当権設定契約証書を兼ねて証書貸付が行なわれます。
設備資金、長期運転資金、滞貨金整理資金貸付のように返済に長期間を要する貸付で、この場合には債権内容、返済方法などを明らかにしておく必要があるので、証書貸付の方法が利用されます。
地方公共団体など性質上手形の振出が好ましくない取引先については手形貸付の方法によらず証書貸付の方法がとられます。
代理貸付のように証書貸付によることが要件となっている場合。
他企業との提携による消費者金融のように貸出、返済条件等が定まっており、提携先企業の保証により保全面に懸念がないというような場合で、かつ銀行との借入取引に不慣れな一般個人を相手として定型化した大量取引を行なう場合、銀行および借主の事務手続簡略化の意味で証書貸付が行なわれます。
手形貸付の利点として弁済確保の面で有利であること、債権者は消費貸借上の債権と手形債権とを併有することになります。判例、学説もこれを認め、銀行取引約定書もこれを明記しています。債権者はそのいずれを行使するも自由です。しかし両債権とも同一目的のためにあるために、原則として一方の債権が弁済等により消滅すれば他方の債権も消滅する関係にあります。ただし手形債権が時効消滅しても原因債権は消滅せず、原因債権が時効消滅したときは、手形債権については人的抗弁事由になることに注意すべきです。
手形交換所の取引停止処分制度、手形の譲渡により人的抗弁切断の可能性があることなどから、債務者に対し弁済についての心理的影響を与えること。
証書貸付は通常相当詳細な規定が盛り込まれますが、手形の作成、振出、交付手続は非常に簡便です。
取立、回取の容易性
手形の支払場所を貸付金融機関の取引店舖とすることによって貸付先との当座勘定契約により当座勘定で決済することが可能です。
手形訴訟という簡便な制度の利用ができ、期日に返済しないときはその事実を不渡符箋により立証できること。
当該手形を担保差入、割引などの方法により容易に資金化でき、その場合、証書貸付のときは債権譲渡の対抗要件を具備しなければなりませんが、手形の場合裏書交付で足ります。
手形サイトが通常二、三ヶ月であるためにその都度貸付条件を検討し、必要に応じて容易に変更できるか、証書貸付では変更契約を締結したり、登記事項の変更を伴うなど煩雑になります。
その他、証書貸付では利息後払いであるのに対して手形貸付では利息の前取り徴収ができ、それだけ実質金利が高くなります。
証書貸付の利点として、証書によって貸出条件、当事者の権利義務の明確化がなされること。
金銭消費貸借契約証書に担保権設定案項を織り込むことによって、同時に担保契約が設定できること。
公正証書とすることにより証拠力を増すことができ、そこに強制執行認諾約款を入れておけば債務名義となること。
手形貸付の場合は、通常二、三ヶ月ごとに手形を徴求する手続きが必要であり、その都度手形要件の精査が必要となり、また期日管理もしていかなければならない煩雑さがあります。
手形取引の経験のない個人を相手に賃付を行ない、しかもそれが大量にあるような場合には証書貸付の方が便利です。

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