雇傭

雇傭は、当事者の一方である労務者、被傭者が相手方である使用者、雇傭主に対して労務に服することを約し、相手方がこれに対じて報酬を支払うことを約することによって成立する契約です。請負、委任とともに、広い意味でいう労務供給契約に属します。同じく労務を供給することを目的とする契約であっても、請負いは仕事の完成ということが主眼となっていて、労務の結果としてでき上がったものが重視され、委任は信任に基づいて委託された事務を処理するという点に主眼があるために、労務は信用関係にともなう事務の執行のうちに没してしまうのに対して、雇傭は労務それ自体を供給するところに特徴があります。つまり雇傭においては、労務そのものが第一義的意味を有する典型的な労務供給契約であって、労務自体の提供と報酬とが、対価的交換的に結びついているのです。

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民法上の雇傭は個人と個人とが、その自由意思に基づいて、労務の供給とこれに対する報酬の支払とを相互に約するという個人主義、自由主義を基調として形成される契約関係です。しかし、工場や炭坑をはしめ、近代的な企業の内部で行われる労使関係、つまり使用者と労働者との関係は、労働が集団的にかつ有機的に分業と協業との下に行われ、また労働者は無産階級として失業の脅威にさらされるのが現実です。使用者はともすれば労働者に対して一種の支配者としての立場に立ち、労働者は自己の自由意思に基づいて賃金、労務の内容その他の契約条件を決定する力を失い、その結果不当な条件の下に労務者の生存と生活が脅かされることになります。
雇傭関係における市民的自由の立場は、賃労働と資本との関係における社会的勢力関係のゆえに、個々の労働者には、決して有利に展開されるものではありません。それは資本による労働力搾取の自由としての現実的意義をあらわにするのみで、このような搾取の自由から労働者自らが防衛し生活の安定をはかるためには、団結のほかに途はありません。労働組合その他の労働者の団体が自然発生的に発展していく必然性がここにあるわけです。これに対して、国家的立場からも、一面において労働者が集団の威力によって使用者と対等の立場に立って労働条件を決定しようとする運動、労働運動を保護育成し、他面において、労働条件が労働者の生活を脅かすことのないようにその最低基準を定めて使用者を強制する施策がとられるのです。このような施策立法が労働法であり労働組合法、労働関係調整法、労働基準法を中心とした法体系を樹立しています。この労働法の対象にふさわしい労務供給関係が、労働契約として地位づけられ、市民法上の契約関係とは異なった労働法体系の下に規制されることになるのです。
労働契約という観念は、使用者と労務者との関係の従属性に着眼して生じたものであるために、労働の内容が民法上の雇傭の場合に限らず、請負でも委任でも労務者が使用者に対して従属的な関係、地位に立つ場合は,一般に労働契約の観念の中に含まれるのです。請負は当事者の一方、請負人がある仕事を完成することを約し、相手方、注文者が、その仕事の完成に対して報酬を支払うことを約することによって成立する契約です。

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