賃貸借

賃貸借とは当事者の一方、賃貸人が相手方、賃借人に対してある物の使用収益をすることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約することによって成立する契約です。物の使用収益を内容とし、賃借人は借りた物自体を返還しなければならない点において、消費貸借と異なり使用貸借に類似しますが、賃料の支払いが要素になっている点において、使用貸借とも本質的に異なっています。
賃貸借は、他人の物を利用する代表的な契約として、売買と並んで社会、経済生活において重要な機能を営んでいます。近年ではリースとかレンタルなどの賃貸借は、実際生活上、広汎、多岐にわたって利用され、小は資本、貸衣裳、賃席、レンタカーから、大は貸船舶、貸家などきわめて多様であり、他人の土地を利用する場合においても、地上権や永小作権が設定されるよりも賃貸借による借地の方が実際上はるかに多くなっています。とりわけ、不動産の賃貸借は、今目の社会、経済の下において重要な作用を営むのであって、宅地と建物の賃貸借は、衣食の問題とともに生活に極めて密接な関係のある住宅問題を代表し、農耕地の賃貸借は、小作問題、農業問題の法律面の一半を代表しています。
賃貸借に関する民法の現定は、動産と不動産に共通のものが多く、不動産の賃貸借について特別の考慮を払う点が少なく、賃貸借の規定は総じて所有権尊重の風潮が強く、賃貸人と賃借人との実際上の経済力の差を無視した形式的平等を主眼としていて、むしろ賃貸人の利益を考慮することが多く、賃借人の保護に薄い傾向があります。このような民法の制度は前市民的な拘束から解放された所有者の地位を尊重しようという沿革的な市民法理に基づくものではありますが、社会経済の進展と人口過剰に基づく地価や建物価格の高騰にともなって、不動産の現実の利用者である賃借人が社会的弱者の地位に陥らしめ、居住と生活の安定を脅かし、ひいては生産の進展の障害となります。土地建物の賃貸借については、民法制定以来問題となっているところであり、現在では民法中特別法によって質的に最も多く修正されている個所となっています。近年では借地、借家関係において借主の地位を保護するばかりではなく、積極的に住宅対策にとりくみ、公営、公団住宅など国家社会的立場からの政策や規制も伸長しています。現在の賃貸借関係は、前述のような事態を勘案すると、民法の規定のみならず待別法上の賃貸借を考慮しなければ、その全ぼうを知ることができない状態だといえます。賃貸借についての特別法として、借地法、借家法、農地法、建物保護法、罹災都市借地借家臨時処理法などがあります。

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