双務契約と牽連性

各種の契約それぞれに特有の効力、効果がみられますが、契約の効力一般として考察しておく必要があるのは、双務契約の牽連性から生じる間題、つまり同時履行の抗弁と危険負担の問題です。
双務契約における各債務は、一方の債務が履行されるまでは他方の債務も履行されなくともよいという関係に立ち、双務契約において、自己の債務を履行することなしに相手方に対して債務の履行を求めることができるというのでは、公平の観念に反することとなり、各債務は履行上の牽連関係を持つことになります。この関係の妥当な解決を図るための立法上の措置につき二つの立法主義があります。一つは強い牽連関係を認める主義で、双務契約の当事者の一方、債権者が他方、債務者に対して履行を請求するには、まず自己の債務を履行するか、少なくとも履行の提供をしなければならないとしています。他は弱い牽連関係を認める主義で、双務契約当事者の一方、債権者は自己の債務と引換えにのみ他方、債務者に対してその履行の強制をなしうるものとし、自己の債務の履行またはその提供をせずに相手方の債務の履行を請求した場合には、相手方は抗弁権、同時履行の抗弁を有するとするものです。民法では弱い牽連関係を認める立場で、双方の債務の独立性を認め、各当事者は単純に相手方の履行を請求できるとしても、その請求を受けた相手方は、履行上の牽連関係を主張して自己の給付を拒めるものとしたのです。いわゆる同時履行の抗弁権であり、双務契約の場合に限らず、公平の見地から同時履行の関係を認める場合が多くなっています。双務契約における一方の債務が、債務者の責に帰すぺからざる事由で履行不能となったときは、この債務は消滅しますが、この場合に対立する他の債務、代金支払債務はどうなるのかでいうと、一方の債務が消滅すれば他方の債務も消滅することになり、双務契約の存続上の牽連性からいって当然の事となりますが、ここでは危険負担の問題が生じます。この場合は他の債務もともに消滅するとすれば、履行不能によって債務が消滅することの危除は消滅債務の債務者が負担することになり、反対に他の債務は存続するとすれば、この危険は債権者が負担することになるわけであり、いずれに負担するのが妥当かという立法主義が問題になるのです。危険負担についての立法主義は、各国の立法例をみると、債権者主義、債務者主義、分担主義、所有者主義の四主義がみられます。日本での民法は債務者主義、つまり債務を免れた当事者は反対給付を請求する権利を失うことを原則にしていますが、広汎な例外を認め、特定物に関する物権の設定または移転を目的とする双務契約については債権者主義、つまり債務を免れた当事者は反対給付を失わないものとしています。

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