継続的契約と一時的契約

契約は一時の給付を内容にするものと、一定期間継統する給付を内容とするものに分類することができます。前者を一時的契約といい、後者を継続的契約といいます。民法では一時的契約を中心に理論構成されており、継続的契約については、特に意識しての一般理論構成がなされているわけではありません。しかし、近代的社会、経済関係がすべて一時的契約に依存するわけではなく、継続的な取引や、労務提供、金銭の貸借関係など継続的生活関係もまた重要な地位を占め、継続的契約の規制する分野も多く、しかも、このような継続的契約関係は、封建的権成に代わる資本主義的経済力の集成により、支配、服従や従属的関係を形成しやすいために、現代の法では、これらに対処し合理的に継続的契約関係を理論構成することの要請が強くなっています。

スポンサーリンク

お金を借りる!

賃貸借、雇傭、委任、寄託、使用貸借、終身定期金契約などが継統的契約であり、この種の契約によって生じる債権は、定期的または反覆的になされる家賃、賃料などの支分債権と、これを派生させる基本債権とを観念的に分離することができます。支分債権は一時的履行によって完全に消滅するのに対して、基本債権は契約存続の全期間を通して常に履行され続けると観念し、部分的に消滅することがありません。継続的契約では一時的契約に比較すると次ぎのような特質がみられます。
契約の当初から契約のなかったことにするいわゆる解除は認められず、同じく解除という用語が用いられても、それは将来無効を生じる告知、解約、解約申込であるにすぎません。このように告知は継続的債権関係を将来に向かって消減させる一方的意思表示であり、解除のように遡及的に消滅させるものではありません。
告知原因はそれぞれの場合によって違いますが解除原因に関する一般規定である541条以下の規定の適用はありません。継続的契約の本質から考えて、継続関係の基礎にある信頼関係を破壊されるという事態になることが告知原因だと考えることが妥当です。告知期間は借家法などの社会法規では民法の定めるものより長く定められていますが、委任などには即時告知が認められており、判例も信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為のある場合は、即時告知を認めています。
継続的契約は相当長期間に渡るために、長い契約期間中に経済事情の変動が起こりやすく、契約当初の約旨の実行が不当だという場合がしばしば起こります。ここに事情変更の原則を考慮する必要がありますが、むやみな適用は許されず、信義則による枠付が必要で、多く立法措置に待つ例が多くなっています。社会的立法により、家賃、地代の増滅額請求や賃金の値上請求などが認められるのがこれになります。
継続的契約は、その継続期間の長期短期が論じられ、期間の定のないときは告知の自由とその制限が問題となります。また、その継続的性質のゆえに、保証や担保の問題や、継続中の第三者介入の問題が起こり、さらに更新の問題や退職手当金などの問題が生じます。
継続的契約は、人及び物に対して支配関係を設定することになりやすく、この支配関係が封建的支配関係に陥りやすいので、この特質に対する規制として労働法や借地法、借家法というような社会的特別法が要請され、ここに現代私法の重要な潮流が形成されるのです。雇傭の労働協約化や賃借権の物権化はこの表れになります。銀行と与信者である中小企業の関係もこの点の留意が必要です。
ガスの供給や、新聞や牛乳を配達する契約のような継続的供給契約は、いわゆる継続的契約とは異なり、継続的供給契約は、その本質において一時的契約の連続的なもので、前例のそれはいずれも売買ですが、ただそれが一定期間回帰的に給付が行われる点に特色があります。しかし継続的供給契約も、その継続性について継続的契約の性質を認めることができるので、告知権の成立など継続的契約と似た効果が生じる場合が多く考えられます。

お金を借りる!

契約の意味/ 契約自由の原則/ 契約自由の制限/ 典型契約と非典型契約/ 双務契約と片務契約/ 有償契約と無償契約/ 継続的契約と一時的契約/ 契約の成立と効力と解除/ 双務契約と牽連性/ 第三者のために契約した場合/ 契約の解除/ 贈与/ 売買/ 消費貸借/ 使用貸借/ 賃貸借/ 雇傭/ 請負/ 委任と寄託/ 和解/