典型契約と非典型契約

民法では債権契約のうち、贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇傭、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解の13種のものにつき、それぞれ名称を与えて、その内容に関する規定を設けています。これら13種の契約は、法律で契約の型を決め、特定の名称を付けてまとめてあるために、典型契約ないし有名契約といいます。これに対して、このような型が決められておらず、法律上名称も付けられていない契約も多くありますが、これを非典型契約、あるいは無名契約といいます。

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契約の定型化と流動性契約は、他のあらゆる人間的な行為と同じように、人間の習性とか取引の便宜などに基づいて類似の形態で繰り返されることが多くなります。そして実際に社会に行われる契約は、千差万別のようでも、そこに自ずから共通点もあり、何種類かの型に分けることができます。そうなるとそれぞれの型について、それに最も普通の内容だとされるものを現定しておくことは、契約の内容を明確にし、トラブルを起こさない効用があります。民法が定める典型契約は、このような契約の定型化の表れだといえます。現代の実際生活においては、必ずしも典型契約の内容に全面的、的確にあてはまるような内容の契約だけがなされるわけではなく、法律上このような要請があるわけでもありません。むしろ契約自由の原則によって、典型契約の内容とは異なった内容の契約がなされることが多くなっています。ここに非典型契約の必然性があり、社会が進歩し取引関係が複雑になってくると、従来の経験に基づいて定められた典型契約の規定が、必ずしも全ての場合にあてはまるとはかぎらなくなります。これが契約の定型化の流動で、例えば商法上別種の典型契約が現定されることになり、近年はリース契約やオプション契約などが取引慣行上の型を持つに至っています。さらに特別法によって労働契約、信託契約、身元保証契約などが定型化され、一方においては交換、雇傭などの典型契約とされるもののいくつかは、その重要性を失いつつあります。具体的な契約を解釈するに当たっては、全ての契約を民法上の典型契約の規定にあてはめて考えようとすることはできず、それぞれ特色ある取引社会の慣行や当事者の意図する内容を十分考慮して決定しなければならないことになります。
非典型契約のうちには、一つの典型契約の構成分子に属する事項と、他の典型契約の構成分子に属する事項とを合わせてその内容としているものもあれば、また典型契約の構成分子に属する事項と、いずれの典型契約の構成分子にも属さない事項を合わせてその内容としているものもあります。これらは特に混合契約と呼ばれています。例えば注文品の製作販売契約などがこれにあたり、この混合契約は、一個の契約であって、数個の契約の結合である契約の連立とは異なります。契約の連立は、ある食料品製造会社がその所有する店舗を賃貸するに当たり、一定の食料品を供給することを約する場合のように複数の契約の間に結合関係が存する場合です。したがって契約の連立にあっては、二個の契約が互いに条件となり、同一の運命に従うことになりますが、混合契約の場合のように、どの典型契約の規定を参考にして通用したらよいかという間題は生じません。ボランタリーチェーン契約などはこれになります。
混合契約については、法律上どのように取り扱うか、法規の適用をどうするかについて問題が生じます。これについては、この契約に最も近接する典型契約に関する規定を類推適用すべきだという考え方が支配的になっています。しかし、必ずしもこの説にこだわる必要はなく、動きつつある現実の取引上の生活様式をいかに取り扱ったならばその安定と正しい発展が図られるかという立場を基本として考えることが大切です。

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