契約の無効

契約が無効になる場合としては、意思能力のない者がした意思表示は無効とされています。そして公の秩序または善良の風俗に反する事項を目的とする契約は無効も無効となります。意思表示の不一致として心裡留保があり心裡留保とは、表意者が自己の真意でないことを知りながら意思表示をすることで、この意思表示は、相手方が表意者の真意を知っているときにかぎって無効になります。これが実際に重要な役割を演じるのは、代理人が相手方と通じて権限濫用の行為をした場合です。すなわち、製菓原料の仕入、販売を業とする製菓原料店の主任が、自己の権限を濫用して、他に転売して自己の利を図る目的で150万円余の練乳を買い受けたが、売主の支配人も権限濫用の事実を知りながら取引に応じた場合には、買主たる製菓原料店は、民法九三条但書の類推適用により、売買による代金支払いの義務を負わないとされています。しかし、この場合でも権限濫用行為について、善意の第三者は民法九四条二項の類推適用により保護されます。ただし善意の主張立証責任は第三者が負担します。したがって、代理人が、自己の利益を図るため、代理権限を濫用して、約束手形の振出人のために、本人名義で手形上の保証をした場合において、代理人から手形の交付を受けた手形受取人が権限濫用の事実を知っていた場合は、受取人に対する国税滞納処分として手形を差し押えて占有するに至った国において、差押当時受取人の知情の点について善意であったことを主張立証しないかぎり、本人である保証人は、国に対し、手形上の保証による責任を負いません。

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相手方と通謀してなした虚偽の意思表示は無効となります。例えば銀行が低当権を設定した土地上に第三者により建物を建設されるのを防ぐことを目的として、そのことを債務者に説明したうえで、地上権設定登記がなされ、銀行において土地を使用せず、地代の支払いもしないとする黙示の合意がなされていた場合には、地上権設定契約は通謀虚偽表示として無効になります。通謀虚偽表示は、契約解除のような相手方ある単独行為はもちろん共有持分の放棄という、本来相手方のない単独行為についても成立します。この意思表示の無効は、善意の第三者に対抗できません。そして不動産につき、不実の登記がなされた場合に、民法九四条二項を類推適用する一連の最高裁判例がありました。
法律行為の要素に錯誤があったとき、その意思表示は無効となります。不動産の売買契約において、売主は、買主の申出により、自己の兄が買主に対して負担する借受金債務を引き受け、これと代金債権の一部とを相殺する旨を約しましたが、買主はすでに売主の兄に対する債権を他に譲渡していた場合に、売主が兄の負債整理を目的とし、買主をその債権者であると誤信した結果、売買契約締結の決意をしたことは、売買契約の要素について売主に錯誤があったとする判例があります。このように動機の錯誤であっても、その動機が表示されているときは、要素の錯誤となることが認められます。なお錯誤の主張ができる者については制限があり、表意者に重過失がある場合には、表意者は錯誤による無効を主張できません。表意者が無効を主張することが許されない場合には、表意者でない相手方または第三者は、無効の主張をすることができません。表意者自身において要素の錯誤による無効を主張する意思がない場合にも、原則として、第三者が無効の主張をすることは許されません。この場合には例外として、第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合において、表意者が意思表示の要素に関し、借誤のあることを認めているときは、第三者は、意思表示の無効を主張して、その結果生じる表意者の債権を代位行使することが許されるとする判例があります。
契約の目的が、契約締結当時、実現できないものであれば、その契約は無効となります。
法律の強行規定に違反する契約は無効となります。しかし取締法規に違反する契約は、それだけで直ちに無効とはなりません。たとえば独占禁止法一九条に違反する両建預金を条件とする貸付契約は、その契約が公序良俗に反する場合は格別、同条が強行法規であるからとの理由で直ちに無効であると解すべきではない、とされています。
不法の条件を付した法律行為は無効となります。不法行為をしないことを条件とする場合も同様です。
不能の停止条件を付した法律行為は無効になります。
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは無効となります。

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契約の無効/ 契約の取消し/ 取消しの追認/ 契約の解除/ 契約解除権の発生/ 事情変更による契約解除/ 双務契約の地位移転/ 契約解除の効果/ 約定解除権/ 履行の催告/ 継続契約の解除/