根抵当と仮登記担保の併用

継続的な信用供与より生じる不特定な債権を担保するための抵当権として根抵当が利用されるのと同様に、仮登記担保も、継続的取引を前提とする根担保の目的で設定される場合が少なくありません。その場合に通常は代物弁済予約の形式が採られ、根抵当権と併設されることが多くなりますが、根担保の性質を有する仮登記担保を単独で設定することが可能であることはいうまでもなく、その契約実例もみられます。

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根抵当権と根仮登記担保権とが同じ継続的取引関係から生じる債権担保の目的で併設されている場合でも、根抵当権について定められた極度額が仮登記担保権の内容を拘束する理由はないとし、極度額の定めのない根仮登記担保権の効力を全面的に肯定する見解が、取引実務の要請の上に立って、現在でも有力に唱えられています。仮登記担保は根抵当とは独立の担保権であり、根抵当の極度額の拘束を受けない利点があるからこそ仮登記担保権を併設した債権者の契約意図は否定されるべきでなく、根仮登記担保につき極度額を定めることを要請してみても、仮登記担保自体としては所詮その公示方法がないために、剰余担保価値の利用が阻害される結果となってもやむをえないとするのが、その主たる理由です。そして、根抵当権に関する極度額の定めから根仮登記担保の極度額を同額として推定されることを防ぐために、両者が無関係であることをとくに明文化した契約例さえみられます。民法改正前の根抵当権との併設例についてではありますが、この問題に消極の見解を示したものに、東京高判昭四九・三・一九金融法務七二○号三四頁ほかの裁判例があります。
これに対して、学説のうえでは積極説も有力です。そのなかには、併用された代物弁済予約が根抵当権の実行方法に関する流抵当特約としての機能を果たす実態を直視しようとする発想能度を強く示すものが多くあります。担保権の独立性を否定すれば、根抵当権の極度額だけが基準となることは当然の帰結です。そして、公示方法の不完全な仮登記担保を第三者に対する関係においても独立した担保物権として認めた場合に露呈される物権公示の観点からの支障をなるべく避けたいとする考え方が、積極説の基本に共通して存在します。
仮登記担保を抵当権の併用の有無と関係なく独立した担保権として把握する判例法理の確立をみた現段階において、根仮登記担保が単独で設定されている場合には、極度額の定めのないまま第三者に対しても優先的効力を有することを認めざるをえないとする立場を採りながら、根抵当権と併用された場合にかぎって担保権としての独立性を正面から否定することは困難です。しかし、公示の不完全さが仮登記担保を独立の担保物権として把握した場合の最大の弱点であることは否めないところであるために、併設されている場合には、抵当権についてなされている公示との相互補完を認め、前者を通じて仮登記担保権の内容も公示されているものとみて、その公示範囲でのみ第三者に対抗しうる効力を認めるのが、物権公示の原側にそうゆえんです。当事者間では根抵当権についてと異なる極度額の定めがなされていても、その合意は、併用根抵当権の登記を手掛りとして公示上うかがわれる権利内容と異なるために、第三者に対抗しえないものとするわけです。

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