主債務者の死亡

保証契約は、保証人と債権者との間の契約であり、主たる債務者と債権者との間の契約とは別箇独立の契約になります。そして保証人は、主たる債務者がその債務を履行しない場合において、これを履行すべき責めに任ずるのです。通常の場合、保証人は、債務者に懇願され、その委託を受けて保証人となることが多いのですが、債務者の委託を受けることは、保証契約の要件ではありません。したがって、委託が無効でも、当然には保証契約の効力には影響はなく、また、委託のない保証も有効です。そして信用保証または根保証は、信用契約にもとづいて将来発生すべき債務を保証することであり、保証人と債務者または保証人と債権者との間には特別の情誼関係または特別の信頼関係が存在します。そのような事実関係のなかで、主たる債務者の死亡は、保証人の責任についてどのように影響を及ぼすかが課題です。

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学説および信用保証と関連する裁判例の検討によれば、次のように整理することができます。保証債務は、債務者と保証人との間の信頼関係を基調としているのであるために、主たる債務者の地位の変動が、法律行為によって生じたような場合には、保証人の保証債務は原則として消滅すると解すぺきです。しかし、主たる債務者の地位の変動が、相続のように、法律上当然に生じるとされるような場合においては、保証債務は、そのまま存続するものと解すぺきです。それが一般社会において、保証債務が担保的機能を果たしていることと合致するからです。しかし、この保証の関係も、継続的な信用保証にあっては、それが、長期間にわたり、しかも不確定な債務の保証ということからすると、通常の保証より債務者と保証人との間の人的信頼関係は、強いということができ、このことから、主たる債務者の変更がある場合に、保証債務の存続を肯定することは、往々にして、保証人には酷な結果となり、信義則に反する事態が発生することがあるといえます。このことは、保証債務の相続性に関して、判例は、保証限度額も保証期間も定めていない根保証にあっては、その責任の及ぶ範囲が極めて広汎となり、根保証契約が、契約当事者の人的信用、信頼関係を基礎とするものであるということを理由として、保証人が死亡した場合に、その相続人は、保証債務を承継しないとしていることが参考となります。そうすると、根保証について、保証限度額も保証期間も定まっていない場合には、その信用保証に関する債務者と保証人との間の保証関孫は、人的信頼関係が強く、その関係は、保証を依頼した債務者と保証人との間についてのみ限定的に作用するというべきです。そうなると、この場合、主たる債務者の死亡によって、保証債務は当然に消滅するというぺきです。しかし、保証限度額が定まっている場合には、前者に比較すると、債務者と保証人との関係は、それ程強いといわなくてもよいであろうし、むしろ、債権者に対する人的担保の機能を期待しているものということができます。そうなると保証期間の長短も影響するとも思われますが、主たる債務者の死亡の場合でも、保証債務は存続するというぺきです。この点に関連して、通常の保証関係につき、特に賃貸借の保証については、裁判例では、保証債務の相続性を肯定しています。そこで、さらに、保証限度額が定まっている場合における債務者の死亡については、保証債務は存続するというべきですが、その関係は、その後いつまでも存続するものというべきかどうかは、この場合においても、保証人と債務者の人的信頼関係は、債務者の死亡という事実によって、一応消滅するということができ、その間の保証関係を将来にまで存続することは、保証人にとって酷な場合があると考えられます。したがって、この場合には、保証人は、保証契約を解約することができるというべきです。つまり、事情変更にもとづく解約権の行使を肯定することにより、保証人の立場を保護すべきものです。さらに、法律上の問題として考えられるのは、相続人が限定承認をした場合について検討を要します。主たる債務者の死亡によると、保証人の保証債務は、自然消滅または、保証契約の解約ができるとしても、死亡した主たる債務者が、生前において融資を受けており、すでに具体的に発生している保証債務については、保証人としての責任を免れることはできないのは当然です。しかし、主たる債務者の相続人において、いわゆる限定承認をした場合には、相続人は債務を全額相続することとなり、相続債権者に対しては、遺産の限度で弁済の責任を負うにすぎないこととなります。しかし、限定承認の特殊な効果は、それをした相続人についてだけ生じるために、保証人の責任には、なんらの変化はないということとなります。そして、保証人が債権者に弁済し、その後相続人に対して求債権を取得しても、その権利は単なる相続債権として、他の相続債権者とともに、遣産の範囲内で弁済を受けることができるだけになります。

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