共同保証と1人に対する債務免除

保証連帯の場合には、その法律的性質は、一面からみれば保証債務、他面からみれば連帯債務であり保証人の一人に対する債務免除は民法四三七条により、その保証人の負担部分について、他の保証人に対しても保証債務を免かれさせるという効力を及ぼします。しかし、複数の連帯保証の場合には、共同保証人各自が主債務者と連帯して保証するにすぎないために、その一人に対する債務免除が他の連帯保証人に効果を及ぼすか否かについては、実定法上規定がありません。連帯保証人相互間の法律関係について、連帯債務ないしこれに準じる法律関係と把握し、民法四三七条の適用ないし準用を考えるか否かにより結論が異なります。

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民法四三七条準用否定説では、最高裁の採る見解ですが、これによれば、複数の連帯保証人が存在する場合であっても、この保証人が連帯して保証債務を負担する旨特約した場合、いわゆる保証連帯の場合、または商法五一二条二項に該当する場合でなければ、各保証人間に連帯債務ないしこれに準ずる法律関係は生じないために、連帯保証人の一人に対し債務の免除がなされても、それは他の連帯保証人に効果を及ぽすものではありません。
民法四三七条準用説では共同保証人各自が主たる債務者と連帯する場合には、共同保証人の弁済のための出捐は、結局主たる債務者から求償しうるものではありますが、これと並んで、共同保証人の間では、連帯して負担する関係にあるものと考えるのが適当であって、各保証人間に連帯債務関係に準じる法律関係が生じるとし、その連帯保証人の一人に対する債務免除につき民法四三七条を準用します。
保証連帯の場合に民法四三七条が通用され、複数の連帯保証の場合に同条の準用があるとした場合、他の保証人に対しどのような影響を及ぼすかについては解釈が分れていますが、おおよそ次の三説となります。100万円の主債務について甲乙丙丁が保証連帯をし、債権者が甲に対し60万円免除した事例で説明すると、第一説では一部免除は、免除された全額を保証人の数で割った分だけ、つまり15万円だけ他の保証人の債務を免れさせ、乙丙丁は85万円の保証債務を負担します。なお、各保証人の負担部分は、免除を受けた甲の負担額も15万円滅少し、もともと25万円の負担額であったものが10万円に、乙丙丁は答25万円のままです。
第二説では免除された保証人の負担部分の限度まで他の保証人の債務も減縮するとともに、その限度において免除保証人の負担部分もゼロになると考えられます。したがって、免除部分が負担部分より多ければ負担部分免除、少なければ該当する負担部分だけ、他の保証人は免除されます。設例では、甲の負担部分25万円を越えるために負担部分がゼロとなり、その分だけ他の保証人も免除されるために、乙丙丁は債権者に対し75万円の保証債務を負担します。なお、負担部分は、甲がゼロ、乙丙丁は各25万円になります。
第三説では一部免除があっても、残額がその保証人の負担部分を越えているかぎり、その者の負担部分は滅少せず、したがって、他の保証人の債務額にも影響を及ぽさず、免除額が大きく残額が負担部分より少ないときに、はじめて、負担部分の滅少を生じ、またその滅少した額だけ他の保証人の債務額を滅少させます。設例では、免除を受けた甲の負担部分は依然として25万円であり、したがって、乙丙丁は依然として100万円の保証債務を負担します。なお、各保証人の負担部分についても変更がありません。
以上の解釈はこれを基礎に請求権の範囲を決定しようとします。例えば設例の場合に、甲が60万円の免除を受けると同時に40万円弁済したとする。甲は、弁済した40万円について自己の負担部分を越える額を、乙丙丁からいくら求償できるかという間題です。
債権者が一部の弁済を受けて残額免除するという場合、例えば設例の場合に、甲から60万円の弁済を受けると同時に40万円弁済したとします。甲は弁済した40万円について自己の負担部分を越える額を、乙丙丁からいくら求償できるかという問題です。
債権者が一部弁済を受けて残額免除するという場合、例えば甲から40万円の弁済を受けて60万円を免除した場合、弁済も免除もそれぞれ絶対的効力が認められるために、前項の各説で説明した乙丙丁の保証債務の額から甲の一部弁済額40万円を滅じた額しか債権者は他の保証人に請求できないこととなります。しかし、多くの場合この結果は債権者の意思に合致しません。債権者としては残額60万円を他の乙丙丁に対して請求するという趣旨でいる場合が多いと思われます。そこで状況によって保証人の一人に対する免除が、その意思表示の解釈として、当該保証人には請求しないが、他の保証人に対して全額請求することを留保してなされたものと認められる場合は、いわゆる相対的免除としてそのような内容の効力が認められます。

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