保証人の資格

保証契約を締結するに際して、誰を保証人にするかは、契約当事者の自由な合意にまかせられています。保証人となりうる者には制限はなく、債権者は、適当と考える者と保証契約を締結すればよいのです。しかし、主たる債務者が、契約、法律上の規定、もしくは裁判所の命令によって保証人を立てる義務を負担する場合、民法四五〇条は、保証人の資格条件を制限することにより、債権者の保護をはかっています。
債務者が保証人を立てる義務を負担する場合とは次の場合です。
法律上の規定にもとづく場合、増価競売手続において、競売を請求する債権者は、代価および費用につき担保を供しなければなりません。
法律上の規定により一定の者の請求にもとづく場合、占有保全の訴における損害賠償のための担保提供。受任者の委任事務処理に際し、債務負担に対する委任者の担保提供。受遺者の担保請求権。建設工事の請負契約において、請負代金の全部または一部の前払金をする定めがなされたとき、注文者は建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを請求することができます。裁判所の命令にもとづく場合。不在者の財産管理人の担保提供。第三者が無償で子に財産を与えた場合、その財産管理人の担保提供。
保証人の資格、条件、民法四五〇条に規定される保証人の資格、条件は次のとおりです。
能力者であること
弁済の資力を有すること
いかなる場合に、弁済資力ありと判断できるかについては明確な基準はありません。保証人は窮極的には自己の財産をもって債務の履行の責めに任ずるものであるために、一般に自己の有する差押可能な積極財産の価格から、消極財産の価格を除外したものがなお保証債務額の満足に値いするものであれば十分です。
保証人が、保証契約成立後、弁済資力を欠くにいたったときは、債権者は、弁済資力を有する物に変更することを請求することができます。債務者が不相当な保証人を立てても、この者と債権者との間の保証契約の効力には影響を及ぼしません。ただ債務者の担保を供すべき義務の不履行となります。その結果、債務者が期限の利益を失うことは当然ですが債権者はさらに五四一条によって契約を解除することがでぎるものと解されています。

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法人に対する政府の財産援助の制限に関する法律は、政府または地方公共団体は、大蔵大臣、地方公共団体のする保証契約にあっては、自治大臣の指定するものを除いて、会社その他の法人の債務につき保証契約をすることができないとしています。
保証人として、十分な資力を有する者を選ぶことは当然のところであり、主債務者が中小企業者の場合は、中小企業専門の公共的保証機関としての信用保証協会を利用することも強力な一方法です。ただしこの制度を利用できるのは、銀行その他の金融機関に限定されています。
保証人は、通常、主債務者との何らかの特殊な関係にもとづいて保証するものであるために、その個人的関係によって、保証人に対し迷惑をかけてはならないという、主債務者の心理的効果を期待しうります。そこで保証人を立てさせるに際しては、主債務者に対し強い影響力を与えうるものを選択すべきです。
会社との取引につき、その代表取締役個人の保証をとること。
主債務者の取引関係者の保証をとること。
子会社との取引につき、親会社の保証をとること。
主債務者の友人、知己、雇主等の保証をとること。
主債務者の親、兄弟、子、配偶者の保証をとること。などはこの場合の適例です。なお、財産の分散、隠蔽による被害を少なくし、主債務者が死亡した場合において、限定承認を防ぐ上でも効果があるものと思われます。

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