代理貸付と保証責任

代理貸付とは金融機関が他の機関の資金を業務委託契約に基き代理して貸し付けることであり、例えば銀行が中小企業金融公庫の代理店として貸し付ける場合がその典型です。これに対し自己の資金を貸し付けることは直接貸し付けといいます。なぜ代理貸付が行なわれるかというと、委託金融機関としては支店を十分持たなくても広く貸出ができ、受託金融機関としては資金を必要に応じて補充できるからです。代理貸付を実施しているものには公的機関として中小企業金融公庫の他に住宅金融公庫、環境衛生金融公庫、公害防止事業団等があり、長期信用銀行三行も行なっています。
これらの代理貸付を、主債務者の立てる一般の連帯保証人の立場から分類すれば、代理貸付を行なう当該銀行が保証人にならない型と当該銀行が保証人になる型とがあります。前者の例としては住宅金融公庫があり、後者には中小企業金融公庫のように貸付額の8割を保証するものから公害防止事業団のように2割しか保証しないものもあります。どの型にもさらには信用保証協会が保証人になることがあります。したがって保証人には主債務者の友人や役員がなる一般の保証人、代理貸付を行なう銀行および信用保証協会の三種類があります。

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銀行が保証人となって中小公庫の代理貸付をしたときは、銀行と公庫との保証契約と、一般の保証人と公庫との保証契約と二つの保証契約が締結され、両者は同一の主たる債務について保証債務を負担するために共同保証人となります。銀行と一般の保証人が保証債務を履行したとき主債務者に対して有する求償権は両者平等でどちらが優先するということもなく、銀行か一般の保証人かどちらかが保証債務を履行した場合は保証人間において互いに頭数に応じた負担部分を平等に求償することができるのが原則です。しかし実際は特約でこのような共同保証関係は排除されて銀行の求償権が優先することにされています。
銀行または一般の保証人のどちらか一方が保証債務を履行した場合、他方にどのような範囲で求償できるかでは、中小公庫の代理貸付では、銀行と一般の保証人との間では銀行の負担部分をゼロにしています。一般の保証人が代理貸付債務の全部または一部を中小公庫に支払っても、その履行によって取得した求償権は銀行に対して行使できません。反対に、銀行が中小公庫に対して保証債務を履行した場合には一般の保証人に求償権を行使し、支払を求めることができます。もし一般の保証人が数人いれば、各保証人の負担部分に限り求償できることになります。各保証人の負担部分は原則として平等であるために、銀行の弁済額を一般の保証人の頭数で除した額となります。しかしこの場合、銀行としては一般の保証人に各自の負担部分だけしか求償できないのでは困るので、各一般の保証人に弁済額全額の求償権を行使するため、各人が銀行に対し負担部分の主張をしない旨の特約をさせているのが普通です。
中小公庫の代理貸付においては、特約により一般の保証人は銀行が貸付先に対して取得する求償権について、貸付先と連帯して弁済の責に任ずることになっています。この特約の結果、銀行は一般の保証人各人に求償権全額の保証履行を求めうることになります。
銀行の中小公庫に対する保証は主債務者の委託によるだけでなく一般の保証人の委託によるものでもあるので、銀行と主債務者間の保証委託契約の他に銀行と一般の保証人との間にも保証委託契約があります。そしてこれには民法の委任の規定が適用されるために、銀行が保証債務を履行するための費用は受任者としての委任事務処理費用であり、その費用および支出の日以後の利息は委任者である一般の保証人に償還請求できることになります。この委任費用償還債務は保証委託者の内の誰か一人のために商行為であるときは連帯債務となります。
銀行が保証債務を履行した場合、一般の保証人に対し前述のとおり、共同保証関係から生じる求償権、求償保証債権および委任費用償還請求権の三種類の債権を取得します。これらの各債権の内容には多少の差はありますが、銀行としてはどれを主張してもよいわけで、一般には求償保証債権を行使することが多いとのことです。
銀行が保証債務履行のため中小公庫から代理貸付債権を譲受ける形式をとったときは、一般の保証人の保証債務も随伴して移るために、銀行は一般の保証人に対し保証債務の履行を請求することもできます。
中小公庫の代理貸付については銀行と信用保証協会との間では、協会が先に保証債務を履行するのを原則とし、協会が保証債務を履行しても銀行に対して求債権を有せず、協会と銀行との負担部分は銀行はゼロになるように約定されているのが通例です。そして一般の保証人と信用保証協会との関係は、信用保証も民法上の保証であるために求償権については頭割りで代位するのが本来です。しかし実際には特約で協会は一般の連帯保証人や物上保証人との間では協会の負担部分はゼロとし、全額を一般の連帯保証人や物上保証人に請求できるようにしています。
一般の物上保証人と銀行、信用保証協会との関係はこれまで述べた一般の保証人の場合と同様に最終的には一般の物上保証人が全額を支払うべき特約になっています。
一般の連帯保証人間においては各自の負担部分につき互いに求債権を行使します。そして負担部分は原則として平等であるために頭数で除した額となり、二人なら二分の一となります。仮に一方が物上保証のみをしている場合、つまり一般の連帯保証人と物上保証人との間ではどうなるかでは、この場合も頭数に応じて債権者に代位することになるために、二分の一になります。そして、一般の連帯保証人二人のうち一人が物上保証人を兼ねている場合、つまり連帯保証人対連帯保証人兼物上保証人の間ではどうなるかでは、判例によれば保証人が物上保証人を兼ねる場合を一人として頭数を計算することになっています。したがってこの場合も二人として考え、二分の一になります。
主債務者である貸付先が倒産した場合、任意整理と商法の会社整理で債務の全部または一部を猶予または免除されたときは、保証債務の付従性からその効果は保証人や物上保証人にも及ぶことになります。しかし破産法の強制和議、和議法の和議および会社更生法の更生計画で猶予または免除されたときは、その効果は保証人や物上保証人に及ばないために、全額を未来の支払条件によって支払わされることになります。

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