信用保証協会の保証

人的担保としての保証は、債権者と保証人間の契約のみで成立し、保証人に資力があれば容易に債権の回収がはかられるなど多くの利点を有するために、企業、特に中小企業等の金融取引などにも広く利用されており、資力のないものが信用を得るための有力な手段として社会的経済的意義を有する制度ですが、その反面、保証人としては自己の全財産をもって債務を担保しているので、主債務者が債務を履行しない場合には、自己の財産を処分される危険をはらんでいます。したがって、中小企業者等が銀行その他の金融機関から資金の貸付等を受ける場合に、保証人を立てようとしても、これが得られないことも有り得ます。そこで中小企業者等がこうした金融を受けることを円滑化するために、各都道府県に信用保証協会が設けられ、中小企業者等が銀行その他の金融機関から貸付等を受けるについて信用保証協会が保証人となる便宜が図られることとなったのです。

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信用保証協会は信用保証協会法に基づく特殊法人であって、中小企業者等が銀行その他の金融機関から資金の貸付、手形の割引または給付を受けること等により金融機関に対して負担する債務の保証を行なうことを主たる業務としています。信用保証協会の行なう保証を信用保証と称することもあります。しかし、信用保証という語は、根保証の一種ないしは根保証と同義のものとして用いられることもあるために、注意を要します。
信用保証協会の行なう信用保証は特約のないかぎり民法上の保証と同一の性格のものであって、信用保証協会の保証とは、信用保証協会が、債務者の委託により、特定または不特定の債務を金融機関に対して保証するものということができます。
信用保証協会の制度は元来中小企業者等に対する金融の円滑化をはかることを目的としているのであるために、信用保証協会の信用保証はすぺて主債務者、中小企業者等の委託に基づいてなされます。この信用保証委託契約における信用保証協会と主債務者との関係は委任関係であり、信用保証協会が委託事務の処理として保証債務の履行をしたときは、主債務者に対して求償権、委任事務処理に要する費用償還請求権に該当を取得することとなります。
信用保証委託契約は、信用保証協会が多数の債務者を対象として保証業務を行なっているために、契約の内容が定型化されています。これによれば、信用保証委託契約においては、一般に法定事由以外の場合における主債務者の信用悪化による求償権の事前行使、信用保証協会のなすべき求償要件としての事前通知義務の免除など信用保証協会の求償権確保のための特約がなされています。求償権の事前行使に関する特約としては、主債務者が、仮差押、差押もしくは競売の申請または破産、和議開始、会社整理開始もしくは会社更生手続開始の申立があったときなどで、求償権の保全に支障が生し、または生じるおそれのある場合には、信用保証協会は事前求償をなし得るものとしています。このような当事者の特約に基づく事前求償についても、主債務者は保証人に対し民法四六一条の規定の類推適用による抗弁ができるものと解されます。つぎに、民法四六三条一項、四四三条一項によれば、保証人が予め主債務者に通知をなさずに弁済をしたときは、主債務者は債権者に対抗し得べき事由をもって保証人に対抗し得 ることとされており、信用保証協会としては、この事前の通知をなすことは手続が面倒であるうえ、これを怠ると不測の損害を被ることがあるので、この通知義務を免除する特約をなしているのです。
主債務者に保証人が数人あって、分別の利益を有しない場合、後述のように信用保証協会の信用保証は基本的には連帯保証の性格を有しているものと考えられるには、一人の保証人が全額その他自己の負担部分を超える額を弁済したときは、他の保証人に対して自己の負担部分を超える額についてその各自の負担部分につき求償権を有することとなります。そこで、信用保証協会としては、信用保証協会のほかにも共同保証人がいる場合には、これらの保証人を、信用保証協会が弁済によって取得する主債務者に対する求償権を担保するための保証人として、保証委託契約に参加させ、これらの保証人が金融機関に対する自己の保証債務の弁済をしたときには、信用保証協会に対して求償権を行使しないこと、ならびに、信用保証協会が保証債務の履行をなした場合に、各保証人はその求償権の全額について主債務者と連帯して償還に応じる旨を特約しています。また、主債務者の債務を担保する保証人以外に物上保証人があるとき、この場合特約がなければ、弁済者の代位関係は民法五○一条本文および但書五号によることとなるとは、信用保証協会としては、物上保証人を保証委託契約にあらかじめ参加させ、物上保証人との代位の関係につき次のような特約をなしています。つまり信用保証協会が主債務者の債務を金融機関に弁済した場合は、物上保証人が当該借入金債務につき金融機関に提供した担保の全部について金融機関に代位し、求償権の範囲内で金融機関の有していた一切の権利を行使し得るものとし、物上保証人が金融機関に提供した担保の実行がなされたときは、物上保証人は信用保証協会に対して何ら求償をしない旨を約しています。
信用保証協会は、中小企業者等の金融機関からの借入債務等について保証をすることを主たる業務としているため、個々の保証に共通する事項、手続等の保証取引に関する基本事項を内容とした保証契約を金融機関との間であらかじめ取決めています。信用保証協会の信用保証契約は信用保証書を金融機関に交付することによって成立するものとされ、信用保証協会が金融機関に対して信用保証書を発行してから30日以内、ただし特別の事情があるときは60日まで延長し得て、貸付が行なわれない場合は保証契約の効力を有しないものとされています。また、信用保証協会の保証は主債務に利息および最終履行期限後120日以内の延滞利息を加えた額を限度とし、延滞利息は貸付利息と同率とするなどが定められ、他方、金融機関は最終履行期後2年を経過した後は保証債務の履行を請求し得ないものとされ、そのほか、金融機関が信用保証協会の承諾なく保証付債権をもって当該金融機関の既存の債権の消滅のために充当させた場合など一定の要件に該当した場合は保証債務の履行につき全部または一部の責めを免れるものとしています。
信用保証協会と金融機関との保証契約中に、主債務者と連帯して保証債務を履行すぺき旨の特約がなくても、信用保証協会の信用保証は連帯保証となるのが一般です。これは、主債務者となる中小企業者等が商人であるのが通例であるために、金融機関と主債務者との契約が商行為となり、したがって、商法五一一条二項により信用保証協会の債務も連帯保証となるからです。もっとも、金融機関と信用保証協会との間では、特約により、金融機関は主たる債務の最終履行期限到来後一定期間経過後において、なお主債務者が債務の全部または一部を履行しなかった場合に、はじめて信用保証協会に履行の請求ができることとしています。これは信用保証協会の公共的な保証機関としての機能を配慮したものといえます。

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