物上保証人に対する代位

保証人が弁済その他の免責行為を行なったときには、主たる債務者に対して求償権を取得しますが、他方において、保証人は、民法五○○条にいう、弁済を為するに付き正当の利益を有する者、にあたるので、弁済その他の免責行為によって当然に債権者に代位し、自分の取得した求償権の範囲で、債権の効力および担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使できます。ここでいう債権の効力として有していた権利とは、履行請求権、損害賠償請求権、債権者代位権、債権者取消権など、債権者の有する権能のすぺてをいい、また債権の担保とは、広く人的担保、物的担保に関する権利のことであり、弁済その他の免責行為を行なった保証人に債権そのものが移転するのです。

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例えば主たる債務者Aが200万円の債務を担保するために所有不動産に抵当権を設定し、同時にBがこれを保証しているような場合、この200万円を債権者に弁済したBは、自らAに対する求償権を取得するのみならず、法定代位によって債権者のもっていたAに対する抵当権をも行使できるのです。かように、債権者が人的担保のほかに物的担保をも持つときは、弁済した保証人Bは債権者に代わって物的担保権を行使できるので、この弁済者の代位の制度は、保証人Bの求償権の確保のために、大きく役立つことになります。
例えば、主たる債務者Aの200万円の債務を担保するために、Bが保証人となり、第三者Cが所有物に抵当権を設定している場合には、B、Cの関係はどのようになるかでは、この場合、保証人Bと物上保証人Cとはいずれも、民法五○○条の弁済を為するに付き正当の利益を有する者にあたるため、その間の優劣を決めておくか、あるいはその調整をはかっておかないと、B、Cいずれかのうち先に弁済した者が代位による利益を独占できるようになって、不公平になります。そこで民法は、決定代位をなしうる者が数人いる場合には、それらの者の間の代位の順序と割合について規定をおいています。
このうち、前例のような保証人と物上保証人との間では、その頭数に応じて債権額を分け、それぞれはその範囲内で代位する、とする保証人と物上保証人との間には、いわば同じ割合による負担部分がある、との趣旨です。そこで、前例では、保証人Bと物上保証人Cとは、主たる債務200万円の半額つまり100万円ずつを相互に代位でき、したがって、保証人Bが200万円を弁済したときには、その半額100万円につき債権者を代位し、物上保証人Cに対して抵当権を行使できます。また、物上保証人が数人いるときは、保証人の負担部分をのぞき、その残額につき、各担保物の価格に応じてのみ代位することができます。例えば主たる債務者Aの負担した1200万円の債務を担保するために、B、Cが保証人となり、Dが1000万円の財産を、Eが500万円の財産を担保に供している場合に、そのうちのだれかが1200万円の債務全額を弁済したとすれば、代位によってそれぞれが分担しなければならない額は、まず、B、C、D、Eそれぞれ平等に300万円ずつ負担すべきことになり、B、Cは現にこの額を負担しますが、D、Eの分担額は、B、Cの分担額600万円を除いた残り600万円をそれぞれの担保物の価格に応じて按分するために、Dは400万円、Eは200万円となります。したがって、いま、保証人の一人Bが1200万円全額を弁済したのであれば、Bは、Cに対して300万円を、Dに対して400万円を、Eに対して200万円を債権者に代位し、D、Eに対しては、その範囲で担保権を行使できます。もっとも、物上保証人D、Eの担保財産が不動産であるときは、Bは、代位の付記登記をしなければ、弁済後にD、Eから担保不動産を譲り受けた第三取得者に対して代位することができません。
保証人および物上保証人のいずれか一方または双方が数人ある場合に、ある者が双方の資格を兼ねているときには、この二重資格者の頭数を一人とみるか二人とみるかが問題になります。判例では、これを一人の頭数で計算すべきである、としています。例えば主たる債務者Aの300万円の債務につき、B、Cが保証人となり、同時にBは物上保証人ともなっているときに、300万円を弁済したBはCに対して、150万円につき債権者に代位するとします。Bを二人の頭数で扱うと、Bが弁済するときは、Cに対して代位する範囲がせまくなり、Cが弁済するときは、逆その範囲がひろくなって、Bにとって不利益な結果をもたらす、というのがその理由です。これに対して、学説の一部には、共同担保者のうち、より重い負担をひきうけたBはCに対しても、より重い負担を忍ぶべぎであるとして、Bの二重資格を肯定する見解もあります。この説によれば300万円を弁済したBは、Cに対して、100万円につき債権者に代位することになります。

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