倒産と貸倒金処理

倒産とは、一般的に企業の再生産が企業の実体的活動の面とそれにともなう資金の流れの面から活動が停止され、かつ、客観的に支払停止、支払不能、債務超過の事実が発生したことといえます。広義の倒産には、このような活動停止や支払停止等の事態がなくても、その企業に破産、和議、会社更生、会社整理等の手読開始の申立が裁判所に対しなされたとき、または、任意整理に着手のとき等も、事実上の倒産として扱われています。
倒産は、企業の清算ではないため、解体清算か、再建するか等の方向を定め、その方法として、前記の破産か更生法等とか、あるいは任意整理の方法とか等が選択され、倒産企業の将来の在り方を目指すことになります。だから、それぞれの方向の達成の見込みがつくまでは、いわば倒産状態が時間的に継続します。したがって債権者の儀権の回収の見込み等も流動的となり、きわめて困難視されることになります。結局、倒産企業に対する売掛金等債権についての貸倒れ処理は、債権償却特別勘定として処理するか、あるいは、倒産発生という時点で貸倒損失として思い切って処理するかの問題です。

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税務会計で認められる同勘定の設定は次の二つの場合です。
税務官庁の認定を受けて同勘定を設定する場合、債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがないことや、これに準じる状況が生じたときに、債権の額から担保物件により担保された額等を差し引いた額の相当部分につき、あらかじめ税務官庁の認定をうけ、その金額を損金経理により特別勘定に繰り入れることができます。
形式基準による同勘定の設定、債務者に商法による会社整理開始の決定、破産宣告、和議開始決定、会社更生法の開始決定等があったとき、手形交換所の取引停止処分をうけたこと等の事実が発生したときは、その債権額の50%相当額以内の金額を特別勘定に繰り入れることができます。この繰入れは、債務者に手形不渡事故による手形交換所の取引停止処分があれば、直ちに設定できるので、多くの倒産のときはこれにあたるので、設定は容易となります。
整理開始や破産、和議、会社更生の各申立だけがあり、いまだ開始決定がなくても、債務者に一回でも手形不渡事故があれば、確定申告提出までにその申立に対する開始決定や銀行取引処分があれば、同様50%の特別勘定が設定できます。
以上二つの場合に、その後弁済があったり、債権が確定的に貸倒れとなった場合は、弁済額は、設定額の50%以外の債権から充当され、弁済をうけた額や貸倒れ処理分等について、同勘定の取崩し等を行うことになります。また、一且設定した特別勘定について税務官庁の認定により積増しもできます。
結局、倒産のときの債権者の債権は、その弁済額が未定、不確実なときも、債権額の50%を最低として、償却特別勘定として繰り入れることが認められます。また、以上の税務会計のほか、通常の企業会計においては、場合によっては企業会計の公正妥当な判断により、思いきって大部分を償却ないし貸倒損金とすることが会計の健全性に副うことも考えられます。
倒産と貸倒損失の場合は、貸倒損失処理が認められる例として判例等もあげたとおりですが、税務会計上は、次の基準が定められています。
倒貸金等の全部または一部の切捨てをした場合、会社更生法の更生計画や、商法の整理計画、和議条件の認可等により切り捨てられた場合のほか、任意整理の債権者集会の決定のときも認められます。また、債務超過の期間が相当継続し、弁済をうけられないと認められるときに、書面による債権放棄等により免除した額も同様です。
その他、債権者の支払能力等から、回収不能として損金処理したとき等や、一定期間取引停止後弁済がなく、あるいは、取り立てる費用にも満たない債権額等について、備忘価額を控除した額の損金処理が認められます。
破産は、企業の解体の方向で債権者への平等弁済をはかる倒産処理法の一つであるので、原則的には倒産と貸倒金処理に記したところがあてはまります。
破産宣告の申立がなされた場合、債権者はその債権につき、まず前記に述べた特別償却勘定に債権額の約50%を繰り入れ、その進行状況、資産内容等を考慮して、これを積増するという処理が妥当です。
破産宣告があったとき、株式会社の貸借対照表等に関する規則の第七条には、破産債権は投資等の部に記載すると定めています。これに対応して償却特別勘定を設定することになります。破産宣告から配当終了までは、通常は2年から3年以上はかかり、また破産事件一般として、配当率も15%から30%程度が少なくないのが実体です。特別償却勘定についても、健全な会計処理としては、債権額の70%程度か全額に近い額を償却しておくか、支払不能として破産事件の進行の過程をみて、相当額を損金処理すること、破産宣告の申立から1年以上経過した後であれば、備忘価額を残した額を損金処理する等が妥当である。なお、これらの会計上の処理をしても、破産債権を放棄したことにはならないことは前記に述ぺたとおりです。以上の処理をした後、何年か後に逐次または一挙に配当があったときは、償却勘定設定のときは取り崩すか、損金処理のときは雑収入へ計上する等、公正妥当な会計上の処理を行うことになります。

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