破産宣告の効果

破産の申立に対して、破産原因その他所定の要件が備わっていると認めるときに裁判所は、決定をもって破産を宣告します。破産は宣告の時から効力を生じます。破産決定書には、破産宣告の年月日時を記載することを要します。破産宣告の時とは、いつを示すかが問題になります。破産の決定が言い渡された場合は、言渡時とする点については具論がありません。これに対して、言渡によらなかった場合については、見解が対立します。つまり、裁判官が決定書に署名捺印した時とする説、裁判官が決定書を裁判所書記官に交付した時とする説、決定書が破産者に発送された時とする説、決定書が破産管財人に発送された時とする説、などがあります。これに加えて、破産宣告の決定としての効力発生時と破産宣告の効果が発生する時とは必ずしも一致せず、法もそれを予定する趣旨であるとして、裁判官が破産宣告の効果を発生せしめる時として定めた時をもって破産宣告の効果発生時とする見解が有力です。

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裁判所は、破産宣告と同時に破産管財人を選任します。他方、破産宣告を受けると破産者が有する一切の財産は破産財団となり、破産財団の管理および処分権限は破産管財人に専属するところとなります。債務者は、破産宣告によって破産財団所属財産の一切の管理処分権を失いますが、権利能力、行為能力及び訴訟能力を失うわけではないので、破産財団に所属しない財産については、管理処分権をなお保持しています。また、取引活動を行ない、権利の取得、義務の負担も妨げられません。しかし、破産手続の遂行上、破産者は若干の規制を受けることを余儀なくされます。もっとも、対人執行は認められていません。
破産者は、破産管財人、監査委員または債権者集会の請求により破産に関し必要な説明をしなければなりません。これに違反したときには、刑罰に処せられます。
破産者は、裁判所の許可を受けなければ、その居住地を離れられません。これに違反したときにも、刑罰に処せられます。
裁判所は必要と認めるときは、破産者の引致を認めることができ、また破産者が逃走し、または財産を隠匿もしくは毀棄するおそれがあるときは、監守を命ずることができます。
裁判所は、通信官署または公衆通信取扱所に対し、破産者にあてた郵便物または電報を破産管財人に配達すべき旨を嘱託しなければなりません。破産管財人は受け取ったこれらの郵便物または電報を開披できます。これに対して、破産者は、その閲覧を求め、かつ破産財団に関しないものの交付を求めることができます。破産財団に属すべき財産を発見し、破産者の財産関係の状況を知るために法が特に認めたもので、基本的人権である通信の秘密の保障の重大な例外です。
破産法は、懲戒的規定を設けていませんが、他の法令において、破産を私法上、公法上の諸資格の喪失事由と定めています。公法上の資格喪失例としては、弁護士、公証人、税理士、公認会計士、弁理士、司法修習生、司法書士、等があります。
私法上の資格喪失例としては、後見人、後見監督人、保佐人、遺言執行者等があります。これらの公法上、私法上の資格喪失事由になっている場合も、復権によって回復する途が設けられています。
債務者が破産宣告を受けると、破産債権者は、個別的に権利を行使することができなくなり、破産手続によらなければならないことになります。破産債権者は、破産者に対して、直接に履行を請求し、あるいはその自由財産に執行することは許されないのです。もっとも、破産者から任意弁済を受けることまでも許されないかというと、通説では、破産法一六条をもって任意弁済の受領まで否定するものではないとしてこれを許容しています。しかし、この点について、近時の有力説では、これを認めると、破産者が裁判外の請求を受けることになるとして否定しています。
取締役の地位につく者と会社との関係は商法二五四条三項に委任に関する規定にしたがうとされています。民法の委任に関する規定によれば、受任者の破産をもって委任の終了事由としています。したがって、株式会社の取締役が破産宣告を受けたときには、当然に取締役の地位を失うことになります。それでは、破産した取締役を再び取締役に選任することができるかどうかでは、復権を受けた後において、取締役に選任できることについては問題はありません。復権を受ける前においてはどうかというと、この点についてはこれまで見解が対立していました。判例では、破産宣告を受けた者について取締役の被選任資格を否定します。その理由は、第一に破産者はその資力の点において取締役が資本団体たる株式会社の機関として会社または第三者に対して重大な責任を果たすのに適しない、第二に破産者は破産財団の所属財産に関して管理処分権を有しないのにかかわらず、会社の代表取締役となって会社財産の管理処分の権限を有するにいたることは是認しえない。
他方、学説では、この判例に対して賛否が分かれています。反対説では判例の第一の理由について、現行法は、取締役に就任するについて積極的にその資産を要件としていないことから、この点は決め手にならないとしています。これに対して判例を支持する者は、会社の規模や営業目的の種類も異なるから、その種の規定を設けて画一的に規制するのが不適切であるにすぎないと反論しています。
また、判例のあげる第二の理由について、反対説は、破産者が破産財団の管理処分権を失うのは、破産手続の公正をはかるためであって、そのことから破産者に財産の管理処分の適性、能力がないとはいえないとしています。しかし、この点についても、破産者には財産の管理処分能力に対する重大な不信のあることは否定できないとする再批判がなされます。前記最判の原判決では、広く人材を求める趣旨から破産者の就任を肯定しますが、この点についてはいかにも奇異であると批判されます。こうした議論をふまえて、改正商法は、破産者で復権をえない者を取締役の欠格事由としました。

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