破産申立に対する不服申立

特定の債務者または相続財産に破産原因が存すると認められるときは、破産法一三二条ないし一三六条に規定する者は、土地管轄を有する地方裁判所に対し破産の申立をすることができ、また民法または待定の特別法上の法人の理事もしくは清算人および会社の清算人等は、破産申立の義務を負いますが、これらの者から書面または口頭による破産の申立がなされたときは、裁判長がまず申立書または申立調書を審査し、当事者、法定代理人および破産原因ならびに債権者の申立にかかる場合はその債権につき、記載が不足しまたは不特定であるときは、その不備の補正を命じ、また債権者が申立人である場合に法定の手数料が納付されず、または納付額が法定額に不足するときは、手数料の全額または不足額の納付を命じ、申立人がこれらの命令にしたがわないときは、命令をもって申立書または口頭申立を却下することを要します。

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破産申立てを受理した裁判所は、管轄につき調査し、管轄権を有しないことを発見したときは、事件を管轄裁判所に移送すべきであり、なお審理の結果そのほかの適法要件の欠如が明らかになったときは、申立を不適法として却下すべきです。また、裁判所は、申立債権者が費用予納命今に徒わないときおよび審理の結果破産宣告要件たる事実の存在につき心証をえないときは、申立を棄却し、その心証を得たときは、破産宣告を行ないます。なお、破産財団が破産手続の費用を償うに足りないと認めたときは、破産宣告と同時に破産廃止の決定をしなければなりません。
以上述べた裁判長の申立書却下命令および裁判所の移送、申立却下、申立棄却、破産宣告、同時破産廃止の各決定に対しては、いずれも不服申立が許されます。
破産法一一二条は、不服申立権者を、其の裁判に付利害関係を有する者と抽象的に規定するにとどまるので、現実に誰が不服申立をなしうるかについては、その裁判の内容に応じて個別的に考察しなければなりません。判例によれば破産申立につき補助参加をすることは許されませんが、これを認める通説の立場に従えば、補助参加人は、参加後になされた裁判に対し、被参加人のため不服申立をすることができます。
裁判長の却下命令に対しては、当該申立人のみが不服申立をすることができます。
移送決定に対しては、申立人および債務者が不服申立てをなしうると解すべきです。準自己破産の場合には、債務者たる法人も、その代表者によって不服申立てをなし得ます。
破産申立を不適法として却下した決定に対しては、当該申立て人のみが不服申立をなし得ます。なお、破産障害とよばれる事由のうち、商法三八三条二項前段、四三三条、和議法一五条、会社更生法六七条一項前段に該当する場合には破産申立は不適法です。
費用の不納付を理由とする棄却決定に対しては、当該申立債権者のみが不服を申立てることができます。
その他の理由による棄却決定に対しては、判例は破産申立人のみが不服申立権者であり、申立債権者以外の債権者は新たにみずから破産申立をすれば足ると説いています。しかし通説では、申立人のほか、債権者も不服申立をなしうると解されます。債権者は、破産宣告の時期が早ければ早いほど、破産財団の散逸が防止され、また否認、相殺等につき利益を受けるのであるために、通説が正当です。準自己破産の申立の場合には、債務者たる法人自身も不服申立をなしうると解すべきです。
破産宣告決定に対しては、債権着の申立によるときは破産者および他の債権者が、自己破産および準自己破産の場には債権者が、それぞれ不服申立をなしうることは、当然です。破産者が法人であるときは、準自己破産の場合には破産者および申立人以外の準自己破産申立権者、自己破産の場合には準自己破産申立権者が、それぞれ不服を申し立てうると解されます。申立人は、破産申立の目的を達したのであるために、一般的には不服申立の利益を有しません。ただし、例えば破産申立の代理人に授権の欠陥があった場合には、申立人も不服申立をなしうるとする説があります。
同時破産廃止は職権をもってなされるものであるために、破産申立が誰によってなされたかにかかわりなく、申立人、債務者、準債務者および債権者は、いずれも不服申立をなしうると解されます。
以上のすべての裁判に対する不服申立は、即時抗告のみによってなし得ます。通常抗告や異議は許されませんが、準再審は許されるために、即時抗告期間の経過後に抗告、意義申立等の形式で不服申立がなされたときでも、その不服の内容に準再審の事由が存するときは、これを準再審として取り扱うべきです。
即時抗告は原裁判所または抗告裁判所のいずれに申立ててもよく、書面によるほか、口頭をもってなすこともできますが、実務では裁判所は書面を提出するように指導しています。抗告状に抗告の理由を記載することは、抗告の要件とされていません。
民訴法四一八条一項は、抗告は即時抗告にかぎり執行停止の効力を有すると規定されます。一見この規定は破産法一○八条により破産宣告に対する即時抗告についても準用されるかの如くですが、同法一条は破産の効力は宣告の時から生じるものとし、同法一四一条はこれを受けて、破産宣告の決定書に宣告の年月日時を記載すべきことを定め、また同法一四二条、一八五条によれば、裁判所は破産宣告と同時に破産管財人を選任し、破産管財人は就職後直ちに破産財団に属する財産の占有、管理に着手しなければならず、また破産法上破産宣告決定に仮執行の宣言を付する規定がありません。これらの点にかんがみるときは、前記民訴法の規定は破産宣告に対する即時抗告には準用されないと解すべきです。判例では、即時抗告は少なくとも破産管財人の管理行為については執行停止の効力を有しないと判示しますが、学説では、全面的に執行停止の効力を認めていません。

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