破産申立の裁判

破産手続きは、私法上の債権の実現をはかる制度であるために、それらの利害関係人の請求があってはじめて開始するのが相当といえます。したがって、公益上特に必要ある場合に、職権をもって破産開始がなされる例外を除き、原則として当事者の申立によって手続が開始される裁判所は、破産申立があると、形式的審査事項、および実質的審査事項を審査し、申立に対する判断を行ないます。破産手続の法律上の性質については、訴訟事件説、非訟事件説、両事件ではない特殊事件説に大別され、通説は訴訟事件説の立場をとっていますが、いずれにせよ一○八条が、破産手続に関しては本法に別段の定なきときは民事訴訟法を準用す。と規定しているところから、破産法に規定のない裁判手続には、すぺて民訴法の規定が準用されます。

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破産申立に対する裁判を内容をもとに種別すると概ね次のようになります。
形式裁判
申立却下、申立が適法要件を欠き、その欠陥を補正し得ない場合には不適法な申立として決定により却下し、それが補正命令に従わないものである場合には命令により却下します。
移送、管轄違の場合には、管轄裁判所へ決定で移送します。
実体裁判
申立棄却、破産原因事実が認められないとき。申立が適法であっても、破産原因事実の存在に確信が抱かれなかったときは理由がないものとして決定で棄却します。破産障害事由が存在するとき。申立が適法であり、かつ破産原因事実があっても、破産障害事由を認めたときは決定で事由の存在を理由に棄却します。
破産宣告、申立が適法であり、かつ破産原因事実の存在につき確信が得られ、破産障害事由がないと認められたときは決定で破産宣告をします。破産宣告は、口頭弁論の有無にかかわらず、決定をもってなされ、主文において債務者を破産者とする旨の宣言のほか、破産宣告は確定をまたずに宣告の時より効力を生じ、そのためその日時を標準として、債権者、債務者はもとより第三者に重大な影響を及ぽすので宣告の年月日時が必要的記載事項とされ、さらに抗告に服する裁判であるため、事実および理由を付さなければなりません。
破産の申立をした債権者の債権がその申立後に消滅した場合、債権者による破産申立の場合には、破産宣告の実質的要件として、破産原因事実の存在のほかに、債権の存在が必要です。これは破産手続が債権者に対する比例的平等分配を目的とする一般的強制執行手続であることから、債権者に申立権を認めると同時に、特に債務者への影響との均衡をはかり債権の存在を必要としたものであり、債権が現に存在することは破産宣告の必要不可欠な要件です。したがって、破産申立に対する裁判をなす時に、債権が消滅して存在しなければ、理由がないとして申立棄却の決定をすべきです。しかし、前述のような破産手続の目的から、破産宣告の効力は、ひとり申立人と債務者のみではなく、広く総債権者のために生じるものであるために、申立人の債権は、破産宣告当時に存すればよくかつそれをもって足りるのです。それゆえ、抗告審中に、申立人の債権が弁済その他により消滅しても、破産宣告は決定の破産をまたずに宣告時より直ちにその効力を生じているために、他に届出のある破産債権が存在するときは、破産取消の理由となりません。しかし、宣告確定前に消滅し、他に破産債権の届出がないときは、申立を却下すべきことになります。
届出債権者が一人もいないことが明らかになった場合、破産宣告前の原因にもとづいて生じた財産上の請求権、破産債権は、破産手続によらなければ行使できず、その行使は、破産裁判所に対する届出によってなされ、債権調査期日あるいは異議訴訟等の結果によって、配当の対象となるべき債権として確定します。
破産手続は、前述のとおり、債務者が債務を完済できない状態に陥った場合に、債務者の総財産をもって公平な比例的平等弁済をなす裁判手続であるために、裁判所に対する債権届出債権者が一人もいなければ、手続の目的を失うことになります。したがって、原則として破産手続をすすめる利益はなく、これを解止すべきを考慮すべきであり、同意による破産廃止の申立に準じて、破産者は破産廃止の申立てをすることができるものと解されます。裁判所はこの申立を受けて破産廃止の決定をなすべきです。しかし、この場合であっても、破産者からの申立がない場合には、財産不足による廃止にあたらないかぎり、裁判所みずから廃止決定はできないと解されます。なお、抗告審において、届出債権者が一人もいないことが判明した場合には、破産原因の不存在を理由として、原決定を取り消すことになります。

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