破産申立の方式

破産の申立は、破産申立権者またはその代理人が、管轄破産裁判所へ破産申立書を提出する方法と、口頭により申立てる方法とがあります。
破産申立書には、訴状に準じて、申立人、被申立人、代理人の氏名、住所、申立の趣旨、申立の理由を記截し申立本人またはその代理人が署名もしくは記名捺印します。債権者が申立人である場合は、印紙を貼用し、被申立人へ達達するため申立書の副本を一通添付して提出させています。この点については、副本送達に関する民訴法二二九条の規定は弁論を開かない限り準用はないとする裁判例もありますが、理論上はさて おき、実務上は送達しています。その際送達費用として郵券を予納させています。
ロ頭による申立の場合は、申立本人またはその代理人が、受付係書記官の面前において、申立書へ記載すべき事項を陳述し、書記官がこれにもとづいて調書を作成し、署名もしくは記名捺印します。印紙の貼用、郵券の予納は書面による申立の場合と同様です。しかし口頭による申立は、実際上ほとんど行われていません。

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申立書の記載事項、破産申立書には次の事項を記載しなければなりません。これが不備である場合は、裁判長は期間を定めて補正を命じ、定められた期間内に補正がなされない場合は、申立書を却下しなければなりません。
当事者および法定代理人の表示、破産申立人、被申立人が何人であるかを特定するに充分な程度に明確に記載します。通常は氏名、名称、商号、主たる営業所等をもって表示しますが、これでたりない場合は、本籍、職業、国籍その他によってこれを補充しなければなりません。当事者が無能力者、法人等団体の場合には法定代理人の往所氏名を記載します。
申立の趣旨、申立の結論を簡潔に表示します。破産決定の主文に対応するもので、一般に何某を破産者とするとの文言を用いています。
申立の理由、債権者が申し立てる場合は、申立債権の存在と破産原因、及びその事実を記載します。債権者以外の者が申し立てる場合は、破産原因およびその事実を記載します。破産原因は、自然人の場合は支払不能、法人の場合は、支払不能と債務超過であるために、いずれの破産原因にあたるかを記載し、その事実関係を具体的に明確に記載します。ただ、債務超過であるかどうかを認定するためには、回収不能な債権を除外し、有体動産、不動産について実際の処分見込額を表示した、いわゆる非常貸借対照表により正味資産と正味負債の対照をしなければなりませんが、実際上、申立の段階でこのような対照を正確に行いる非常貸借対照表が提出されることはまれであること等の理由から、東京地裁の実務の取り扱い上は、破産原因の有無はほとんど支払不能の有無のみで判断しているのが実情です。なお申立の適法要件である事実、たとえば申立権、裁判権、管轄権、破産能力、破産障害等に疑義があればここにその理由づけの事実を記載することが有用です。
疎明と添付書類、破産の申立は、著しく、場合によっては回復不能なはどに債務者の信用を失墜させ、また債権取立目的のため乱用されやすいので、債権者が破産を申し立てる場合には申立債権およぴ破産原困の疎明を要求しています。債権者が疎明をしない場合は、裁判所は申立を却下しなければなりません。ただし、破産申立当事既に外国において破産の宣告があるときは疎明は不要です。疎明は即時に取り調べることができる証拠によります。書証と在廷する人証がその例とされますが、申立の要件としての疎明としては実務上は書証のみによっています。もちろん裁判所が破産原因について心証をうるためには書証のほか通常、債務者本人を審尋し、ときには証人を取り調べています。法人に対して理事等の一部の者が申立てる場合、相続財産に対して相続人らが申立てる場合も、嫌がらせなどの手段として破産申立を乱用することを防止するため疎明を必要としています。
申立債権の存在についての疎明としては、判決、公正証書の正本、手形、小切手、契約書等であり、また破産原因である事実の疎明としては、銀行取引停止処分証明書、取引停止の記載ある符箋つき手形、奏功しなかった強制執行調書謄本、興信所の調査報告書、日刊紙、業界紙の記事、債務者が出した債権者集会招集通知、およびその資料、貸借対照表、損益計算書、財産目録等があります。
債権者が破産の申立をする場合には、破産手続の費用として裁判所が命じた予納金を納付しなければなりません。その額は裁判所の自由裁量により決定されます。定められた期間内に予納金が納付されない場合、裁判所は破産の申立を棄却することができます。破産手続の費用には、破差申立に関する裁判までの費用、破産宣告に伴う公告、送達費用、管財人の破産財団管理費用、管財人の報酬等があり、予納金の使途がどの費用にまで及ぶかによって額に相当の開きが生じます。法にはとくに定めはありません。学説では、破産申立の理由の有無について審理するための費用で、破産宣告後の公告、送達費用、破産財団の管理費用、管財人の報酬等は含まないとし、破産を宣告する場合はあらためてその費用を予納させるとする説と、宣告後の管財事務費用、管財人の報副等一切の費用とする説があります。東京地裁の実務の取扱いは、宣告後の費用を含めた一切の費用としています。両者に長短がありますが、多数学説による取扱いによると、債権者の負担を軽減し申立が容易であるとする長所はありますが、その反面僅かな費用の予納で保全処分を得て、審理を進める結果、破産申立権を乱用するおそれがあります。例えば、商業帳簿の保全処分により、あるいは審理の過程において資産内容を知り強制執行を容易にしたり、宣告前に費用の予納を命じることから債権者が破産宣告を予知し、破産をちらつかせて債務者に取立を強いるなどや、裁判所が破産すべきものと認定しても費用の予納がない場合には、国庫の仮支弁を認めないかぎり手続の進行に支障をきたす等の短所があります。
破産申立人が債権者でない場合、債権者の場合でも費用の予納がない場合、予納金が不足した場合、職権で破産を宣告した場合、破産手続費用は国庫から仮に支弁します。
実務上の予納金の取扱については、債権者の破産の申立が方式にしたがい、破産原因について疎明がある場合に、決定により、期間を通常告知の日から五日と定めて予納を命じています。その額は、描象的には前述のとおり、宣告の前後を通じて予想される諸費用をまかなうに足りる額ですが、具体的には、債務総額、債権者数を基礎として、予想される破産財団額、その収集の難易、営業所の所在地、営業状態、従業員数、雇用状態、否認訴訟の要否とその額、保全処分の要否、管財人の報酬等を総合勘案して、宣告後財団収集までの間、管財人が破産手続を円滑に遂行し得るであろうと思われる金額を算定しています。
予納は、全額を一括して現金で直接裁判所へ納入する方法によります。まれに分割を認めたこともあります。債権者が定められた期限迄に予納しない場合は、裁判所は破産の申立を棄却しますが、上申書が提出されれば期間の延長を認めています。
自己破産等債権者以外の者が申し立てる場合は、予納決定はできません。法は国庫の仮支弁で手続費用をまかなうとしています。しかし実務では事実上予納をさせています。その理由は次のとおりです。国庫の仮支弁手続費用は予算上裁判費の項目からの支出で、予算が少なく他の裁判費用の支出でいっぱいで仮支弁をする余裕がないこと、仮支弁は性質上立替金であるために、財団不足で返還の見込がないような場合は間題があることなどから実務では特に必要性のある例外の場合を徐いて運用は消極的です。自己破産、準自己破産の場合の事実上の予納の額は、最低額として債権者申立の場合と同様程度の金額としていますが、具体的には、破産部窓口において申立書審査の際、相談のうえ相当金額の予納があった後に事件の進行をしているのが実情です。予納金は、保管金提出書に現金を添えて会計課に納付します。裁判所は、手続費用のうち郵便局、官報、新聞社などの費用を直接支払い、また管財人に相当額を財団管理費用の前払として交付し、管財人は裁判所の許可を受けてその費用を支払います。
破産財団が収集され、手続費用をまかなうにたりる見込ができた場合には、予納金は、予納者にすみやかに返還されます。その方法は、裁判所に保管中の残額は裁判所から直接納付した者に返還します。既に管財人に交付された分については予納郵券代を加えて管財人から返還されます。破産手続費用の不足による廃止の場合には、収集財団によってまかない切れなかった一切の費用を予納金から支出するので、予納者に返還する分が少なくなったり、なくなったりすることがあります。なお自己破産、準自己破産の場合に債務者が納付した予納金は、破産財団に組み入れられるので返還されないのはもちろんです。債務者の全員でない場合は予納の際に上申書等によりその旨の承認を得ておく必要があります。

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