破産申立できる債権

破産債権である債権は破産者に対して破産宣告前の原因にもとづく財産上の請求権にかぎる財産上の請求権であることから金銭償権にかぎりませんが、金銭に評価できる請求権であることを要し、さらに財産上の請求権は破産宣告前の原因にもとづく請求権であることを要します。破産宣告前の原因にもとづいて生じた請求権とは、請求権自体が破産宣告当事成立していることを要しませんが、発生原因が破産宣告前に生じていることを要するとされています。
さらに申立人が債権を有しかつその債権が破産債権となるためには、申立人の債権は破産宣告の裁判をなす当時に存在することを要します。したがって、一審裁判所たる地方裁判所がした破産申立の棄却決定に対して抗告され、抗告審が申立人の債権を認めた場合は抗告審は破産宣告しなければなりません。反対に、地方裁判所が破産宣告を言い渡した後の抗告審の裁判前に弁済、債務免除などによって債権が消滅した場合は、理論上、抗告審は一審の破産宣告を取り消して破産申立を棄却すべきですが、破産は宣告の時から効力を生じ、かつ債権者多数の場合には総債権者のため破産手続は進行するために、抗告審は破産宣告を取り消すべきではないと解されます。

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指名債権の譲渡について民法では第三者対抗要件として、譲渡人の債務者に対する通知または債務者の承諾を要件としています。したがって、債権の譲受人が破産手続上、破産債権者であることを主張するためには、破産宣告の裁判当時、第三者対抗要件である通知ないし承諾を得ておかなければなりません。このことは第一審である地方裁判所の裁判のときに存在することが必要ですが、当時に破産債権者と称する譲受人が第三者対抗要件を備えなかったが、抗告審の裁判当時具備するにいたった場合は破産債権者として取り扱われるかが問題となります。
大審院昭和四年一月一五日決定は、破産申立人の債権譲受の対抗要件に関する判断の時期について、債権譲渡の対抗要件を其備するか否かは、破産事件を審査する裁判のなされる時を標準とすべきものであるとし、したがって、破産宣告の申立当時、または第一審裁判所が破産宣告をした当時対抗要件を具備しなかったとしても、抗告裁判所が、譲渡債権について対抗要件を具備したか否かを判断するには、裁判のときを標準とすべきであるので、第一審裁判所の裁判宣告後でも適法にに対抗要件を具備した事実があれば、抗告裁判所は破産宣告申立当時対抗要件を具備しなかったことを理由として破産宣告を取消し破産宣告の申立を不適法として棄却できないと判示しています。
破産債権となるためには、破産者に対し破産宣告前の原因にもとづく財産上の請求権であることから、単に民法上の債権の目的としての請求権と範囲は同一ではありません。金銭債権または金銭に評価できる請求権である必要があるので、作為、不作為債権、不代替的作為請求権などは破産債権となりませんが、これらの債権が破産宣告前、後に不履行によって損害賠償請求権に転化すれば破産債権となります。
不動産の買主の有する登記請求権、引渡請求権は破産法上の権利者となりうるが問題になりますが、破産債権となる債権は金銭債権か金銭に評価できる請求権である必要があるので登記請求権や引渡請求権のように作為請求権を未来的な破産債権として破産申立することは可能です。ここでの本来的破産債権とは、不代替的作為請求権のように破産宣告前またはその後の債務不履行によって損害賠償債権に転化してはじめて破産債権となるのではなく、金銭債権を原因とする破産債権と何ら差異のない破産債権をいいます。この点、多少の異論はなくはないのですが、登記請求権や引渡請求権のような代替的作為債権は代替執行によることができ、この意味で債務者の財産によって実現することが可能であるので金銭債権と同視して破産債権となり得、したがって破産申立することができまい。ただし登記請求権、引渡請求権が直ちに破産債権となるものではなく、あくまでも代替執行の結果による債権を破産債権として破産申立をする必要があることはいうまでもありません。さらに破産債権と取戻権について、取戻権の在否は、他の破産債権者との間で破産財団に所属するか否かの権利帰属の問題であり、権利の帰属は対抗要件を具備したかどうかで決定する必要があるので、対抗要件を具備しない取引行為は破産債権者に対する関係で保護されません。したがって、破産宣告前に破産者から売買によって不動産を買い受けて権利を取得しても、破産宣告前に登記、引渡などの対抗要件を具備しないかぎり原則として引渡請求権にもとづいて取戻権を行使することはできません。このことは解除による現状回復請求権をもってしても同様です。

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