破産宣告

自然人、法人、相続財産について破産宣告をするために必要な要件としては、破産能力があること、破産申立権者による申立であること、破産原因があること、破産障害事由がないことがあげられ、裁判所は任意的口頭弁論で職権調査をなし、破産申立原因に拘束されずに判断できるのです。これらの要件は、破産宣告または抗告審での決定時、つまり裁判時に存すれば足るのであり、立証の程度は疏明です。
裁判所が破産宣告をするためには、債務者の財産状態がどの程度にまで悪化していることを必要とするか、つまり債務者の財産の悪化程度です。商人破産主義をとらず一般破産主義をとる日本の破産法は、自然人、人的会社、物的会社について異なる規定をおき、相続財産については特別の定めをおいています。

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支払不能は一般的破産原因であって、自然人、法人、法人にあらざる社団または財団など相続財産を除くすべてに通ずる破産原因です。これは債務者の財産に関する純客観的状態であり、財産、信用、技能労力を総合した弁済能力が、履行期が到来し、かつ履行の催告のあった債務を、継続的にかつ一般的に履行できない債務者の肘産状態です。したがって、積極財産の総額が消極財産の総額より少ない債務超過状態であっても支払が継続してなされているかぎり支払不能ではなく、また一時的にあるいは特定債権者に支払を停止しても継続して以後債務の支払ができるかぎり支払不能ではなく、さらに履行期到来債務は必ずしも金銭債務にかぎらず物の引渡請求権であってもかまいません。
支払停止とは支払不能と同様に一般的破産原因となるものであり、支払不能の前提事実であって、支払停止が疏明されると当然に支払不能であるものとされ、支払不能でないことを疏明しないかぎり破産宣告をされることになります。これは債務者が支払をしないという作為、不作為を含む明示黙示の態度あるいは挙動で、履行期が到来し、かつ履行の催告のあった債務を、一般的継続的に履行できないことを対外的に表示することです。例えば小口債務は支払えても大口債務の支払ができず、その旨を表示すれば支払停止です。したがって債務超過であっても支払が継続しているかぎり支払停止ではなく逆に債務超過でなくとも資金繰りがつかずに一般的に支払しえない旨を表示すれば支払停止であり、さらに一時的に支払を停止しても以後一般的に支払を再開すれば支払停止ではありません。近時は、手形を多数かつ多額に振出して営業している企業がほとんどであり、自然人であっても月賦手形を多数振り出しているのが常態であるために、手形の支払期日に決済資金がなくて不渡手形を出し手形交換所より手形取引停止処分を受けることが支払停止の一般的事例であるということができます。支払停止の効果として注意を要することは、破産制度が破産債権者の公平、平等を厳格に適用する一般的強制執行手続であり、早い者勝ちを防止するため、また破産財団の充実、取戻のために法定されている否認権と相殺禁止制度の基準時点とされていることです。
債務超過は法人、相続財産、清算中の人的会社に対する破産原因です。清算手続に入っていない人的会社は、支払不能と支払停止のみが破産原因です。これは債務者の信用、技能、労力などの能力を加味せず、純客観的財産状態であり、債務者の消極財産総額が積極財産総額を上回ることです。したがって、債務超過であっても支払停止せず、支払不能でない場合があるのはもちろん、反対に債務超過でなくとも支払停止もあり、支払不能にもなり得ます。現実には債務超過法人が存在しても、支払を停止しないため営業を継続している場合が相当数存在しますが、破産法上は破産原因であり、他の要件さえ整えば破産宣告をなしうるのです。
破産原因が存在しても、破産の申立または破産宣告をなしえない事由を破産障害事由といい、かかる事由がないことが破産開始の要件であり、消極的破産開始要件ともいわれます。これらの事由として法が明規するものは、破産の申立が許されない場合、破産手続が当然に中止する場合、裁判所が破産手続の中止を命じる場合があります。破産の申立が許されない場合は破産以外の法的倒産手続開始決定が既になされているときであり、破産手続が当然に中止する場合は破産以外の法的倒産手続と破産手続が共に裁判所に係属していて破産以外の倒産手続開始決定がなされたときであり、裁判所が破産手続の中止を命じる場合は破産手続係属中に破産と和議以外の倒産手続開始の申立がなされ、裁判所が破産手続中止の必要ありと認めたときです。
破産以外の他の法的倒産手続は、企業倒産法の基本理念の重要なもののうち破産予防の理念と再建更生型手続優先主義の発現として、各手続相互間に適用に関する優劣関係の規定がおかれているのですが、それらの倒産手続が失敗に帰したときは、最後の受け皿として破産原因があるときは職権で破産手続に移行することが定められています。会社更生につき会社更生法二三条ないし二六条、会社整理につき商法四○二条、和議につき和議法九条、特別清算につき商法四五五条の各規定がそれです。これは債権者間の公平、平等とその保護という基本理念に最も適し、かつ厳格な破差手続きによって他の倒産手続の後始末をさせようとする法の配慮であると考えなげればなりません。
自然人または法人は、どのような状態になれば破産宣告をすることができるかでは、自然人については、第一に支払不能のとき、または支払停止であって支払不能ではないことの疏明がなされないとき、であって、和議開始の申立または和議開始決定がないとき、第二に和議開始決定後に和議の廃止、和議不認可、和議取消決定が確定した場合に、破産の申立があるときは申立により、申立なきときは職権で破産宣告をすることができます。法人については、自然人に破産宣告ができる場合は当然に破産宣告ができますが、清算手続に入っていない人的会社を除くすべての法人については債務超過の場合にも破産宣告が可能です。株式会社については、会社更生、会社整理、特別清算の各手続開始の申立または開始決定がないときでなければできません。次に会社更生手続で更生申立棄却、更生廃止、更生計画不認可決定確定後、会社整理手続で整理の見込がないとき、特別清算手続で協定の見込みなく、また可決した協定の実行見込みのないときには、他の破産開始の要件があるときには職権で破産宣告がなし得ます。
法的倒産手続開始の申立をなし、裁判所が弁済禁止の保全処分命令を出して一般的に一定基準日以前の原因によって生じた債務の支払を停止した場合には、手形取引停止処分は受けませんが、支払停止であることはもちろんです。手形取引をしていない債務者については支払日に支払う資金がなくて一般的に支払をしないこと、逃亡、廃業、継続的閉店などがその具体的事実です。
債権者が一人であっても破産宣告をすることができるかどうかでは、破産開始の要件が前述の解説のとおりであるために、破産法の規定上は債権者が複数であることを要するものではありません。しかし破産制度が債権者間の公平な満足をはかる一般的強制執行であるために、複数債権者の存在を当然に前提としており、一人の債権者のために大がかりな破産手続を利用させることは妥当でないとする判決例と同旨の有力学説がありますが、一債権者のみを除外して他の債権者に弁済をした場合や、否認権や相殺禁止制度の利用の必要性、免責の利益を破産者に受けさせる必要性などを考慮すると、一人の債権者であっても破産宣告をなしうるとする判例、通説が正当です。

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