法人の破産と個人の破産

法人の破産と個人の破産の大きな違いは、法人は破産によって解散し、その有する積極財産を、破産手続による清算によって失うと同時に、法人の組織自体も消滅してしまうのに対し、個人は破産によって、むしろ経済的に、更生、再起の途につくというところに、その差がみられます。破産能力を持つ、主として私法人は破産によって解散しますが解散しても直ちに法人は消滅するわけではありません。最後の配当による破産終結決定や、費用不足による破産廃止決定の確定により、破産手続が終了したときに、法人格は消滅します。もっとも、最後の配当による破産終結後に、相当な配当財産があるときは、追加配当をなすべきであり、また費用不足による破産廃止の決定があり、その旨の登記がなされても、なお残余財産がある場合は、さらにその未了の清算手続を続行すぺきであるため、清算手続の範囲内ではなお存続するものと解されます。法人はこのように解散しても、破産の目的の範囲内では存続し、破産法上破産者としての行為をする必要があります。

スポンサーリンク

お金を借りる!

例えば一一二条(破産手続上の裁判に対する不服申立)、一九二条・一九四条(営業の継続に必要な範囲内の行為)、一九九条(意見聴取)、二三二条(債権調査期日の出頭および意見の陳述)、二九○条(強制和議の提供)などがあります。このため、特に株式会社については、商法二五四条、民法六五三条の関係で、会社が破産宣告を受けた当時の代表取締役が、そのままその資格を保持するか否かについて争いがありますが、保持説をとるべきです。
個人(自然人)は、破産により、身上の公私にわたる資格の制限をうけます。例えば後見人、保佐人、後見監督人、遺言執行者、公証人、弁護士、公認会計士、人事官などになることができません。さらに合名会社および合資会社の社員は当然に退社し株式会社の取締役は当然に解任となります。資格の制限は、法人に関せず、現行法上、法人の代表者についても認められていません。ただし、労働委員会委員や建築士、古物商など、破産が個人についても資格の喪失事由とは ならないものもあります。
法人の破産については、支払不能のほか、さらに債務超過が破産原因である個人の場合と違って、信用や労力を斟酌しないで、もっぱら債務と財産の評価額の計数上の差によったものですが、物的会社の場合も、信用や稼動力の評価は大きいので、これについては批判がないわけではありません。法人の破産の申立権は、個人の場合より広く、債務者に準じる者として、法人の理事、無限責任社員、取締役および清算人など各個に認められており、そのうち理事および清算人は、申立義務を負います。破産者の居住制限、引致、監守や説明義務は、法人が破産した場合には、その理事や理事に準ずるべき者に拡張されています。また、法人の破産のときは、破産宣告の付随処分として、破産の登記、主務官庁への通知がなされます。
法人は、破産によって、その終了とともに消滅するため、債権者は、配当による満足をうけなかった残額については、債権が消滅したのと同じ結果になります。個人が破産したときは、差押え禁止財産、およびいわゆる固定主義による新得の財産をもってする自由財産によって、再起更生を図るのであるため、残額の請求については、特に免責の制度を設けた法人の破産については、これらの制度は原則として考える余地がありません。復権についても同様になります。
株式会社については、再建型として、別に会社更生法があります。しかしこれは単純に法人の存続のためのものとはいいがたい。以上考えてくると、将来は、個人の破産と、法人の破産についても、抜本的にこれを区別して扱うほうがいいように思われます。

お金を借りる!

破産制度/ 和議制度/ 破産宣告と合憲性/ 倒産手続が債権者にもたらす制限/ 破産手続の準則/ 破産申立の乱用/ 私的整理と破産/ 破産裁判所/ 破産能力/ 法人の破産と個人の破産/ 相続と破産/ 破産宣告/ 破産申立できる債権/ 破産申立の時効中断/ 破産申立の方式/ 破産申立の審理/ 破産申立の裁判/ 破産申立に対する不服申立/ 破産申立の取下/ 破産宣告前の保全処分/ 破産和議開始前の保全処分/ 財団の増減と保全処分/ 強制執行停止の保全処分の可否/ 破産宣告の効果/ 破産と貸倒金の処理/ 倒産と貸倒金処理/ 破産の取消し/ 破産管財人の選任/ 破産管財人の法的地位/