牽連破産

和議廃止の決定がされ、また和議不認可、和議取消決定が確定した場合に、和議裁判所が破産の宣告をするには、あらためて破産原因の存することを審査する必要があるでしょうか。和議法上、和議が開始されたものの和議廃止の決定があったとき、債権者集会において和議が可決されたが和議不認可の決定があり確定したとき、和議認可決定が確定したのち和議取消の決定があり確定したときは、裁判所は破産宣告を行ない、和議手続を破産手続に移行させます。これを牽連破産といいます。これらは、破産予防の目的を達することができない場合であるか、債務者が不誠実であって和議の利益を得させる必要が薄い場合です。破産法上の強制和議が取り消されて確定したときは、当然破産手続を続行することとなりますがこれを再施破産といいます。

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必要的廃止の場合と裁量的廃止の場合に分かれます。和議可決前に和議の提供が撤回されたとき、または債権者集会の第一期目、すわなち和議開始決定の際定めた債権者集会の期日から二月内に和議が可決されないときは、裁判所は職権で和議廃止の決定をしなければなりません。ただし、第一期日において和議が否決されかつ後述の続行期日の指定ができる条件に欠けるときは、二月の期間を待つことなく和議廃止の決定をすべきです。和議開始決定後、和議債権者が届出債権の全部を免除して届出を撤回したため債権者集会を開くことができないときは、裁判所は和議廃止の決定をしなければなりません。なお、第一期日において和譲が可決されなかったが、議決権を行使できる出席和議債権者の過半数が和議に同意したとき、その同意者の議決権を行使できる債権額が届出をしかつ議決権を行使できる和議債権者の総債権の四分の三以上であるとき、議決権を行使できる出席和議債権者の過半数で、その債権額が出席和議債権者の総債権額の半額をこえる者が期日の続行に同意したときのいずれかの場合には、裁判所は和議提供者の申立または職権により再決議のため続行期日を指定できますが、その期日は第一期日から二月以内でなければなりません。第一期日から二月以内に和議が可決された場合に、その認否決定前またはその決定が抗告審で取り消され事件が差戻された後、債務者から和議条件変更の申立があり、裁判所がこの申立を許容してさらに債権者集会を招集したときは、二月の期間の始期は、後に指定された債権者集会の期日です。和議法六○条に列挙された事由がある場合であり、いずれも債務者に不誠実の行為があって和議の利益を得させる必要が薄いので、裁判所は、管財人または整理委員の申立または職権により、債務者を審尋したうえ、和議廃止の決定をすることができます。
和議の手続または決議が法律の規定に反し、その欠鋏が追完できないとき、和議申立人の所在が不明のとき、詐欺破産罪にあたる行為があるとき、和議の決議が不正の方法によって成立したとき、和議の決議が和議債権者の一般の利益に反するときが不認可事由であり、いずれかの事由があるときは、裁判所は和議債権者の申立または職権により和議不認可決定をしなければなりません。
債務者に詐欺破産の罪にあたる行為があるとき、または債務者に和議の不履行があって、届出和議債権者の過半数で、その債権額が届出総債権の四分の三以上にあたる者の申立がありたときが和議取消の事由です。後者の場合、裁判所は和議の取消を要します。前者の場合、裁量的取消事由とする説が有力です。和議不履行の場合、和議債権者は、和議の取消によるべきであり、破産の申立は許されません。和議の取消は、和議債権者全員のために和議によって譲歩した権利をすべて回復させますが、遡及効を有しないために和議債権者は和議の提供によって得た人的、物的担保権を失わず、既に履行を受けた分についてはその効力が存続します。
和議の廃上、和議の不認可、利議の取消のいずれの場合も、多くは、その決定時において、債務者に破産原因たる事実があると思われ、ことに和議の提供を撤回したとき、債務者が所在不明になったとき、和議の履行が遅滞しているときは、一層そういえます。しかし財産状態は変化するのが常であって、裁判所は、ほとんどの場合和議開始申立直後に債務者の財産に関し保全処分を命じ、整理委員に財産調査をさせ、管財人は、債務者が通常の範囲内の行為をするについても適宜異議を述べて禁止し場合によればみずから金銭の授受にあたり和議債権者は否認権を行使し、また法律上、債務者が通常の範囲に属しない行為をすることを禁止し債務者の財産に対する強制執行、保全処分が禁止あるいは中止されるといった措置が講じられることにより、債務者の財産状態が好転し、あるいは隠匿財産や虚偽負債が発見され、また債権者が債権の全部または一部を放棄することがあり、そのために場合によっては破産の原因たる事実が消滅していることもあるのです。したがって、裁判所としては、和議廃止、和議不認可、和議取消の決定が確定したとしても、その一事によって破産宣告をすべきではなく、破産原因たる事実の在否について、改めて審査することが必要です。その審査の結果、破産原因たる事実が認められるときにかぎり破産宣告をし破産原因がないときは、破産の申立が係属しているときはその申立を棄却し、また破産の申立が係属していないときは何ら裁判をする必要がありません。

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