和議の効力を受ける債権者の範囲

和議はその効力を受けるべき債権者全員のため、全員に対して効力を有しますが、その全員とはいかなる範囲の者をいうのでしょうか。取戻権者別除権者が和議の効力を受けないことは当然であり、また一般の優先権ある債権者も和議の効力を受けずに優先的な満足を受けます。さらに和議法上の和議では、和議開始後の利息、和議開始後の不履行による損害賠償および違約金、罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金および過料は和議債権とされていないので和議の効力を受けませんが、和議債権に劣れるとされており、その完済後初めて請求が可能です。以上に対し強制和議においては、これに相当する債権は劣後的破産債権とされていますが劣後的破産債権も破産債権ではあるので、和議の効力を受け、一般の破産債権よりも和議条件で不利益な定めをされることになります。以上に和議の効力を受けないとしてあげた債権以外の債権は、すべて和議の効力を受けます。債務名義の有無、和議への賛否、知られていたか否か、屈出の有無等を一切問いません。末届債権者にも和議の効力が及ぶことについては、日本法上は明文は存在しませんが、和議の実効を期すためには当然のことです。なお、未届債権者に和議の効力が及ぶことを認めつつも、その者は届出債権者の債権が弁済された後に初めて請求しうるとの説がありますが、条文に差異を設けていない以上、このような制限を認めるべきではありません。

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強制和議においては、それが破産内手続であるところから破産法における相殺権に関する規定が適用されることは当然ですが、和議法上の和議でもこの規定が全面的に準用されています。破産において、破産債権が非金銭債権、期限付債権等であっても、手続開始とともにそれらの債権をもってする相殺が可能となるのは、それらが金銭化、現在化されるためであると思われるところが、和議法も破産法と同様に和議債権の金銭化、現在化を規定していますが、この金銭化、現在化はもっぱら債権者集会における議決権算定の基礎とするためのものであり、破産におけるような実体的効果をともなわないと解すべきであるという説があります。立法者は、和議においても金銭化、現在化は実体的効果をともなうと考えたために単純に破産法の規定を準用したものでしょうが、和議が再建型手続であることに思いを致せば、ここでの金銭化、現在化に実体的効力をともなわせる必要はありません。そうなると和議法五条により準用される破産法九九条からは二二条に掲ぐる債権を除くぺきでり、破産法一○二条は二三条の条件付債権、将来の請求権の額の確定している場合その全額をもって相殺をなしうるというかぎりでのみ意味をもつとすべきです。このように強制和議と和議法上の和議においては、相殺権者の範囲には差異があると考えられますが、相殺権を有する者は、破産、和議手続によらずに相殺をなしうる間題であるのは、この相殺権者の相殺権が和議によって影響を受けるか、つまり相殺権者は和議認可決定確定後も本来の態様で相殺をなしうるかです。これを積極的に解する見解は、相殺の担保的効力を重視するものであり、別除権は不足額の原則に服しますが相殺権はこの原則に服さないとされる点、相殺権は別徐権よりもさらに優遇される権利であることを根拠とします。これに対し消極説は、破産法三二六条一項和議法五七条による和議の一般原則を重視し、和議の容易なる成立とその円滑な履行をはかろうとするものです。和議認可決定確定後は和議条件により定められた範囲内においてのみ相殺をなしうるとしたほうが、和議の容易なる成立とその円滑な履行を確保しやすいかもしれませんが、会社更生の場合に更生計画案作成前の時期に相殺権の行使時期が限定されると同様のことを和議においても行わない以上、たとえ消極説に従っても、和議可決後に極端な場合には認可後も、相殺権の行使は可能であるために、和議条件は相殺がなされることを前提としたうえで定められざるをえません。そうなると和議認可決定確定後に本来の態様での相殺を許しても何らさしつかえあるまいと思われます。その債権が反対債権の額を下回る相殺権者が、相殺権の存在を知りながら敢て相殺をなさず、和議の議決に関与し、和議条件による支払いを受けたような場合には、本来の態様での相殺は許されなくなるとする余地はあります。

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