和議の効力

和議認可決定が確定したときは、裁判所書記官は和議条件を債権表に記載し、破産管財人または債務者は、和議の対象となっていない債権の弁済をしなければなりません。これらの債権で異議あるものは供託します。そして管財人またはその相続人は、債権者集会または裁判所に計算報告をしなければなりません。和議認可決定確定とともに、和議の効力が発生します。これにより、和議法上の和議では、和議手続は当然に終結します。これに対して強制和議では手続終了後の裁判所の破産終結決定により、初めて破産手続は終結します。

スポンサーリンク

お金を借りる!

和議はその効力を受けるべき債権者全員のため、全員に対して効力を有します。つまり各債権の内容は、和議条件に従って変更を受けます。例えば免除された部分は消滅期限が猶予されれば履行期は先に延び、あるいは新たに担保を取得します。なお、強制和議においては破産債権は金銭化、現金化されるために、和議条件もこれを前提として定められます。
破産者または和議債務者の保証人、共同債務者、物上保証人であった者に対する関係においては、和議の効力は及びません。これは、一見すると、保証債務や担保権の附従性に反するようにみえますが、担保は主たる債務の履行を確保することを目的とし、債務者が無資力となった場合に備えて設定されるものであるために、和議の効力の及ばないのが、むしろ当然です。債権者が保証人から弁済を受け、あるいは担保権の実行により第三者の財産から満足を受ければ、その保証人、第三者は弁済の限度で債権者の和議によって得た権利を代位できます。この原則の例外として、法人破産ないし和議の場合、その法人の債務につき責任を負う社員は、和議条件に特別な定めがないかぎり、和議が定める限度でのみ責任を負います。社員の責任は保証人のそれのように特定の債務についてではなく、全債務についての経済的に一体となった共同事業者としての責任なので、社員の責任をそのままにした和議は無意味なものとなってしまうからです。なお、無尽契約にもとづく会社債務につき無尽会社の取締役の負う連帯責任は、このような性質の責任ではなく、いわば保証債務的な責任であるため、和議の効力により縮減されることはありません。
強制和議は、破産内手続として債権調査確定手続を備えており、その債権調査期日において破産者が異議を述べなかった確定債権を有する債権者は、破産者、強制和議のため保証人、共同債務者あるいは物上保証人となった者に対して、債権表の記載にもとづき強制執行をなすことができます。破産者の異議のない確定債権については、債権表の記載が債務名義となるとの一般原則を、保証人等として強制和議に加入してきた者に拡張したものです。このような効果を生じるためには、その保証人等が和議期日に出頭して、その旨陳述していることを要します。また、債権調査期日における破産者の異議が後に撤回された場合または債権者が破産者との訴訟で勝訴した場合は、異議の述べられなかった場合と同視されるべきです。なお、保証人は催告および検索の抗弁権を有し、強制執行は判決に準じてなすべきです。また物上保証人に対し執行できるとは、担保設定行為を強制し、担保権の登記申請の執行ができるということです。これを、競売法による競売申立てをなすことと解する説がありますが債権表の記載にもとづき担保権実行のための競売申立をなしうるとするだけでは不十分であるため、物上保証人の財産から優先的満足を受ける前提として、登記申請の執行をなしうるとする必要があります。以上のような効力は、和議法上の和議では認められません。そこでは、強制執行が必要ならば、通常の場合と同様に、訴えその他の方法で個別に債務名義を取得しなければなりません。この点日本法の態度は、和議法上の和議においても債権表の記載にもとづく強制執行を認めるドイツ法やオーストリー法と異なっており、この点が、和議制度が実効を収めえない一つの原因として指摘されています。
和議の効力を受けている債権者は、儀務者が和議を履行しない場合でも、従前の債権にもとづいて破産申立をすることはできません。一旦破産的清算を放棄した以上、救済は譲歩の取消や和議の取消によらしめる越旨です。
和議の発効または強制和議による破産終結により、和議債務者は制限されていた財産管理処分権を、破産者は喪失せしめられていたそれを回復します。ただし、信託清算和議が認められるとすれば、そこでは財産管理処分権は回復されず、また和議条件に特別な定めがあれば、その制限にしたがわなければなりません。もっともこの制限は、個々の財産について信託、処分禁止等の公示方法を備えなければ第三者に対抗できないため、制限違反も譲歩または和議の取消の事由となるにすぎません。なお、強制和譲認可決定確定により、破産者は当然に復権します。また、破産手続中に管財人が破産財産についてなした行為は、強制和議による破産終結後も、破産者に対してその効力を保持します。ただし、係属中の否認権行使のための訴訟は、管財人が債権者取消訴訟を承継したものを除き当然に終了します。否認訴訟が管財人勝訴で終了し、既に財産が破産財団に返還されている場合には、破産者はそれについての財産管理処分権を有するに至ります。それに対し、財産がいまだ返還されていない場合には、破産者がその返還を要求しうるか否か争いがありますが、否認権がそのために認められる破産的清算における平等満足の要求が放棄された以上、もはや返還を認める必要はありません。

お金を借りる!

破産財団所属財産の占有取得/ 封印執行と帳簿閉鎖/ 破産財団の換価/ 別除権に対する弁済/ 破産債権の届出/ 執行力のある債務名義/ 破産債権の調査と確定/ 破産式確定/ 破産債権確定の訴え/ 破産確定訴訟の抗弁/ 債務名義に対する異議/ 破産配当の具体的実施/ 破産債権届皆無の場合/ 破産廃止の効力/ 株式会社の破産廃止/ 和議条件/ 和議条件の変更/ 和議の認可/ 和議の効力/ 和議の効力を受ける債権者の範囲/ 和議条件の不履行/ 和議開始と双務契約/ 和議債権と消滅時効/ 特別利益供与と和議の効力/ 牽連破産/