和議条件の変更

和議条件は、変更することができます。和議条件は、和議開始の申立ないし和議の提供と同時に申し出なければなりません。しかし、手続きの当初に申出られた和議条件は、極めて不確実なものが多く、履行の裏付けのないのが通常です。和議開始の申立時においては、将来の収益性の見込はもとより、企業再建の成否すら、明らかでない場合が多く、そうした混乱段階で策定される和議条件は、とりあえずの和議条件にしかすぎず、将来の長期的営業計画による履行の裏付けがなされていません。しかも、実務上は、当初の和議条件が、あまり債権者に不利益な内容であれば、その後の和議手続の進行にさしつかえるところから、最初は、意識的にかなり債権者に迎合したものを提供することが少なくありません。したがって、その後の整理委員の調査をはじめ、裁判所の勧告などによって、通常は、和議開始決定前に、和議条件の変更が問題になってきます。もとより、事案によって、その後の段階において、債権者の意向や、経済情勢の変化などによって、変更が要請される場合もあります。和議条件の変更を申し立てることができるのは、和議提供者つまり債務者です。和議条件の変更と区別すべきものに、和議提供の撤回があります。和議条件の変更は、内容に関するものであるのに対して、和議提供の撤回は、和議手続自体の終了原因になります。

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和議条件の変更は、いつまでできるのでしょうか。その変更が、債権者にとって、有利か不利かで、異なった取扱いが行われます。法文上は、債権者を利する場合には、債権者集会において、和議条件を変更することができるとされています。この規定によれば、債権者集会までの債権者に有利な変更は全く問題がありません。逆にそれ以後の変更では、この条文の解釈として、和議条件の変更を、特にこの時期までに限定したものとする必要はありません。ことに、元来、和議条件は、和議債権者の利益のためには、変更されることが、むしろ望ましく、そこで債権者に有利な変更については、一且和議条件が債権者集会で可決された後でも、いまだ裁判所がその認否の決定をしない間は、可能です。その場合、債務者はさらに和議条件の変更の申立をなし、裁判所はその申立が適当と認めたときは、変更された和議条件について議決するために、債権者集会を開催します。債権者集会において、和議条件が否決された場合でも、変更は可能です。債務者は、裁判所が和議開始決定のときに定めた債権者集会期日より二月以内に、集会の期日の続行を申立て債権者に有利に変更された和議の提供をなすことができます。次に裁判所のなした和議認可決定が取り消され、事件の差戻があったのちにおいても、債権者に有利な変更は許されます。その場合は、差戻後の債権者集会について、その第一期日を和議法五九条二号の第一期日とします。
債権者に不利な和議条件の変更は、債権者集会の期日の公告のときまでと解されます。破産法、和議法は、和議条件の変更について、債権者に有利な場合については規定していますが、不利な変更については、規定がありません。しかし、かかる変更もなしうることは、疑いがありません。問題は、いつの時点まで可能か、という点になります。本来なら、和議条件の可否が決せられる債権者集会までの間は、変更できるとされますが、債権者の利害関係からみると、特に債権者に不利な変更であるため、債権者の利益を害しないよう配慮しなければなりません。この観点から考えると、和議法による和議開始決定がなされると、決定主文などを公告し和議条件などを記載した債権者集会の呼出状を送達します。強制和議の際にも、ほぽ同様です。したがって会社に知れないものも含め、債権者への告知、了知という面からみると、結局、債権者に不利な和議条件の変更は、債権者集会の期日の公告のときまでと解されます。その後も、全員の債権者の同意があれば、たとえ債権者に不利な変更であっても可能となります。
和議条件の変更にあたって、一つの間題は、債権者に有利、不利の判断基準です。単純に、弁済全額の増加や弁済期限の短縮、保証人の追加は、債権者に有利な変更であることは疑いありません。しかし、弁済金額の増額の結果、弁済期限が長期に及ぴ、一回あたりの分割金が滅少する場合、債権者にとって必ずしも利益であるとはいえないことも有り得ます。したがって、有利、不利の判断は、あくまで、債権者の受ける実質的利益の多少によって、その実態に則して行わなければなりません。和議条件の変更可能な時期は、会社更生における更生計画案ないし更生計画の変更と比較すると、極めて短期間での変更の条件もやや厳しく、和議は裁判所における手続きとしては短期間で済む仕組みとなっており、それだけに和議条件の変更も、実務上は開始決定までが勝負どころといえます。

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