破産廃止の効力

破産手続が廃止された場合、破産開始後に破産者がした法律行為の効力はどうなるのでしょうか。破産宣告によって破産財団についての管理、換価、配当等の権限は破産管財人に専属します。しかし、破産宣告後でも、破産管財人が事実上管理をはじめる以前は、破産者によって法律行為をなす必要がある場合があり、また管理開始後でも、事実上法律行為がなされることがないわけではありません。これは自然人については考えやすいのですが、破産者が株式会社の場合には吟味が必要とされます。つまり株式会社の破産によって、代表取締役は当然に退任しないとし、あるいは破産財団に関係ない事柄は依然代表取締役が破産会社を代表して執行するという立場に立つならば、破産宣告後もこれら取締役による破産者の法律行為も生じ得ますが、株式会社の破産によって取締役はその地位を喪失すると解すると、そもそも株式会社の破産宣告後に、破産者の法律行為なるものが生じうるのかとの疑問を免れません。しかし、その場合でも例えば、破産財団に関係ない事柄についての執行機関として代表取締役が改選されその新任取締役により、あるいは同人が就任するまでは従前の取締役により破産会社の法律行為がなされるということも可能です。よって、この判例と反対の立場をとればもちろんのこと、判例の立場によっても、破産開始後の破産会社の法律行為がなされる余地はあります。

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法は破産宣告後の破産者のした法律行為について、その法律効果を破産債権者に対抗しえないものとしています。破産債権者に対抗し得ないという意味は、破産管財人に法律効果を主張しえないという、相対的無効の意味であるとされます。管財人の側からその行為を追認し、その有効であることを主張することはさしつかえありません。
破産廃止によって、破産宣告の効果は将来に向って消滅し、破産手続は終了します。よって破産宣告によって破産管財人に法律効果を主張しえない法律行為の効力が、破産宣告の効果が将来に向って消滅することによってどうなるかということにおきかえられます。このように、破産宣告後の会社の法律行為が、破産管財人に対して、その効力を主張しえないにとどまるのである以上、破産廃止によって破産宣告の効果が消滅し、破産手続が解止すれば、法律行為の効力の発生を妨げるものはもはや何ら存在せず、法律行為は完全に有効になるわけです。このことは論理的にいって当然のこととされます。もっとも他方では、前述のごとく、破産の効力は将来に向って消滅するのみであるため、管財人が破産財団に関し職務上なした行為の効力は持続します。だから、相対的に無効であった法律行為が、管財人の破産財団に関して行った管理行為と抵触しないかぎり、完全に有効となるということです。この結論については、判例によっても是認されています。
破産法五三条一項と局趣旨の規定とされる会社更生法五六条一項については、最高裁判例で更生手続中の会社の行為は、更生手続き廃止後においては有効であるということが確認されています。

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